ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

教育予算削減の秘策?

2014-10-28 07:57:11 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「究極の形」10月22日
 『赤字2700万円自腹補填』という見出しの記事が掲載されました。記事によると、『大阪観光局が今年4月に開催した国際音楽イベントが約9400万円の赤字を出し、うち2700万円を実行委員長の加納国雄局長が自費で補填していることが分かった』ということです。
 加納氏は、大阪府や市の生え抜きの職員ではなく、『香港政府観光局日本・韓国地区局長』から引き抜かれた人物だということです。要するに、その経歴や能力を見込まれて一本釣りされたということなのでしょう。
 私には、加納氏と民間人校長の姿が重なって見えてしまいました。どちらも、従来の公務員組織の中の人材に不満をもち、ぬるま湯につかっていない外部人材の登用こそが問題解決に有効だという改革派首長の発想の下で実現したものです。そして、ヘッドハンティングをしてきた首長側は、外部人材の不手際については任命責任を取らず、本人に責任を負わせるという図式です。
 学校教育では、事業の赤字という形で損失額が明らかになることはありません。だからこそ、今まで「成果」をあげられなかった民間人校長に損失補填を求めるということはありませんでした。しかし、一般行政の分野においても、横領等の犯罪行為以外で個人に損失補填を求めることはなかったのに、今回加納氏のようなケースが発生したわけです。
 この出来事に対する大阪府民の反応が気になります。もし、「自分たちの税金が使われずに済んだんだからよかった、さすが橋下さんやわ」というような反応が多ければ、今後学校教育の分野でも、民間人校長の採用を進め、その際、具体的な成果を契約書の形で明記し、一定期間内に達成できなければ、給与の返上とか経費の一部補填というような契約を結ぶということが一般化していく懸念があります。
 そうなれば、何が何でも目標達成ということで、それ以外の部分に負の影響が生じ学校教育が歪められる可能性があります。そしてやがてすべての校長に補填計画が強要されるようになっていく、かもしれません。さらに「進化」して、ここの教員に対しても、契約書に明記した「成果」をあげられなかった場合、給与返上を義務づけるというところまで至れば、学校教育は崩壊です。それでも、教育予算の削減が実現したと支持されてしまうのでしょうか。

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