久保田組のPDラテン登場で熱気の冷めやらぬ競技会場

いよいよ俺たちの出番、B級スタンダードがコールされた。


B級スタンダード・1次予選――


年度前半のB級は、A級からの降格組とC級からの昇格組の流入もあり、どの競技会でも、もっともボリュームのあるセクションだ。

1次予選のヒート数は6。

一気に30組近いペアが振り落とされることとなる。


まずはワルツ


最初に踊るワルツが得意種目であることは、メンタルが結果を大きく左右する競技会では幸運といえる。

この日も俺は差し上げた左手でリーを誘い、落ち着いてスタートが切れた

ナチュラルターンに始まる序盤は、どの組のルーティーンでもそう違いがあるわけはなく、だからこそ、実力の差があからさまとなりやすい。

無難にスタートしたかに思えた俺たちだったが、1ヒートに詰め込まれた組数も多く、LODの一辺を行き切らぬ間に、渋滞に捕まりスローオーバースウェーで時間を稼ぐも、すぐにまた他の組と鉢合わせ

進むも難儀、進まぬも難儀の90秒となる


次いでタンゴ


ナチュラルホイスクで転々と始まる前半は、なんとかしのいだ俺たちだったが、中盤で背後にいた他の組に気づかず、いきなりの接触

ルーティンを大きく崩してしまって、後はグズグズ

リーをうまくリードすることが出来ずに終わる


三種目目はスロー


スタートの短辺はうまく流せて、順調に折り返す

行きしなのバスで乗り合わせた、とある先生のファンらしき一団の顔の区別がつくほどに落ち着いて踊れていたのだが、バックチェックで振り向くと、またしても人の山

なんとか間隙を縫ってルーティンを死守するも、盛り返すことなくタイムアップ

悪い踊りとまでは思わなかったが、達成感に乏しいフィニッシュだった


自分たちの出番が終われば、今度は仲間の応援

ところが、この日はシステムトラブルが連発していて、度々競技が停まってしまう

JDSFを中心に、普及の進むタブレット端末による採点だが、今年に入ってシステムトラブルの話を度々耳にするようになったので、ひょっとすると、今年2.1Jと改まった新審判方式との絡みで、なんらかのバグが出やすくなっているのかも知れない。もしそうであるなら早期の修正が望まれる。


閑話休題。


そうこうするうちに、1次予選の結果が貼り出された


「一緒に見に行こう」


俺たちは、壁際にできた人群れに加わった


「あった


1落ちは免れた。


「19ポイントも入ってるよ。1次予選では今までで一番じゃない


達成感に乏しい割にはポイントは伸びていた。

だが、俺はタンゴの点の悪さが気になっていた

確かにクラッシュはあったが、その後の処理にもたついたことで、次への不安が拭えない。


「タンゴの練習しておこうよ。どんな展開になってもドロンに付いていければいいんだろうけど、まだまだ、ちゃんと出来ないから


おごったり偉ぶったりしないところは、リーの得難い美徳の一つである。


「俺の方こそ、ちゃんとリードできなかったからね ともかく、止まっちゃった場合に、その後どうするか、決めておこう」


俺たちは仲間の応援もそこそこに、練習の出来る小体育館へと引き上げた
(といった具合でスタンダード後半の模様は、また次回〜