立憲民主党の公約 | 進撃の庶民 ~反新自由主義・反グローバリズム

2週間に1度の水曜日の今日(ローテの谷間とも言う!)は、secretary-of-japan氏の増刊コラムです。本日は「 立憲民主党の公約」という稿をいただいております!!!

 

なお、前川氏が存在を明言した前川文書の一連のことを纏めて、一目で問題の概要をお知らせできるようにした前川文書(加計学園関係)のまとめーシンも、ぜひご覧ください。


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私的には予定通りですが、民進党から左派が分離して立憲民主党を立ち上げました。
枝野さんのような、左派イメージが強すぎる方がトップとなったこと、それから、この左派イメージを和らげるような人材が確保できていないことは懸念材料ですが、まずは、左派層の有権者が投票し、意思を表示できなくなるという事態が比例ではなくなるであろう事は歓迎すべきことかと思います。

誰でも受け入れるという寛容さと、ボトムアップ方式での政策形成を特徴として打ち出した立憲民主党ですが、このまま公約をつくるのに時間を掛けますと、集まってきた菅直人氏や阿部知子氏、それに辻元清美氏などの、いわゆる『オールド左翼』の玩具にされてしまうでしょう。

尤も、それでも一定の得票は狙えますから、比例と小選挙区まで合わせると10人くらいの当選は実現可能性はあるでしょう。しかし、この場合、希望の党は伸び悩み、自民党の議席は微減に留まり、安倍政権が今後とも継続する可能性が高くなり、前原代表の捨て身の攻撃が空振りで終わる可能性も高くなります。小選挙区で希望と潰しあいをしていても議席は伸びません。希望の党は左派系ではなく、主に保守系の層を支持層に持つので、本来は希望と立憲民主党は競合しないはずですが、反安倍票としては、立件民主党との票の奪い合いになってしまいます。

 

これを避けるためには、立件民主党は、比例に的を絞り、小選挙区で希望との競合は極力避けることが大事です。

そして、比例での票を「オールド左翼」の支持層だけではなく、より幅広い層から獲得する方法として考えるなら、オールド左翼とは異なると看做されている人々を多く集め、党の中心に据えることが王道になりますが、今回は、これが難しいでしょう。次善の策ですが、公約の中にオールド左翼とは異なる印象を与えるものを打ち出すという方法があり、この方法であれば、比例で10パーセントを越える得票が可能になり、20人を越える当選者というのも現実性があるものになるでしょう。

無論、オールド左翼とは異なると思われる公約なら何でも良い訳ではありません。立憲民主党の選挙戦を考えると、希望の党に気兼ねして十分に動けないであろう民進党の下部組織は頼れませんから、実働部隊としてはオールド左翼に頼らざるを得ません。そうなりますと、オールド左翼にそっぽを向かれるような公約では、これまた、選挙が戦えなくなります。

この兼ね合いを、うまく解消し、かつボトムアップ方式の党のカラーに合う公約で主要な柱(メインマスト)となり得るものを、私が提案するとしたなら、「憲法改正を含めた参院議員制度の見直し」になろうかと思います。無論、「憲法9条の1項、2項の改正には断固反対。」という明記はオールド左翼の支持者への約束として重要ですし、セットで記載する必要があるでしょう。

ただ、憲法改正は端から反対ではなく、参議院の制度改革をセットにすることで憲法改正についても議論はしましょうという姿勢を示したなら、今までのオールド左翼に飽き飽きしていた左派層からは、「おっ!枝野は頑張っているな。」という程度の感想を得ることができるでしょう。

そして、その参院制度改革の中身として、国民の直接の参画を掲げるのが良いかと思います。
参院は、「熟慮慎重を促すところの国家機関」と定義づけたのは、大正デモクラシーの理論的指導者であり、戦後すぐに政府の依頼を受けて憲法改正調査に当たり、いわゆる「佐々木憲法草案」を作成した佐々木惣一ですが、この熟慮慎重の性格を与えるために任期が6年であることが憲法上定められました。

ところが、この6年の任期が国民の声との乖離を生み出し、あるいは、解散がないことによる地位の安定性が、芸能関係者などの知名度が高い人にとって、名誉欲と金銭欲を程よく満たす理想の就職先とされてしまい、参院の信頼を失墜させ、ついに参院不要論が巷で言われるに至りました。

佐々木惣一氏も、選挙によって参院議員が選ばれることに反対し、衆議院と参議院は同じものと考えて良いものではないと批判しておりました。他にも池田内閣で厚生労働大臣を務めた神田博議員は、「時代が経つにつれて、参院は衆院と同じ構成になってしまう。」と述べ、職能団体が推薦した候補から国民が選挙する方法が実現できないか問うています。

これに対する政府答弁は、実現が難しいとしながらも、「各業界に詳しい議員が参議院議員となることは好ましく、このために推薦という方法は有効だと個人的には思う。」と述べており、当時、職能団体推薦の制度が多くの議員から必要であるという認識にあったことが、当時の議事録からはうかがえます。

また、憲法制定時の衆議院付帯決議で、「参議院は衆議院と均しく国民を代表する選挙せられたる議員を以って組織すとの原則はこれを認むるも、これがために衆議院と重複する如き機関となり終ることは、その存在の意義を没却するものである。政府は須くこの点に留意し、参議院の構成については、努めて社会各部門各職域の経験知識あるものがその議員となるよう考慮すべきである。」とされていますから、参院制度改革を公約とすることは極めて真っ当であり、参院をなくすと公約をだすよりも遥かに現実的なことなのです。

 

以前に、貴族院と参議院の新しい形 で、参院の制度改正私案を公表しておりましたが、ボトムアップという観点で申し上げますと、国民の直接の参画となる「国民議員の構想」は、検討材料として俎上に載せるべきでしょう。また、先日、当進撃の庶民にコメントくださいました河合範安様の提案の外交権の参院優越という考え方など参院に特徴づけを行う制度というのも、検討するべきことでしょう。

立憲民進党としての成案を公約でだすのではなく、私案をいくつも出した上で、「参院制度の改革案を3年以内につくり、憲法改正も含めて対処する」と公約に入れることで、立憲民主党は支持を大きく広げることができるでしょう。間違って「安全保障法制を廃案にします」という公約をメインマストに掲げた場合は、立憲民主党はオールド左翼の玩具以上の地位を得ることは決してないでしょう。

仮に、どうしても安全保障法制の廃案を重要公約に入れるのであれば、「北朝鮮情勢の緊張を高めることは日本の安全保障に重大な懸念であり、北朝鮮等に対して対話により日本の安全を確保した後に安全保障法制を廃止する。」という形でするべきです。仮に、こうした条件を付けたものでなく、ただちに安保法制を廃止するとしてしまうようであれば、立憲民主党の支持層は社民党の支持層と共産党の支持層に完全に合致してしまうことでしょう。

立憲民主党の支持層が、社民・共産の支持層を越えて広がらなければ、比例での10パーセントを越える得票率というのは到底見込むことはできなくなり、半分の5パーセント程度の得票が精一杯であり、しかも、そのうちの3パーセントは共産党の得票が減少して流れただけだったということになりかねません。

これでは左派勢力は、安倍政権を止めるどころか、社民党と合流しても、わずか数年で滅びるということになりかねないでしょう。

 

小選挙区で、希望の党との競合はできる限り避けて、比例に力を入れつつ、公約に「夢のあるもの」や「選挙を戦いやすくするもの」(森友加計問題を追及するのに役立つであろう大臣規範の法制化など 安倍政権が次期衆議院選挙で崩壊するための3つの方法 で紹介したシナリオ2)を含めたものとし、候補者は全国を飛び回り、時に希望の党の所属となった元の仲間の応援演説をするくらいの心積もりで、選挙戦を戦い抜いたなら、予想を超える善戦をすることができるでしょうし、安倍政権を終わらせることもできるでしょう。

時間がなく、焦りもある中で、適切な判断が下しにくい状況ですが、枝野氏には、身近にいるであろうオールド左翼の声に流されすぎることなく、冷静に判断してもらえたらと思います。

 

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