R.L. Burnsideの呪術的なOne Chord Blues。コイツは最高にDopeだ。その繰り返しの美学はFunkやHip HopやTechco、House MusicのようなMinimalな快感に米国南部独特の埃っぽさやざらつきを加える。弾き語りで、ただひたすらOne Chordを繰り返し、時間と空間を歪ませていくHypnoticなBlues。そこには哀愁とか枯れたというBluesのClicheは登場しない。Mississippi生まれの我が道を行くBlues Manは91年公開の映画『Deep Blues』で、ようやく、好きモノ連中から注目を集めることになる。その時代を越えたDeepで麻薬的な魅力を持ったBluesは格別だ。40年代にChicagoに移ったにもかかわらず結婚を機に故郷に戻り、様々な職業に就きながら、何とか地元のBarやJuke Jointでギターを弾き続けてきた男。ドロドロとしながらもRelaxした、ある種の突き抜けた音を時代が求めたのか、歪んだ、つたないエレキをOne Chordで執拗にかき鳴らすRawでPrimitiveなSlow Bluesに魅了されたMusicianも数知れず。Jon Spencer Blues Explosionと共演した『A Ass Pocket Of Whiskey』も大好きであるが、個人的には本作の、自然体でギターをかき鳴らすBurnsideに魅かれる。 批評家/WriterのRobert PalmerのProduceで、Burnsideが、義理の息子と呼ぶ30年以上もバックをつとめてきたギターのKenny Brown、ドラムスのCalvin JohnsonとやらかすDopeなBluesは病みつきになる。Arhooolieから69年にリリースされた『Mississippi Delta Blues Vol. 2』で、初期のBurnsideのAcoustic Guitarでの弾き語りを聴くことができる。Fat Possumから出たアルバムの迫力こそないが、我が道を進む頑固でいかがわしいBluesオヤジぶりは感じることができる。
『Too Bad Jim』はR.L. BurnsideがFat Possumから94年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目はお得意のOne Chord Boogie“Shake 'Em On Down”。永遠に続いていくかのような、このMississippi Bluesにハマると、もう抜け出せない。
歪んだエレキで始まる Burnsideの淡々とした弾き語り“When My First Wife Left Me”。遠くから聴こえてくるようなHarmonicaがイイ感じ。
これまたDopeなSlow Blues“Short-Haired Woman”。
勢いのあるBoogie“Old Black Mattie”では、もうたまらず身体が動き出す。
どす黒く無骨に響くSlideが最高な“Fireman Ring The Bell”。
古き良き米国南部から現代の歪んだ空気を通してタフな生命力を伝えるOne Chordの弾き語り“Peaches”。
イントロのGarageなエレキが素晴らしい“Miss Glory B.”。これまた時間を歪ませていく独特の空気感が素晴らしい。
つたないエレキと不器用なVocalが独特のJunk Bluesな味わいを醸し出す“44 Pistol”。
大好きな弾き語り“Death Bell Blues”。
最後をシメるのは猥雑でGlitterなエレキの響きが最高のElectric Delta Blues“Goin' Down South”。
◎When My First Wife Left Me/R.L. Burnside
(Hit-C Fiore)