新宿少数民族の声

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8月15日 その3 カタカナ語の分析

2017-08-15 11:31:38 | コラム
「タイムリー」だの「メジャー」だの:

本15日は雨天で甲子園の野球はお休みらしい。あれを止めろとは言いながら、こう鬱陶しい天候が長引けば時々はそれこそ暇つぶしと好奇心で見ている。そこで気になるのが「カタカナ語の宝庫だ」と長年くさしてきた野球用語が聞けることだ。一方では「松山英樹がメジャータイトルを取れるか」との話題がマスコミを賑わしていた。そこで、カタカナ語排斥論者は立ち上がるべしと奮起した次第だ。

先ずはメジャーだが、これは今日までに繰り返し批判してきた通りで”major”は「メイジャー」に近く発音するもので、メジャーに近い英語の単語は”measure”しかないのだ。全ての有識者は恥じることももなくメジャーと言い且つ書いているのは、如何なる神経の持ち主かと呆れている。文科省は英語教育を小学校からと言うのならば、大人の誤ったカタカナ語の使用を禁じることから始めたら如何かと言っておく。

野球の中継を聞いていてある原則に今頃になって気が付いた。それは「カタカナ語にする際には、元の英語の頭の部分を採って造成する」という手法があったのだ。その解りやすい例を挙げてみよう。それは戦後間もなくは”timely hit”との英語を導入しNHKは「適時打」と訳して使っていたもの。それが、何時の間にやら「タイムリー」と省略してしまったようなものだ。”timely”だけでは何の意味も為さないのにも拘わらず、適時打と誰もが解釈しているようなのが凄いと思う。

他にも「フリップ」というのもある。これは元はと言えば”flip chart”のことだとは思うが、誰でもが「フリップ」と言っているのはおかしくもあり悲しくもある。それは当然学識豊かであるはずの方々がテレビ局に指示でもされたのか、躊躇うことなく「フリップ」と言ってしまうのだ。あの方々は何処かで英語を勉強されたはずで、”flip”の意味くらいはご承知であろう。テレビ局に「君、それは誤りだよ」くらいは仰せになるはずだと期待したいのだ。

私が静岡放送にお世話になっていた時に、当時の厳しいデイレクターのG氏に「まさか、フリップなどという言葉は使わないのでしょうね」と確認したところ「安心しなさい。私はキチンとチャートと言って貰うよう出演者に伝えてある」と答えられて安心したものだった。それなののキー局ではあの惨状である。

このように頭だけ採る例には他にも「インフル」がある。言うまでもなく「流行性感冒」のことだ。これがどれほど奇妙であるかは何度も指摘した。「インフル」では「他にも”influence”があるではないか」と言った。しかも、英語には短縮した言葉で”flu”=フルー」があるとも紹介した。だが、頭取り方式を打破するまでには到らなかった。

この手にはファーストネームを恰も名字のように考えて使う「マイケルさん」(マイケル・ジャクソンやマイケル・ジョーダン)があれば、「ポールさん」(ポール・マッカートニー)もある。私は、あれはファーストネームもファミリーネームも区別できないのだと思っていたが、どうやら頭取り方式だったと思えば納得できると気が付いた次第だ。

しかし、劣等感を「コンプレックス」としても通じてしまうという、後半を採るという恐ろしい例もある。思うに、あの元の英語が”inferiority complex”だと知らない人が多いのだろうが、学識経験者の方々が何時の日かは誤りを指摘されるかと、ここでも密かなる期待は抱いている。何でも縮める文化が我が国の特徴だが、元の英語の意味を乱すような短縮は控えて貰いたいのだが。



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