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「葬式は、要らない」 その9 島田 裕巳

2017年07月25日 00時17分06秒 | 生活信条
 「葬式は、要らない」 その9 島田 裕巳(ひろみ)1953年生まれ 幻冬舎新書 2010年

 日本仏教を席捲した密教 P-57

 日本仏教の歴史において、一つ注目すべきことがある。それは中国の影響である。日本は最初、朝鮮半島から仏教を取り入れたが、それ以降も、朝鮮半島に仏教を伝えた中国から直接、新しい仏教の潮流を摂取するようになる。

 (中略)

 当初、日本人が中国から取り入れたのは、学問の性格が強い仏教である。それが、いわゆる「奈良仏教」で、奈良時代、都に建てられた各寺院では、仏教理論の研鑽が行われた。(中略)

 次に輸入されたのが密教である。密教は、修行や儀礼を通して僧侶が神秘的な力を身につけ、それを用いて国家の安泰を願い、疫病や天変地異などの災厄を取り除き、祟りを抑え、個人の病を癒すことを目的とした。密教は、そうした意味で、現世利益をもたらす力をもつ。そのため日本人は密教に飛びつきそれを大いに歓迎した。すぐに密教は日本の仏教界を席巻する。

 密教では、現実の世界のほかにさまざまな世界が存在することが説かれた。曼荼羅に描かれる世界もそうだが、密教で信仰される仏は、千手観音や不動明王などどれも異形の存在で、そうした仏がいる異界の存在が前提にあった。密教の信仰を受け入れることは、現実とは別にさまざまな異界が存在するという新しい世界観を受け入れることを意味した。

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