ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

本音を聞き取る調査を

2016-07-27 07:24:12 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「カネだけではない」7月22日
 『介護業界「3年で離職」の壁』という見出しの記事が掲載されました。その中に、『離職率が高いのは賃金が低いことが挙げられる~(中略)~だが、それだけではない。介護労働安定センター調査では、介護への入職理由は「働きがいがある」(52.6%)がトップ。一方、離職理由は△職場の人間関係26.6%△施設の理念や運営に不満22.7%-が上位にあり「収入が少ない」(18.3%)を上回る。初心との落差が歴然だ』という記述がありました。
 他人の役に立ちたいという崇高な理想を抱いて介護の道に足を踏み入れた若者が、現実の厳しさの前に挫折させられるという図式です。もちろん、現実の厳しさが、介護という職そのものと不可分なものであるのであれば、若者の甘さを批判することも可能ですが、記事を読む限りそうではないのです。
 施設の利用者の幸せを第一に考えて入職したにもかかわらず、経営者は効率やコストカットばかりを重視する、利用者のためではなくカネのため、という醜さに嫌気がさすのです。あるいは、効率やコストカット第一主義に染まり切った先輩の姿に将来の自分を見、絶望して辞めていくのです。
 このことは、意欲ある若者を継続的に受け入れその職にとどめるためには、賃金や休暇などの労働条件だけでなく、若者の理想を大切にし、職への誇りをもたせることが必要だということを示しています。
  こうした原理は教職においても同じはずです。若者は教職に対してあるイメージをもっています。私は教員採用の面接を何回も体験してきました。面接という場ですから建前を話すという傾向はあるでしょうが、そうした傾向を割り引いても、彼らは、教職に対して、楽しい学校生活を通して一人一人の子供に生きる力を育む、すべての子供に世の中に必要とされている存在だという自信をもたせる、子供の立場に立ち子供に寄り添うことで成長を手助けする、など、現実を知る私から見れば美しすぎるようなイメージを語ったものです。
 もちろん、現実はそんなに甘いものではありません。私はこのブログで、そのことを再三書いてきました。しかしそれは、様々な背景をもつ子供と接するという教職のもつ宿命のようなものであり、教員であれば避けることができないものです。それで辞めていくのであれば引き留めることは無益です。
 ただそうではなく、校長が外部の評判ばかりを気にするとか、先輩が業績評価に書いたことだけに力を注ぐとか、職場にボスがいてみんながその鼻息を伺っているといったことに失望して辞めていくことだけは防がなければならないと思っています。
  教員は、介護職に比べれば、賃金等の労働条件は格段に恵まれています。それでも辞めていく教員に、なんで辞めるのか、きちんとした調査は行われているのでしょうか。

 

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