週刊文春が伝えたことと行政の公正(◇前川文書関連-6) | 進撃の庶民 ~反新自由主義・反グローバリズム

今日は、secretary-of-japan氏のコラムです。本日は「 週刊文春が伝えたことと行政の公正(◇前川文書関連-6)」という稿をいただいております!!!

 

なお、前川氏が存在を明言した前川文書の一連のことを纏めて、一目で問題の概要をお知らせできるようにした前川文書(加計学園関係)のまとめー7月13日追記版も、ぜひご覧ください。


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7月20日発売の「週刊文春」で 、加計学園の問題で11月の段階で獣医師会に山本規制改革担当大臣が説明に来ていたことが報じられ、その中で加計学園の1校の開校が決定したということが山本大臣から話が合ったことが報じられました。

 

以前、行政の長(総理)の責任(◇前川文書関連-1)でお伝えしておりますが、行政は平等原則が義務付けられており、機会の平等を提供することが義務付けられています。このため、政治が規制を緩和することを決定しても、どこで、誰がやるのかということは、国家戦略特区でさえも、直接的に決定することはありません。どこで、誰がやるかは、適切な条件で公募して、複数の応募者から第三者が納得できる形で決定することが行政には求められているのです。(政治の役割はルールを定めることで、そのルールに沿って執行するのが行政の役目です。)

 

ですから、例えば地方の行政組織が物品調達する時には、複数の業者が参加できる仕様を作り、その仕様に沿うもので、提示した金額の一番安い業者と契約するということが当然のように行われます。入札の金額は、第三者が納得しやすい分かりやすい目安ですから、入札にかければ、凡そ公平な行政という形を整えることができます。(無論、官製談合というような外形だけが、整えられて不正が行われるケースが全くないわけではないのですが、実態としても1万件に1件もないでしょう。)

 

この外形的な公平性を整えるために、複数の業者が参加できないことは望ましくありません。一社しか入札に参加できないのは、行政が恣意的に条件を厳しくしたのではないかと疑われ、公平の原則が守られているか住民や国民に説明できなくなる可能性があるためです。

 

例として、税情報の管理をするためのソフトを利用するためにパソコンを導入したいと考えているケースで説明します。

 

この際に、まずどのメーカーが作っている税情報の管理ソフトを導入するべきかということを決定するのですが、この場合、価格だけで決めることはできません。メーカーによって完成度が全く違いますから、費用だけで決めたなら、完成度が低く、導入しても効率の悪いソフトを導入することになって、逆に公平性が担保できないのです。(例えば、行政が、文書の作成ができるソフトを導入しようとして、金額だけで決めたなら、Microsoftのwordやジャストシテムが作る一太郎を納品しようと考える業者は、フリーソフトのLibreOfficeやオープンオフィスを納品する業者に勝負にならないでしょう。)

 

このようなケースで、多く行われているのがプロポーザルという手法です。

業者から提案をさせて、それを第三者的な人、大学教授やこの案件に利害関係が認められないシステム関連に強い人などを選定委員として、選定委員会に点数付けをしてもらい、これによりどのメーカーが作るソフトウェアが一番良いかを決定するものです。

 

他にも仕様書をガチガチに作り、機能面で差別化してwordや一太郎のような高機能のものしか通さないという手法もありますが、逆に応募できるところが一つになってしまう可能性もあり、またシステム関係に詳しい第三者から見て必要のない条件が仕様に入れてしまう可能性もあるため、行政側の人間がシステム面に相当精通していないと難しく、多くの場合でプロポーザルという手法が多く行われています。(応募が一つになると、冒頭で述べていたように行政が恣意的に条件を厳しくしたのではないかと疑われ、公平の原則が守られているか住民や国民に説明できなくなるため、そうなるくらいならプロポーザルで第三者に決めさせた方が行政的には楽なのです。)

 

これらの作業はすべて行政の公平性を担保するために日々、多くの行政組織で行われていることです。

 

そして、さらにソフトウェアの業者が決まっても、ハードウェアが同じ業者に決まる訳ではありません。税情報の管理ソフトの例に戻るなら、プロポーザル方式でソフトウェアメーカーをNECが作るものが金額と品質の両面で優れていると選定委員会が答申を出して、その答申を受けて、該当の業者とソフトウェアの導入契約を結んでも、現在作られているソフトのほとんどは、windowsやlinuxなどのOSにより動作が保証され、どこのメーカーが作ったパソコンかによって、ソフトウェアの動作が大きく変わることありません。

 

このため、ハードウェアは、windowsのバージョンなどが指定され、ソフトが動くのに十分な性能を仕様として盛り込んで、その仕様をもとに入札して価格の安いところのパソコンが導入されることが常で、NECがつくったソフトの運用のために富士通のパソコンや、時にはエプソンダイレクトなど比較的安くで業者が納入できそうな企業のものが調達され、そのパソコンで、NECがつくった税管理システムが動いているなんてことが、行政組織ではよくあるのです。

 

業者としては、NECとしてはソフトが問題を起こした時にハードの問題かソフトの問題か切り分けるのが面倒になりますから、一括で導入してくれよと思いますし、参考見積もりという形でパソコンを納入するための金額を社内で調整して行政に見積もりを出し、本番では、さらに社内調整して金額を抑えて入札するという手間をかけさせられ、参考見積りをした時の水準のものでは、とても採算が合わないような金額で他の業者に落札されて、二度と行政の仕事を受けてやるものか!と思ったりすることも間々あるのです。

 

それでも、こういうことをするのは公平性を守るためです。行政が公平性の確保に心血を注ぎ、時に無駄ではないかと思うような調達の仕方をして、公平性を常に担保して行政が執行されているなかで、週刊文春が11月の段階で獣医師会に山本規制改革担当大臣が獣医師会に説明に来て、加計学園の一校が新設されると述べたとされたことは、極めて異常な出来事で笑って済ませることのできる問題ではありません。

 

もともとから、1月に行政の公平性を担保するために、獣医学部新設を希望する大学の公募をかけてはいましたが、加計学園しか応募がないという状況でしたから、このことだけでも、公募条件の設定がおかしかったと言えるような話でした。以前にも指摘したように、地域に一つという条件付けや、ナスタチウム様が紹介していたように平成30年4月という条件が、厳しすぎたのであり、加計以外がでてこれないと察知した時点で、内閣府と文科省は、公募条件を緩めるべきでした。(このように行政の公平性が疑われるようなことになるのが目に見えていたので、文科省は、本来は文科省だけで出すべき告示を内閣府との共同告示にしたのでしょう。)

 

まさに、「行政が恣意的に条件を厳しくしたのではないかと疑われ、公平の原則が守られているか国民に説明できなくなる」という状況になっていたのです。これに加える形で、今回、山本大臣が公募前の11月に加計学園の1校のみの新設が決まったと述べていたことが判ったのですから、これは、官製談合事件の構図、そのままなのです。

 

山本大臣や、この地域に一つ、平成30年4月開学という条件を黙認した安倍政権の方々が、これに対しての責任を取らないのなら、今後、一切、官製談合事件を責め立てる権利はないでしょう。談合は必要だし、その談合に官が関与するのは当然だと普段から主張されている人は、本件について安倍政権を擁護する権利を保持しますが、それ以外の方は安倍政権を擁護する権利は持ちえないですし、持ちたくもないでしょう。

 

7月20日発売の「週刊文春」で報じられた、加計学園の問題で11月の段階で獣医師会に山本規制改革担当大臣が説明に来ていたことは、まず、間違いないでしょう。これは日付が平成28年11月17日の9時22分から10時8分まで会談したと記録されていることから、全否定して逃げることは不可能です。

 

そして、この会談の内容として、加計学園の名前をだしたかを惚けたいと思っても、出席者に山本大臣だけではなく近藤大臣秘書官、獣医師会側から会長、副会長、政治部委員長、専務と4人も証人がいますから、それもかなり難しいでしょう。(この稿を書いた時点では、まだ否定していなかったのですが、山本大臣は加計学園の名前は出していないと説明しつつ、今治に設置する大学の資金状況については説明したという、かなり突拍子のない話をしていますね。(加計学園の資金の話は、この時点では内閣の国家戦略特区に関係する極めて限定された人しか知らないことですから、この話が記載されていたことは、大きな証拠能力があることを自民党の顧問弁護士辺りから聞かされて、こういう無理やりの話をしたのでしょう。))

 

加計学園は、ここにきて「安倍内閣製談合」事件になったのです。

 

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