『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1165

2017-11-17 15:25:20 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 一行はマリアの集散所に着く、イリオネスにとっては久しぶりに目にする風景である。あの時に目にした風景が、ふっつ、ふっつと思い出される。
 オキテスがイリオネスの傍らに歩み寄る、オキテスにとっては初めて目にする光景である。彼は集散所の敷地に足を一歩踏み入れてたまげている。
 『お~っ!何という人の多さだ。軍団長、キドニアの集散所とは集っている人の数が違います。驚きです』
 『クノッソスとはちい~と違うが、キドニアとは賑わいの度合いが違う。また、語る機会には語ってやる。今は、やるべきことに集中しろ』
 『解りました』
 マリアの集散所の敷地の広さ、建物の構造、内部構造、間取り、敷地の区割り等の設定は、キドニアの集散所と瓜二つといえるくらいによく似ている。
 両集散所の違いは、集散所を利用する人の数である。マリアの集散所を利用する人の数は、キドニアの集散所を利用する人の数に比べてはるかに多いであろうと感じられた。
 スダヌスがテムノス浜頭、イグデス、そして、二艇に乗り組んでいる漕ぎかたの連中を連れて集散所の中庭に昼食の場を設定する。
 『イリオネス殿、人員総数は何人くらいかな?』
 『65人分くらいです』
 エドモン浜頭は、イリオネス、オキテスの二人と話し合いながら、昼食のパンとつまみ類を調達する。オキテスがイリオネスから預かっているドラクマ銀貨で決済する、おつりは集散所の木札で受け取る。
 買い物を滞りなく終える、伴に連れてきた者に持たせて、スダヌスらの待つ昼食の場に来る。
 『エドモン浜頭殿、世話をかけました。ありがとうございました』
 オキテスが要領よく昼食の場を指示して整える。
 『一同!昼食です。さあ~、始めてください』
 彼らの昼食が始まった。スダヌスが座を立ってオキテスのそばに寄ってくる。小声でささやく。
 『俺が一緒に行く、ぶどう酒か何か飲み物を準備しに行こう』
 『そうだな』
 スダヌスとオキテスが座を離れていく、間をおかずして、二人は客人用にぶどう酒を、漕ぎかた連中には軽飲料を準備して戻ってくる。
 昼食はにぎわった、飛び交う話は航海談義であり、集散所の想像談義である、その談義もオキテスの一語で幕を閉じる。
 『ギアス、グッダス、カイクス、三人で一同を連れて集散所を見学して来い。船の留守役の昼めしを持っていくことを忘れるでないぞ。解ったな』
 ギアスが船の留守役四人分の昼食を整えて、漕ぎかたの一人に運ばせる。たどたどしいながらも昼食が終わった。
 オキテスがギアスとゴッカスを呼び寄せて、昼からの段取りを打ち合わせる。
 『我々は多人数で今夜はマリアに停泊するわけだ。宿営の準備をしなければならない、解るな。今夕の夕食と明朝の朝食のことだ。パンの数も並みの数ではない。スダヌスに助けてもらって準備する。それを係留の浜に運ばねばならん、解るな。漕ぎかた連中を10人くらい引き連れて、太陽がこの高さくらいの頃合いにこの広場へ来てくれ』
 オキテスが腕を伸ばして太陽の高さを示す。
 『解りました』
 ギアスは、グッダスとカイクスと打ち合わせて、漕ぎかた連中を三隊に編成して、集散所の見学に向かう。
 ゴッカスは、エドモン浜頭のもとへ新舵構造の説明に向かう。。
 オキテスはスダヌスを連れて、今夕の夕食と明朝の朝食の調達に歩を運んだ。


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