父親とめずらしく、丸物百貨店の
大食堂へ行ったことがありました
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当時のことはよく覚えていないのですが
大食堂が混んでいたのか、ウェイトレスが
わがテーブルになかなかやってきませんでした
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突然、父親は「出よう…」と立ち上がりました
大食堂の応対に腹を立てたのか？、それとも
別のアイデアが浮かんだのか？、私と父親は
丸物百貨店を出てなぜか京都駅に向かいました
何代目かの京都駅で改札からホームを眺めていると
白煙を吐きながら蒸気機関車に引かれた列車が
猛烈なスピードで通り過ぎていきます
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父親は突然、「大阪へ行こうか？…」と
省線電車で大阪へ行くことになりました
京都から大阪へ向かう交通手段は
京阪電車で京阪三条駅～大阪天満橋（てんまばし）か
新京阪で四条大宮～梅田の郊外電車でした
京阪も新京阪も電車はこぢんまりと二両編成でした
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ラッシュアワーで六両、八両編成になったのは
戦後の職住分離になってからです
丸物百貨店を出て、省線電車で大阪へ出た
父親と私は、道頓堀の座敷で、すき焼きを食べました
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夜、帰宅した父親と私を見た母親は
帰りが遅いので心配していたのでしょうが
顛末を聞いた母親はヤレヤレと呆れていました
当時は、勿論、携帯電話はありません
家の母親に連絡はできません
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家に、固定電話もありませんでした
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世の中はのんびりしていたのですね
