War Child/Jethro Tull | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 Jethro Tullというバンドはずっと聴かず嫌いだった。Punk上がりの自分は長い曲が苦手であったのでアルバム全1曲とか組曲というのがあるというだけで、このバンドを敬遠してきた。そこで曲が短そうでジャケットが素晴らしい『Heavy Horses』を手に取ってみたのが初Jethro Tull。そして英国のTraditional Musicが彼らの根底に感じられるそのサウンドに見事にハマったのである。続いて手を出したのはジャケットが妙に気になる本作、その魅力が初心者の自分にはわかりやすくかったこともあってお気に入りの作品となった。前作『Passion Play』 がアルバム全1曲の難解な作品と言われているが(自分はそう思わないし、後に大好きな作品となった)、すべての曲が6分以内のナンバーで構成された本作は、Tullの入門編としては打ってつけかもしれない。David Palmerの指揮によるOrchestrationを全面的にFaetureしてはいるものの、とってつけた感がないのが流石。Tullの灰汁の強さこそ強烈に感じられないが、リーダーでFluteSaxを吹きアコギも弾くVocalのIan Andersonの果てしない創作意欲が感じられる。動と静の鮮やかなContastをつけた凝った曲展開で一糸乱れぬリズムでバンドをDriveさせるベースのJeffrey Hammond-HammondとドラムスのBarriemore BarlowのCombinatonも素晴らしいし、鍵盤奏者の才人John EvanピアノOrganSynthesizerAccordionと大活躍。Andersonの片腕Martin Barreのギターが他のアルバムに比べて幾分大人しいが、それでも随所で渋いプレイを披露している。そして何よりもAndersonのアコギ弾き語りの部分が個人的にはツボである。

 『War Child』はJethro Tullが74年にリリースしたアルバム。
1曲目はアルバム・タイトル曲“War Child”。警報が鳴り響く中、親子の何気ない日常の会話、そして爆音、ぶっぱなされる銃の音、意味ありげなSEからSaxピアノが印象的な演奏とVocalが始まる。TheatricalなIan AndersonのVocalにStringsが加わり、中々味わい深い。
Evanの弾くAccordionが心地良く響く“Queen And Country”。スリリングに絡むStringsも良い。
Tradっぽいアコギの爪弾きFluteが心地良い“Ladies”。この曲も格調高いStringsが加わっているが、TradやBluesを取り入れた英国らしさが濃厚な演奏と乖離していないののが素晴らしい。
Back-Door Angels”は、Fluteによる静かな始まりから、ようやく後半にギターがRiffやソロも前面に出てきて所謂Rockな感じが気持ち良く聴ける。
これまたFluteとギターのRiffのイントロがカッコイイ“Sea Lion”。
Andersonのギター弾き語りをメインにした“Skating Away On The Thin Ice Of The New Day”はBritish Tradを感じさせるナンバーで個人的にはアルバム一番のお気に入り。
猛獣の鳴き声のSEから始まるPopな“Bungle In The Jungle”。
Only Solitaire”も英国の香り漂う素晴らしいアコギの弾き語りだが、すぐ終わってしまう。
続く“The Third Hoorah”もTraditionalなJigを思わせるナンバーだがTullらしい凝った展開に口ずさめる歌メロをのせるところが良い。Bagpipeが登場するところは何回聴いても感動する。Stringsも効果的。Andersonの故郷Scotlandへの思いが伝わってくる。
最後の曲“Two Fingers”。Saxが登場してRhythmが中々面白いナンバー。

Skating Away On The Thin Ice Of The New Day/Jethro Tull

(Hit-C Fiore)