『試される国家、フランス』 | 進撃の庶民 ~反新自由主義・反グローバリズム

本日は、うずら様から『試される国家、フランス』というコラムを頂いております!

 

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本日はフランス大統領選の決選投票が行われます。
決選投票に駒を進めたのは、前経済相エマニュエル・マクロン氏(39)と、国民戦線党首であったマリーヌ・ルペン(48)氏の2名ですが、早くも反ルペン勢力が結集の動きを見せ、事前の予想ではマクロン優勢の見方が大勢を占めています。

EU体制の維持を目指す既得権益者の神輿に担がれて気を良くしたのか、マクロン氏は、第1回投票後の演説で、あたかも大統領就任が決まったような内容の演説をぶち、演説後にスタッフを連れてパリの老舗レストランでドンチャン騒ぎに興じるなど、勝利を決めたかのように振る舞い、有識者から「王様気取りの子供」だと厳しく非難される有様です。

裏を返すと、それだけ、自身の勝利に自信を持っているのでしょう。

マクロン氏は、エリート官僚養成機関として有名なフランス国立行政学院の出身で、ロスチャイルド系の投資銀行に勤務し、2010年に副社長格に昇進。年収は200万ユーロにも達し、2012年に政界へ進出。オランド前大統領の経済顧問に就任し、経済相に起用されたという眩いほどの経歴の持ち主で、漫画の世界に登場するようなエリートです。

彼が、オランド政権の経済相時代の2014年に議会へ提出した「マクロン法」は、年間5回に定められていた商店の日曜営業を年間12回に緩和することや、長距離バス路線の自由化など多種多様な規制緩和策が提案されたが、多くの反対意見を呼び、与党である社会党からも反発の声が上がったそうで、今回の大統領選でも、親EUの立場から、市場原理を最大限に尊重した経済体制を主張するほか、歳出削減・公務員の大幅削減・規制緩和・国営企業の民営化・積極的な移民や難民の受け入れを主張するなどリベラル・左派的な姿勢を取っています。(Wikipediaより)

要するに、マクロン氏は、絵に描いたような「グローバリズムを信奉する新自由主義者&緊縮主義者」で、ここ20~30年余り世界を席巻してきた主流派経済学の教義に基づき、先進諸国の雇用や所得を破壊し続けてきた“行き過ぎたリベラリズム思想”に寄生する既得権益者にほかなりません。

そもそも、今回のフランス大統領選で、共和党と社会党の二大政党が見事に敗北を喫したのは、サルコジ・オランド両大統領が進めてきたEU寄りの新自由主義的&緊縮政策と、野放図な移民受入れによるフランス社会の雇用や治安の悪化に対する不満が爆発したことによるものでしょう。

2015年1月にパリで起きた風刺週刊誌「シャルリーエブド」襲撃事件(死者17名)、同年11月のパリ同時多発テロ事件(死者130名、負傷者300名以上)、2016年7月にニースで起きたトラックテロ事件(死者84名、負傷者200名以上)等々、フランス国内では、イスラム過激派による大規模なテロ事件が頻発しており、中東やアフリカ諸国からの性質の悪い移民や偽装難民の野放図な受入れ政策が、こうした凄惨な事件の発端となったことに議論の余地などありません。

テロの犠牲となったフランス国民の生命は、悪質なグローバリズムに保護された醜い犯罪者により蹂躙されたのです。

2007年のサルコジ政権から10年余りつついた新自由主義路線がフランス国民に残したものと言えば、相変わらずの高失業率と国内大手企業の凋落、雇用の場の国外流失と大量に流入した移民による犯罪増加と惨憺たるものです。

ならば、今回の大統領選で、フランス国民の大半が、サルコジ・オランドの勘違い路線を120%踏襲し、不人気だったオランド政権で経済相を務めたマクロン氏を支持するのは、明らかに論理矛盾を来しています。

これほど痛めつけられても新自由主義や緊縮路線に見切りをつけられないとは、フランス国民も落ちたものですね。

一方、もう一人の候補者であるルペン氏は、国内ばかりか世界中のマスコミから袋叩きに遭っています。

マスコミの連中が彼女を紹介する際には、「極右」、「ポピュリスト政治家」といった批判的な枕詞が必ず附され、EU離脱や移民制限を訴える彼女の主張を「ナチズムの再来」であるかのように針小棒大に報じられるのが通例です。

逆に言うと、これだけ醜悪なレッテル貼りや妨害工作に遭いながら、決選投票に残ったのは、彼女や彼女が率いる国民戦線の存在が、フランス国内で無視できぬほど重みを増していることの証左でしょう。

ですが、私は、彼女の主張は、時機に適った至極真っ当なものだと思います。
ルペン氏の公約の中から、特徴的なものをいくつか列記してみます。
【ルペン氏の大統領選公約144項目の一部】
・EU離脱の是非を問う国民投票の実施
・自国通貨の復活
・合法移民の流入数縮減
・シェンゲン条約からの離脱
・ジハーディスト(イスラム原理主義者の自爆テロ)や小児性愛を規制しつつ、表現の自由を確保
・外国人犯罪者や犯罪者の自動追放制度を復元
・常軌を逸したテロリズムとイスラム原理主義ネットワークの壊滅
・イスラム主義テロリズムに関連する犯罪および犯罪を有罪とする国民的価値の回復
・フランスの基準を満たしていない生産物の輸入を規制して国民を保護し、国内の適正な市場競争を確保
・メイド・イン・フランスの支援
・外国企業に買収されている会社の国税による補助金を制限
・国内研究機関への投資促進
・中小企業の財政負担の軽減及び法人税減税
・中小企業労働者の所得税減税
・肉体労働(単純労働)の再評価
・障害者の雇用促進
・自律した防衛能力の強化
・防衛費の増強
・フランス文化及びフランス語の保護
・海外領土との格差解消
・原子力発電の確保
・農村地帯へのインフラ投資

彼女の公約内容の大半は疲弊したフランス社会や経済の立て直しに必要だと首肯できるもので、意に沿わないのは「国会議員定数の削減」くらいです。

公約の大部分は、フランス国民の主権や文化・生命・財産・雇用を守ることに主眼を置いたもので、これを指して「極右」とか「危険なポピュリスト」と批判するマスコミの無神経さや恣意的な報道姿勢の卑しさを疑います。

果たして選挙結果がどうなるのか、期待を持って見守りたいと思いますが、ひとつ言えるのは、大方の予想通りマクロン氏が勝利するようなら、「フランス国民は、復活への努力に汗を流すよりも、怠惰にまみれた緩慢なる死を選択した」と断じて差し支えないということです。


 

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