言葉って面白い!

この日本語、英語でなんていうの?その奥に深い文化の違いが見えてきませんか。

lieと「見られる」の意外な共通点とは?

2018年01月27日 | 言葉
イギリスの知人と言葉について話しているうちに、興味深い話になりました。

例えば、子供たちが寝る時間になっても騒いでいて、母親が「横になりなさい!」と叱る時、どんな英語を使いますか?
Lie down.
これが本来の表現です。
ところが、最近若い人たちや高等教育を受けていない層の人たちにありがちな表現として、
Lay down.
というのをよく聞くそうです。
文法的には間違いなのですが、大変よく使われているので、かなり人口に膾炙した表現になっているそうです。

もともとlieは「横になる」という自動詞。layは「横に寝かせる、置く」という他動詞です。
ですから、She lays the baby on the sofa. 彼女は赤ちゃんをソファに寝かせる、といった使い方が正しいわけです。
自分が横になる時は、lieです。

ところが、問題はここから。
lieという動詞は、「横たわる」の他に、全く同じスペル、同じ発音で「嘘をつく」という別の意味にもなります。
ともに日常生活でよく使われる言葉で、使用頻度も同じ。
文脈やシチュエーションがなければ、どちらの意味か、全く分かりません。
一方で、横たわるがlieで横たえるがlay。似たようなスペルと発音で微妙に使い分けなければならない。
かつlieの過去形がlayとなっているから、余計に複雑。
これは混乱してしまいますよね。
それならば、ということなのでしょう。
「横たわる」も「横たえる」もlayにしてしまえば、「嘘をつく」のlieとも差別化できて分かりやすいわけです。

これって日本語のいわゆる「ら抜き表現」と似た現象だなと思いました。
「見れる」という表現は、本来間違いで「見られる」とすべきです。
ところが、最近若い人たちを中心に「見れる」がよく使われています。
これは、実は「見られる」という表現が二つの意味を持っていることが原因なのだと思います。
「見られる」は、「人から見られる」という受動態と、「珍しい動物を見られる」という可能と、両方の意味で用いることができます。
英語にすれば、I am seen.と、I can see.という全く違う意味を、日本語では同じ言葉で表現しているわけです。
これは混乱のもと。
というわけで、「見られる」は、受動態として「人から見られる」といった用法に特化し、可能を表す場合は「見れる」にした方が混乱しにくいということです。

英国では、Lay down.と子供を叱る母親は「教養のない人だな」と見られるそうですが、徐々にその違和感が薄れてきているようです。
日本語の「見れる」も同じ現象だと思います。
言葉は、時間とともに少しずつ整理されて、混乱の少ないものに進化していくものなのでしょう。







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1 コメント

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Unknown (トップブログランキング)
2018-02-03 22:23:35
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