災害リスクの高い都心での集住こそ危険 | 進撃の庶民 ~反新自由主義・反グローバリズム

本日は、うずら様の寄稿コラムです!

防災についてのコラムを頂いておりまして、うなずかされることしきり!なのですね。

途中でアゴラの記事が紹介されているのですが、私(ヤン)から見ても「なに言ってんだ?」という記事で、これがいわゆる『知識層、有識者』なのだとしたら、相当に劣化しているなと。

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災害リスクの高い都心での集住こそ危険~うずら様

今月上旬に九州から中四国・近畿・東海を襲った猛烈な豪雨は、各地に深刻な被害をもたらしました。
本稿を書いている10日朝の時点の人的被害は、西日本を中心に13府県で死者126名、心肺停止2名、行方不明79名(朝日新聞より)に及び、豪雨災害としては平成に入って最悪の被害だと報じられています。

お亡くなりになられた方やそのご親族、被災された方々には、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。

今回甚大な浸水被害を受けた倉敷市真備町では、水害を惹き起こした高梁川と小田川の合流地点を下流側に付け替え、湾曲部分を削り直線化させて水を流れやすくする工事が計画され、今秋にも工事用道路の建設に着工する予定だったと聞くにつけ、つくづく、災害対策で何より重要なのは、負債でも何でもないカネや財源ではなく、“時間”なのだと思いやられます。

毎日新聞の記事によると、真備町地区の浸水被害は『バックウォーター現象』が原因だと推測され、「岡山県倉敷市真備町地区で起きた浸水被害について、支流の小田川が本流の高梁川に合流する際に水がせき止められる形となる「バックウォーター現象」が起き、水位が上昇した小田川の堤防が決壊した可能性があることが国土交通省への取材で分かった。小田川は以前から水が流れにくく氾濫の危険性が高いことで知られ、国が来年度から10年かけ、合流地点を移して水位を下げる工事に着工する予定だった」と解説されています

さらに、同記事では、「現地を調査した岡山大の前野詩朗教授(河川工学)は「決壊直前は水位が相当高くなり、一気に住宅地に流入したと考えられる。工事が済んでいれば被害を抑えられていたかもしれない」と指摘している」と専門家の意見を紹介しています。

こうした事実から導き出される結論は、「災害対策は、ソフト対策のみではまったく不十分で、高次元のハード対策との融合が不可欠だ」ということでしょう。

特に、真備町の合流地点付近では1972年や76年にも大規模な浸水が起きていたそうで、避難施設への退避行動だけでは、人命は護れても、命の次に大切な財産(家屋や家財など)まで護ることは到底叶いません。

マスコミの連中は、被災者なんて自分たちのニュースバリューを上げるための道具としか思っていませんから、悲しみのどん底にいる被災者に無遠慮にマイクを突き付け、絆だの、復興への歩みだのと歯の浮くようなセリフを並べるだけで、声掛け以上の支援には決して手を貸そうとはしません。

一方、理不尽な自然災害による金銭的損失や生活再建に掛かる費用負担は、非常に深刻かつリアルなストレスとなって被災者の方々に襲い掛かります。
こうした悲劇を未然に防ぐためにも、大規模かつ迅速に防災施設を整備するハード対策が欠かせません。

しかし、広い世の中には、自然災害に立ち向かおうとせず、こそこそ逃げ回るしか能がない腰抜け論者が、何の実りもない“焦土作戦”を推奨しているから驚きです。

危険地域に住むのはやめて地方でも集住すべき』(7/8 アゴラ 八幡和郎 評論家・歴史作家・徳島文理大学教授)

「(略)こういう災害があると、建設業界が防災工事をどんどんやれというが、そんなことしていたら、そうでなくとも、高度成長期につくりすぎたインフラのメンテナンスだけでもたいへんなのに現実性がないと思う。
かつて、増田寛也氏が岩手県知事をしていたときに、いちど山崩れを起こしたところにその場での再建はせずに、安全な場所に移ってもらうと言う方針を立てていたので、私は非常によいと思った。
これだけ、毎年、豪雨が起きると、これまでより安全な場所にだけ住むことが大事だ。それに、そもそも、農山漁村では、職住近接をやめるべきだと私は主張している。(略)
とくに、崖下や地盤の悪いところからは、撤退すべきである。(略)」

“山崩れやがけ崩れが起きても放っておけ”、“下手に防災工事なんかやるとカネが掛かるし、後々メンテが面倒だろ”、“田舎者は”寄り集まって暮らせ。田畑が大事なら家から通えばいいだろ“というわけです。

こんなものは酔っ払いの居酒屋トークの類いだと思うのですが、私有財産や居住移転の自由を頭ごなしに否定する質の悪い暴論ですね。

防災工事や復旧工事(公共工事)を毛嫌いするあまり、山崩れやがけ崩れを放置しろなんて言い放つキチガイ論者には、外に出て現実を見ろと厳しく叱り飛ばしたい気分です。

国交省の資料によると、平成29年の全国土砂災害発生件数は1,514件と過去10年で最大に達し、最近10年間の平均でも年1,051件も発生しています。
(参照先)http://www.mlit.go.jp/common/001226657.pdf

中でも地滑りやがけ崩れは1,200件以上発生(しかも、東京を含むすべての都道府県で発生)しているのですが、毎年これらをすべて放置したままだと、我が国の道路はどうなるでしょうか。

なにせ、毎年1,000件以上も道路寸断箇所が発生し、それが5年間で5,000か所、10年間で1万カ所と累積的に膨張するのですから、我が国の道路網はあっという間にミッシングリンク状態に陥り、物流網や交通網は壊滅の危機に晒されるでしょう。

この程度の想像すらできないバカ者が大学で教鞭を取り、復旧工事不要論やくだらぬ集住策をぶちまけるのですから、論壇の荒廃ぶりは目を覆うばかりです。

“地方のインフラ整備に金を使うなんてもったいない”、“田舎者は崖から離れ集まって暮らせ”というのが八幡氏の持論のようですが、彼は大事なことを見落としています。

それは、防災や復旧に掛かるコストは、地方より三大都市圏の方が圧倒的に大きいという事実です。

先に土木學會が公表した南海トラフ地震や首都直下地震による想定被害額を見れば、たちどころに判ります。

2つの巨大地震による経済被害額は20年累計で1,971兆円にもなるほか、東京湾・大阪湾・伊勢湾の巨大高潮で120兆円(14か月累計)、荒川・淀川・庄内川巨大洪水で45兆円(同)と目も眩むような巨額に及ぶことが指摘されています。

八幡氏は、田舎者の災害復旧にはカネが掛かると面倒くさがっているようですが、東京をはじめとする三大都市圏こそ、いざ巨大災害の被害に遭った途端に役立たずの金喰い虫と化すことを勉強すべきでしょう。

東京という災害に弱いメガロポリスにわざわざ暮らす住民こそ、巨大災害の際に他の国民に大きな経済的負担を課す足手まといになりかねません。

今後30年以内に高い確率で発生が予想される大震災がメガロポリスに壊滅的な損害を与えるのは、容易に想像できます。

そうしたリスクを認識しておきながら、敢えて危険な土地に多くの国民を住まわせるのは極めて不合理な選択です。

都心という危険な場所を離れて、地方に分散して集住すべきなのは、むしろ三大都市圏の住民の方でしょうね。

(了)


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