ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

昔は長かった

2018-03-17 08:37:11 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「逆」3月9日
 『校則 昔より今が厳しい』という見出しの記事が掲載されました。校則見直しを求めるNPO法人が行ったインターネット調査の結果に関する記事です。その中に、『校則が厳しい学校ほど教員が人前で叱責するなど理不尽な指導が増え、いじめを体験した割合も高くなる傾向が確認された』という記述がありました。
 とても違和感を感じました。ます、人前で叱責=理不尽な指導という認識についてです。確かに大勢の前で叱責することは、その子供のプライドを傷つける可能性がありますし、教育相談室などに呼んで個別指導した方がよいケースもあります。しかし、現実問題として、「人前で叱責」をなくすことはできません。授業中私語を止めない子供に対して、「おしゃべりをやめなさい。真面目に授業を受けようとしている人の迷惑になりますよ」と言うことはどこの学級でも行われていることです。
 学級内に3人私語を止めない子供がいるとき、一人一人に対して、「○○さん、授業が終わったら相談室に来なさい」と声を掛けることはしません。それでは、指示を受けた子供は何で休み時間を削ってまで相談室に行かなければならないのか理解できず、従って私語を止めることもありません。また、私語を止めないことを責めることもできません。私語を止めなさいという教員の意思は伝わっていないのですから。
 また、他の子供も、何がいけなくてその3人が相談室に呼ばれたか分かりません。それでは不安になってしまいます。理由も分からないまま突然相談室に呼び出されるという状態は、事前に対処のしようがないことになりますから。
 さらに、人前で叱ることには、ある行為がよくない行為であるという価値観を子供全体に刷り込むという効果があるのも事実です。このように書くと、叱責と注意や指導、指示は違うという反論がありそうです。それは一理ありますが、それならば、どのような叱責が人前で行ってはいけないのか、明確にしなければなりません。「人前で叱責」に全て問題があるように決めつけるのは行き過ぎというものです。
 それ以上の疑問なのが、「校則が厳しい学校ほど~理不尽な指導が増える」という認識です。逆なのではないでしょうか。教員がつい「理不尽な指導」をしてしまうような状況が日常化しているほど荒れた学校では校則が厳しくなるというのが、正しい因果関係だと考えます。つまり、原因と結果が逆転していると思うのです。
 もちろん、どのような状況であっても、「理不尽な指導」に頼らずに子供を導くことができるだけの力量を身につけていることが教員の条件ではあります。しかし、それは理想論すぎます。私も、力や規則で押さえつける指導は邪道だと考えています。また、教員自身が指導力を高める努力を怠ってはいけませんし、教委や管理職も教員が指導力を高める機会を十分に与えなければなりません。ただ、因果関係を正確に捉えずに理想論を語ることは問題解決にならないと思います。
 「下着の色」規制についても、「見せブラ」などなかった時代、不良少女の制服はロングスカートが常識だった時代とは違うのですから。

 

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