「大氣が冷えて來て、露が出來始める頃」
「野草に白い露が光り輝く季節」という意味があります。
このところ朝晩は涼しくて、その白い露のおかげで
土や緑の深い香りが虫の音と共に、
「鶺鴒鳴(せきれいなく)」そして「玄鳥去(つばめさる)」と、
なんとも美しい言葉が並びます
末候「玄鳥去(つばめさる)」
実はこれを見て、私には少し気がかりなことがありました。
うちの店の入り口にはつばめの巣が3つもあり、
毎年子育てをするつばめで賑わっていました
小つばめのふわふわの毛がはえかわり、飛ぶ練習をはじめて
上手に飛べるようになると巣立ち
また新しい家族が子育てを始め…と毎年2回から3回、
子育てをしたつばめたちが旅立っていく様子を見守るのが、
毎年の楽しみでもありました。
ひとりぼっちのつばめ
そのなかで最初のうちは、夜になると帰って来たつばめが
一羽いたのですが、そのうち帰ってこなくなるはずが、
今年はこの時期になってもまだ帰ってくるつばめがいたんです。
こんなことは開店してから、はじめてのことでした。
つばめは全員が南へ飛び立つ訳ではない、とお客さんから聞きました。
じゃあこのこは、ひとりでここで冬を越さなければいけないの?
身を寄せ会う仲間もいない、寒くなったらご飯はどうするの?
同じ商店街のお店には、フンをするのを嫌がり、
せっかく作った巣を壊してしまうお店もあります。
そんなふうにされたら、家もなくなってしまう
つばめにはわからないかもしれないけど、
私たちがいなくなったら見守る人もいない。
ほんとうの一人ぼっち。
閉店を前に一人ぼっちのつばめが心残りで、
私は毎日話しかけていました。
仲間のところにいかないの…?
私たちもそのうちいなくなるんだよ…?
羽ばたく君の幸せを祈る!
そんなつばめが、先週くらいからやっと帰ってこなくなりました。
どこか別の場所を見つけて、このところ寒くなってきた
身体を休めているのか、仲間を探しにいよいよ飛び立ったのか。
どちらにしても、そのこの未来が明るいものであることを祈り
つばめの子も次のステージへ進んだのだと思うことにしました。
玄鳥去 空飛ぶ先は 風に聞け
羽ばたく君よ 永久に幸あれ
早く仲間に逢えますように