公共投資と逆第二イメージ【ヤンの字雷】 | 進撃の庶民 ~反新自由主義・反グローバリズム
本日は、ヤン様の寄稿コラム【ヤンの字雷】をお届けします!

今回の素晴らしいエントリーを読んで、これらのインフラ整備をほっぽり出してアメリカのインフラ整備に精を出すでんでんの姿を見て、涙がちょちょぎれてきます。

そしてそのでんでんをマンセーするでんでん信者達にも。

日本はここまで狂ったか。

それではヤン様のコラムをどうぞ!


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『公共投資と逆第二イメージ【ヤンの字雷】』







現在、中野剛志氏の大著「富国と強兵」を再読しております。「理解した!読了した!」と言えるのはいつになることやら。
さて、上記の著書では「逆第二イメージ」という言葉が割りと頻繁に出てきます。私の理解で定義するならば本書での意味は「国際関係や国際紛争が国内政治に影響し、それがまた国際関係に影響していく」という、ほとんど現象学的循環と同じことで、それを国際政治及び国内政治の分析に使用する概念、それが「逆第二イメージ」といえると思います。
(構造関係としては国際社会の激変や外圧→国内政治の変化)

公共インフラは国民全員の宝である(うずら氏)
http://ameblo.jp/kobuta1205/entry-12245237207.html

上記うずら氏の記事によりますと、どうもお馬鹿な橋山氏という学者が「公共事業は需要を精細に調査してから~!!!」と妄言を吐いているようです。一見すると「そうだ!需要の有るところに政府は公共事業をして!それが必要な公共事業だ!不要な公共事業は許さん!」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかしここに主流派経済学及び小さな政府という欺瞞の、正に矛盾が「あふれている」わけです。
主流派経済学は口では「セイの法則!供給したら需要が勝手に出て来るの!」と言いつつ、では道路や橋、トンネル、水道を供給したらいいじゃん!と我々が主張すると「それはダメなの!あくまで民間なの!政府じゃなダメなの!政府は需要を調査してやれ!」とか何とか、手のひらをクルクル目まぐるしく翻すわけです(笑)

ここで中野剛志氏の使う「逆第二イメージ」を思い起こしましょう。
逆第二イメージは「国際社会という大きな構造の中に」「主権国家が各々存在する」という構造を正確に捉えておりまして、例えば小国が内戦になっても国際社会に与える影響は極めて軽微だが、国際社会がひとたび混乱に陥れば各主権国家に与えるインパクトは極めて大きい、ということは直感的に理解可能でしょう。
つまり「構造としてどちらがより大きいものか?包括しているものか?」という概念からスタートするのが逆第二イメージの要点だと思うのです。
そして中野氏が見事に歴史(経済・地政・戦争)を逆第二イメージから捉えなおしてみせたように、この概念は非常に優れていると言えるでしょう。

さて、公共事業ですがこれもまた「構造の概念」が必要です。その概念にたどり着くために事実関係を簡単に申し上げると、近代国家以前(17世紀まで)の国家は「小さな政府」でした。
しかし民主主義と近代国家、そして不幸な国家の総力戦を経て「インフラストラクチャー的権力」を強め、現在の大きな政府へと変貌していったのです。
※インフラストラクチャー的権力とは私の理解では、政府の債務や共通貨幣と引き換えに、インフラを整備等々の民間では出来ない大事業をすることで発生する「動員力」と「調整力」を兼ね備えた権力。源泉は国定信用貨幣と領土といえると思います。
※ちなみに政府の債務は「近代国家、近代資本主義では増え続けることが正常」です。

では公共事業に話を戻しましょう。
近代国家=大きな政府=インフラストラクチャー的権力の増大と書きましたが、正にこの構造が逆第二イメージに重なり、日本の国家構造も例外なく「インフラを整備することにより、その地域に大きなインパクトを与えて需要が”生まれる”」ということです。(注1)
経済学者は自由市場で「セイの法則(供給が需要を決定する)が適用される」としましたが、実は逆で「自由市場ではない政府責任におけるインフラ等々の民間では出来ない事業」からこそ「膨大な需要が生まれる」のです。おお、これは大発見かも。
私はこれを「逆第二セイの法則」とでも名付けましょうか(笑)
※注1ですが決して「活発な地域がたくさん出てきたから、国が活発になる」のではなく「国が活発に投資することで、それぞれの地域が活発化する」というイメージです。
※需要とは動員とも言いかえられると思います。デフレ下での経済政策とは「人々を消費や投資に駆り立て動員する政策」と言えます。こう考えると「金融緩和で期待インフレ率が上がる(はず!)」という「動員方法」がいかにバカバカしいか?も見えてきます。動くわけないじゃないか!と(笑)

国際社会の混乱が国内政治にインパクトを与えるように、政府による大きな公的資本形成こそが企業、国民、地域に大きなインパクトを与えるのです。
これは例えばこうイメージしていただくとわかりやすい。
アダム・アルターの心理実証実験では「環境が個人のアイディンティティを変化させる(環境→個人)」ですし、地理学の「環境決定論」では「地理や自然、環境が人間の活動に大きな影響を与える(地理条件→人間)」としております。
インフラストラクチャーの整備とは正に、近代国家における「環境を変化させる大事業」であり、これによってその周辺地域及びその他の地域の「活動の活性化」が生じ、それによって需要が生まれるわけですね。(国家インフラ→地域)
そして環境の改善はさらに高い「人々の欲求」を発生させ政府への要求になり、また国土に投資するという循環が生まれるわけです。
※この循環が現象学的循環と呼ばれるものかと思います。

デフレとは端的に言えば「国民の活動が停滞、衰退している状況」ですし、不景気も同様でしょう。であれば活性化させるためには「インフラストラクチャーの建設」を通じて環境を変化させ、活性化することこそが「大正解」だと私は認識しております。

P.S
もちろんどのようなインフラを優先するか?という議論はありえます。
例えば西日本と東日本(北海道除く)のインフラ格差を考えれば西日本を重視するべきかもしれませんし、将来の大震災を考えるならば地方インフラを重視するべきかもしれません。
また全国の水道は老朽化し、道路や橋、港湾等々の更新、補強、拡張の必要もあるでしょう。
しかし一つ提示しておきたいのは、この議論において必要なのは「費用対効果」などという矮小な議論ではなく「この国がこれからどのようにあるべきか?」という大きな「将来設計」だということです。
残念ながら日本では、藤井聡教授その他の方々という「極めて少数」しかこの議論をしていないというのが現状ですが。
竹中平蔵の言うような無責任な「規制緩和と構造改革でワクワク」より、日本が将来どうあるべきか?と考えながらこの国を発展させていくほうがよっぽど「ワクワク」しませんか?

(了)
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