『非高度人材を撒き餌にする輩』 | 進撃の庶民 ~反新自由主義・反グローバリズム

本日は、うずら様から、『パラダイムシフトは突然に』というコラムを頂いております!

 

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『フィリピン人家事代行、4時間1万円 パソナが入社式 』(日経新聞 3/21)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ21HA3_R20C17A3000000/
「神奈川県などの国家戦略特区で解禁された外国人の家事代行サービスで、事業開始に向け準備が着々と進んでいる。パソナは21日、来日したフィリピン人25人の入社式を都内で開いた。今後は職場内訓練(OJT)などを実施したのち、3月末にも事業を始める予定だ。特区を活用した外国人家事代行による初のサービス提供となる見通しだ。
 掃除や洗濯、食事の準備といった家事代行サービスを月2回(1回当たり2時間)利用する場合で、利用料金は1万円(税別)と想定する。」

到底、“高度人材”とは言えないレベルの外国人労働者のゴリ押しが始まったようです。

高度人材受入推進会議の報告書(H21/5)によると、“高度人材”とは、「国内の資本・労働とは補完関係にあり、代替することが出来ない良質な人材」と定義されています。

普通の感覚に持ち主なら、「高度人材=国際レベルあるいは特殊な学識や技術などを有する極めて頭脳スキルの高い人材」という認識であり、家事代行サービス従事者、いわゆる“家政婦”が高度人材に当たると考える人は、ほとんどいないでしょう。

先ず、家政婦が、高度人材の定義のうち“国内の資本・労働と補完関係”にあるか否かについては、家政婦に対する需給状況を見れば判ります。

女性の社会進出や共働き家庭の増加もあり、家政婦を含む家事代行サービスは極めて高い伸び率を示しているようなイメージがあります。

しかし、全国家事代行サービス協会のHPを見ると、「市場規模は2010年で644億3,500万円(利用者の金額ベース)となっているようです。以降、前年比102%程度で成長していると予測されます」とあり、せいぜい2%程度の伸びでしかないようです。

しかも、この市場規模には、いわゆる炊事、洗濯、掃除などのハウスキーピングやベビーシッターといった従来型のサービスだけでなく、介護サービスや水回りのメンテナンス、ゴミ屋敷の清掃まで含んだかなり広義の数値ですから、従来型の家事代行市場は、むしろ縮小しているのではないかと推測されます。

みずほ銀行のレポートによると、一般家庭の家事代行サービスの利用率は僅か3%程度しかないそうで、未利用者がサービスを利用しない理由として、価格の高さや他人が自宅での家事を代行することへの抵抗感、良いサービスを選択・利用しづらいことに起因する不安感等が挙げられているようです。

確かに、いまの若い女性や主婦層は、プライベート空間への他人の侵入を極度に警戒しますから、日本人はおろか、フィリピン人家政婦を誰もいない自宅へ入れようなんて思う人は、極めて少数でしょうね。

また、「職業小分類別就業者数の推移」で確認すると、家政婦の従事者数は、24千人/1970年→19千人/1980年→42千人/1990年→37千人/2000年(推計値)→28千人/2010年(同)とバブル期に増加して以降、大して増えてはいません。

つまり、家政婦(家事代行サービス)は、ニーズがさほど高くはなく、国内の資本・労働と補完し合う必要性も薄い職種であることが判ります。

さらに、家事代行サービスの業務内容自体が、日本人のスキルで十分に対応可能であり、わざわざ、日本語も話せず、日本人の慣習も理解できぬフィリピン人やインドネシア人に代替させる必要性がまったく感じられぬ職種ですから、家政婦は、もう一つの「代替することが出来ない良質な人材」という定義にも該当しません。

では、この先、いわゆる家政婦業の範疇にある家事代行サービスの需要は拡大するのでしょうか?

一般的に、家政婦の年収は240~300万円と言われています。
また、民間の家事代行業者のHPを見ると、家事代行サービス料金は、6,000円/3H~12,000円/8H+交通費(早朝や深夜は割増料金あり)というのが相場で、週5日利用すると、月に16~20万円くらい掛かります。

一方、彼女らを利用する女性の年収はというと、働く女性の平均年収は、359万円(2016年)と、ここ数年ほとんど伸びていません。

年収の高そうな職種を見ても、「ファンドマネージャー・アナリスト」691万円、「弁理士」595万円、「投資銀行業務」570万円、「法務」519万円、「薬剤師」461万円といった程度です。

これで年間200~300万円も家事代行サービスにつぎ込んだ日には、家計が破綻してしまいますよね。

結論を言うと、今の家事代行サービスは料金が高すぎて、広く普及する可能性はゼロです。
今回パソナが連れてきたフィリピン人家政婦の給料も国内並みに設定するそうですから、料金が劇的に下がることもないでしょう。

つまり、安倍政権がやろうとしていることは、女性活躍社会をエサに、ニーズもない家事代行サービス業に焦点を当て、高度人材でも何でもないフィリピン人家政婦を強引に連れて来て、強引に外国人労働者を活用したという実績づくりに過ぎません。

この国家戦略特区は、外国人労働者活用の実績づくりを進めたい政権の意向に、パソナのような手配師紛いの如何わしい企業が群がる構図であり、フィリピン人家政婦らは、外国人労働者や移民の入国拡大に向けた橋頭保代わりの捨て駒でしかありません。

国家戦略特区の名を騙り、くだらぬ家政婦ゴッコをして実績を誇ろうとする安倍政権ですが、それを支持する国民の頭の中を、ぜひ覗いてみたいものです。


 

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