もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

151126 日刊ゲンダイ:しょせんは大阪ローカルの橋下維新 永田町の裏を読む/高野孟

2015年11月26日 22時11分53秒 | <憲法の危機>は「戦後最大の危機」
11月26日(木):
日刊ゲンダイしょせんは大阪ローカルの橋下維新 永田町の裏を読む/高野孟  2015年11月26日
  大阪ダブル選挙が橋下維新の2勝という結果となり、マスコミは「野党再編にどう影響するか」とか「橋下自身が参院選に出るのか」とか大げさに書き立てているけれども、全国民的にみれば、ほとんど論じるに値しないほどマイナーな話題である。
  第1に、自ら火を放って騒ぎを起こし、架空の争点を仕立てて抗争に持ち込んで、敗れればまた次の奇策で「起死回生」を図るという橋下流の単調な作劇術に、誰もがウンザリしている。
  第2に、それがまだ通用するのは、政治をお笑い番組のドタバタ劇のように楽しむ人が多いという独特の風土を持つのは大阪だけなので、橋下は維新を引っかき回して四分五裂に陥れた末に、結局「大阪維新の会」に立てこもり、最後の砦だけは死守しようとした。
  第3に、それで何をするのかといえば「大阪都構想への再挑戦」だという。5月の住民投票で否決されたものを、「僅差だったからもう一度」というのもどうかと思うが、それ以前に、そもそもこの構想が奇怪なのは、大阪のことだけを想定していて、何ら全国的な普遍性を持たないことである。御厨貴東大名誉教授が「必要なのは、全国の地方分権にどう一般化していくのかという視点だ。全国の地方が変わっていくという話にならないと、みんなが関心を持たない」(23日付朝日新聞)と言う通りである。
  府県と政令指定都市とが「二重行政」の弊害を抱えているのはどこも同じで、そうだとすれば神奈川県と横浜市・川崎市も、愛知県と名古屋市も、兵庫県と神戸市も、みな同じように市を解体して府県が「都」を名乗ればよいということなのか。それとも、大阪は特別だから東京に対抗して「都」を名乗る権利があるというのか。
  さらに、これまでいろいろ議論されてきた「道州制」構想との接合はどうなるのか。全国を9の道州に再編する案だと、大阪府は解体されて関西州に統合されるが、12道州案だと今の大阪府が独立して「大阪副首都特別州」になるという考え方もある。いずれにせよ、道州制なり何なりで国の姿を抜本的に改革しようという時に、その全体的な制度設計がまずあって、その中で大阪はどういう形をとりたいのかという順序で物事を考えないと話にならない。
  結局、この何度目かのドタバタ劇で再確認されたのは、橋下が大阪ローカルの域から一歩も出られない程度の政治家だったということである。
▽たかの・はじめ 1944年生まれ。「インサイダー」「THE JOURNAL」などを主宰。「沖縄に海兵隊はいらない!」ほか著書多数。


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