70の瞳

笑いあり涙あり、36人の子どもたちが生活する児童養護施設「さんあい」の出来事や子どもと職員の声をお聞きください。

「許し」

2018-05-07 16:18:10 | 愛すべき子どもたち

日本社会は、全体的に不寛容な社会になっていると感じる方は多いのではないだろうか。 一つの理由は、人権養護や多様性の意識の高まりで、今まで日本社会の道徳規範として確立されていなかった対人関係の課題に対する行動規範が法律的にも明確にされてきたことが挙げられる。セクシャルハラスメント、パワーハラスメント等は、その良い例だ。 また不倫等の問題は、いつの時代も存在した。 外で妻以外の女性を囲うことは、「男のかいしょう」とまで男の傲慢がまかりと通った時代もあった。 しかし今は、ほとんどの国では夫婦の倫理規範としては不適切とされているし、パートナーが苦しむ大きな原因だ。

そう考えてみると、全体的には少々息苦しく感じる不寛容さは、所謂被害者(多くの場合は弱い立場にある方々)にとってはよい社会だ。 一方で、人間は、加害者にもなりうるし被害者にもなりうる。一度、加害者になってしまった人は、二度と許されないのだろうか。そんなことはない、いやそんなことはあってはならない。罪を償い法的に許されれば、社会に復帰できるのが健全な社会と言える。

さんあいの子どもたちの生活を見ていると、喧嘩があり、約束を破ることあり、嘘をつくことがある。謝るだけでは解決しないことも勃発する。でもまず謝ることから修復する。時が必要な場合もある。職員の長期介入が必要な場合もある。でも基本、「ごめんね!」と「いいよ!」の繰り返しのように感じる。 「許し」があって、被害児側も加害児側も本来の生活を取り戻して行くようだ。

こんな小さな施設でも「許し」が無くては、生活が維持できない。いわんや日本社会全体に「許し」の精神が失われてゆくとき、子どもたちの将来はどうなるのだろうか、少々心配になる。

 

 さんあい中庭で展開される様々な喧嘩や許しも、子どもたちが成長に大きな影響を与えている。

 


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