Ludovico Ariosto①<原文で読む古典の楽しみ>イタリア語 | Laylahの猫足イタリア語

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らいらです。「NHKまいにちイタリア語」でのやり直しイタリア語の学習記録をぺたり♪イタリア語で伝える愛の言葉・愛の表現もどうぞ☆

ひらめき電球今日覚えた使えるイタリア語




朗読の響きが心地よいイタリア古典文学。白崎容子先生の「原文で読む古典の楽しみ」。ダンテ『神曲』、ペトラルカ『俗語断片詩集』、ボッカッチョ『デカメロン』、ロレンツォ・デ・メディチ『謝肉祭歌集』
、マキャヴェッリ『君主論』に引き続き、アリオストの『狂乱のオルランド』を書き起こしましたネコ




本 原文で読む古典の楽しみ

  
黎明期からルネサンス時代のイタリア文学
   Quattro passi nella letteratura classica italiana



右矢印イタリア古典文学作家6人の作品を通して、現代とは異なる黎明期からルネサンス期のイタリア語の響きを楽しみ、魅力に触れ、気に入った一篇を口ずさめるようになるのが、この講座の目的の1つ。



La letteratura italiana delle origini e del Rinascimento
黎明期からルネサンス時代のイタリアの古典文学




くーさん 白崎容子先生のセリフ

パパ Marcoさん(斜体字)のセリフ

(スクリプトがなく答え合わせもできないのですが、学習の記録としてディクテーションに挑戦したものをそのまま載せています。
途中の猫まーく(ネコ)は私の感想などです)





12月21日放送分
Lezione 21 Ludovico Ariosto ①




«Orlando furioso» Canto 23 stanza 103
ルドヴィーコ・アリオスト『狂乱のオルランド』 第23歌 103節




くーさん いよいよ6人目、最後の詩人になりました。締めは?


パパ «Orlando furioso» di Ludovico Ariosto.


くーさん アリオストの『狂乱のオルランド』。日本語訳は『狂えるオルランド』のタイトルで知られています。作者ルドヴィーコ・アリオストは1474年の生まれ、マキャヴェッリより5歳ほど年下です。同世代ですね。生きたのはやはり、イタリア半島が戦乱に明け暮れる時代でした。


パパ Gli autori di cui abbiamo parlato nelle scorse lezioni, Dante, Lorenzo il Magnifico, Machiavelli, erano tutti in qualche modo legati a Firenze. Oggi invece ci spostiamo in un'altra città. Andiamo a Ferrara.


くーさん はい。ダンテ以来、この講座ではフィレンツェに縁のある文人を取り上げてきましたが、最後は少し北のフェッラーラに移動します。フェッラーラと言えば、あのサヴォナローラの出身地ですけど。


パパ Sì, a quell'epoca Ferrara era sede della Corte Estense, cioè della famiglia d'Este.


くーさん この時代には、学芸の保護で知られるエステ家のもと華やかな宮廷文化が栄えていたんですね。父親がエステ家の代官だったアリオストは10歳になるころからフェッラーラで暮らします。

さて、物語詩《 Orlando furioso 》は?


パパ È un'opera lunghissima composta di quarantasei canti.


くーさん 46の歌からなる長大な作品。長いけれど、飽きることのない血湧き肉躍る騎士物語です。物語のルーツは、11世紀フランスの叙事詩『ロランの歌』。ちなみに、オルランドというのはロランのイタリア語読みです。

内容は?


パパ Un racconto di gesta cavalleresche durante lo scontro tra esercito cristiano di Carlomagno e quello saraceno.


くーさん カルロマーニョ、シャルルマーニュ(カール大帝)と言えばわかりやすいかもしれませんね。彼が率いるキリスト教徒軍とイスラム教徒のサラセン軍とのパリ攻防戦の物語。時代設定は西暦800年の頃と考えましょう。

シャルルマーニュ軍の騎士たちのことを?


パパ I paradini.


くーさん パラディン騎士と呼びますが、その中でも特に武勇と知性に優れているのが主人公オルランドです。様々なエピソードに込められたテーマは?


パパ Le dame, i cavallier, l'arme e gli amori.


くーさん 女性、騎士、武勲と恋。

今日読むのは第23歌。全46歌のちょうど真ん中です。まず、今日読むところまでのいきさつを簡単にお話しておきましょう。

オルランドが恋しているのはカタイの絶世の美女アンジェリカ。カタイというのは現在の中国からモンゴルのあたりですが、そこからパリに送り込まれてきています。オルランドのほかにもサラセンの騎士を含めて何人かが彼女に夢中になっていますが?


パパ Angelica è sparita. E Orlando la cerca.


くーさん ある日、パリの陣地から姿を消してしまいました。オルランドは彼女の後を追いかけます。アンジェリカはとにかく常に逃げるイメージで、その軽やかなスピード感も物語の1つの魅力になっています。

それにしても、オルランドはパリの陣地をほったらかして、戦いと恋といったいどっちが大事なんでしょうね。


パパ Eh, bella domanda.


くーさん それでも途中で味方を助けたり、優れた騎士らしく武勲を積んでいるんですよね。さらに、このオルランドを追いかけている人がいます。


パパ Il guerriero saraceno, Mandricardo.


くーさん 父親をオルランドに討たれたサラセンの武者マンドリカルド。彼がとある林の中でオルランドに追いつきます。そして、父の敵討ちのほかに、オルランドが持っている刀、名剣 Durindana ドゥリンダーナは自分のものだと言って決闘を挑みます。胡散臭い言いがかりなんですが、オルランドはマンドリカルドの挑戦を受けることにして…


パパ Orlando propone di lasciare la spada su un albero in attesa dell'esito del duello.


くーさん 持ち主がはっきりするまでは、と剣を腰から抜いて木の枝に吊るします。余裕たっぷりですね。そして決闘。それぞれが馬に乗ったままの槍試合です。オルランドが隙を見て相手の馬の手綱を鼻面から外し、自分の馬から飛び降りると?


パパ Il cavallo di Mandricardo spaventato si mette a correre.


くーさん マンドリカルドの馬が驚いて、主を乗せたまま走り去り、見えなくなってしまいました。取り残されたオルランドは、相手が戻ってくるまでそこで待つことにします。


パパ Un esempio di spirito cavalleresco.


くーさん 本当ですね。相手が勝手にいなくなったんだから、刀を持ってさっさとどっかへ行っちゃえばいいのに、これぞ騎士道精神の鏡ですね。

とりあえず、刀は先ほど吊るした木の枝から外し、それを持って木立の間をぶらぶら歩き始めます。

すると?


パパ Vediamo adesso cosa succede.


くーさん そうですね。前置きが長くなりましたが、では聞いてみましょう。第23歌第103節の8行です。




Angelica e Medor con cento nodi
legati insieme, e in cento lochi vede.
Quante lettere son, tanti son chiodi
coi quali Amore il cor gli punge e fìede.
Va col pensier cercando in mille modi
non creder qual ch'al suo dispetto crede:
ch'altra Angelica sia, creder si sforza,
ch'abbia scritto il suo nome in quella scorza.





くーさん 探していたアンジェリカの痕跡がようやく見つかったというのに、なんということでしょう。

では、区切りながら読んでいきましょう。



Angelica e Medor con cento nodi
legati insieme, e in cento lochi vede.


100個の結び目で一緒につながれたアンジェリカとメドーロの名前を100の場所に彼は見る。



動詞 vede が一番最後にきていますね。

cento 「100」 ここでは「数え切れないほどの、たくさんの」の意味です。

オルランドの目に入ってきたのは、幹という幹に彫ってあるアンジェリカとメドーロという知らない男の名前。その文字が絡み合うようにつながっている。

そして?



Quante lettere son, tanti son chiodi
coi quali Amore il cor gli punge e fìede.

文字の数と同じ数の釘があり、その釘でアモーレ(愛の神キューピッド)が彼の心を刺し傷つける。



fiede は動詞 fedire 「傷つける」

続けて?



Va col pensier cercando in mille modi
non creder qual ch'al suo dispetto crede:


彼は自分の意に反して信じてしまうことを、なんとか信じないようにしようと必死になる。



cercandocercare のジェルンディオ。 andare とジェルンディオで「~し続ける」「そうしようと必死になる」。 cercare di non credere で「信じないように努める」ということですが、前置詞の di は省かれていますね。

それから?



ch'altra Angelica sia, creder si sforza,
ch'abbia scritto il suo nome in quella scorza.

あの幹に名前を彫ったのは別のアンジェリカなのだと無理やり思いこもうとする。



2行とも ch' すなわち che で始まっていますね。最初の che はその後にある動詞 credere につながる接続詞、2つ目は altra Angelica を先行詞とする関係代名詞です。

失恋のショックの描写、いかがでしたか?


さて、韻律はどうでしょう?
第1歌から第46歌まで、すべて1つの詩節は?


パパ Ottava rima.


くーさん 8行詩です。

脚韻は1行目から6行目までが?


nodi

vede

chiodi

fiede

modi

crede



 
odi, ede の繰り返しですね。

そして、最後の2行が?


sforza

scorza



orza という同じ音です。

つまり、ABABABCC、最後の2行で上の6行を締めくくるとてもリズミカルな脚韻です。

今読んだ第103節は、最後の2行が、行の頭も?


ch'altra Angelica

ch'abbia scritto



同じ「カ」という音でした。

この2行が、そこまでの6行で語った事実を打ち消したいオルランドの胸の内をびしっとまとめていますね。

1行の音節の数は?


パパ Endecasillabo.


くーさん 11音節。ダンテの『神曲』と同じです。

では、もう一度イタリア語の朗読を聞いてみましょう。


失恋のショックを受け入れられないオルランド、この次の第104節では、筆跡は知っているのでアンジェリカが書いたものに間違いないけれど、これはきっと彼女が僕に気を使って本名ではまずいと思ったからメドーロっていう名前を書いたんだ。なんて、まだ必死で思い込もうとするんです。


パパ Per amore si può arrivare a mentire a se stessi.


くーさん そのくだり、イタリア語だけですが、ちょっと聞いてみましょうか。

<略>(動画※1)

この後まだ、嫉妬する誰かがアンジェリカの筆跡を真似したんだとか、ものすごく独創的な発想をするんですよね。経験がないととても思いつかないんじゃないかっていうほど見事なこじつけです。


パパ Eh, sì.


くーさん ついでに、もうちょっとだけこの先のことをお話しておきますね。

同じ第23歌のもう少し後です。オルランドはとぼとぼ歩くうち、泉の湧き出る洞窟にやってきます。すると?


パパ Vide sull'ingresso della grotta molte parole che Medor aveva scritto di suo pugno.


di proprio pugno 自筆で


くーさん 洞窟の入り口にも内側にも文字がたくさん刻まれていて、どうやらメドーロのものらしい筆跡まであります。なんとそれは愛の喜びをこんな詩にして歌っているんです。


「ガラフロンを父とし、並いる男が愛を果たせなかった
美しいアンジェリカの体を何度も
抱くことができたこの場所の、
うれしそうな草木、せせらぎ、
薄暗い洞窟、涼しい木陰よ」(動画※2)


ガラフロンとは、アンジェリカの父親の名前です。これで、彼が恋するアンジェリカ本人であることもはっきりしてしまいました。恋をした場所のせせらぎや木陰への呼びかけ、これはペトラルカみたいですね。アラビア語なのに、オルランドは語学に堪能で、これが読めてしまったのが悲劇でした。





本 今日のトピック




くーさん では、今日のトピックです。



La nascita dell' «Orlando furioso»
『狂乱のオルランド』の誕生




ルドヴィーコ・アリオストは少年時代を、文化と学術の一大中心地フェッラーラで過ごしました。ちょうどイザベッラ・デステをはじめとする公女たちの結婚ラッシュで、華やかな祝祭ムードに包まれていた時代です。

大学では父親が勧める法学を学びますが、どうも性に合わなくて、古典文学やラテン語の詩に夢中になった。あれ?こんな話、前にもありましたね。


パパ Sì, certo. Abbiamo detto la stessa cosa parlando di Boccaccio.


くーさん そうでしたね。ボッカッチョがそうでした。父親は実社会で役に立つ学問を勉強させたいのに、どうも、この講座に登場するのは親不孝な人たちみたいですね。


パパ Beh, capita anche oggi.


くーさん 確かにそれは今も変わらないかもしれませんね。


パパ Comunque nel frattempo il padre di Ariosto muore.


くーさん そうこうするうちに、父親が亡くなります。20代半ばのルドヴィーコは10人兄弟の長男だったので、弟や妹の生活を支えるためにエステ家の宮廷に職を求めます。仕事が暇なときは勤務時間中でも読書に没頭したようですね。


パパ Intanto legge «Orlando innamorato» di Matteo Maria Boiardo.


くーさん 熱心に読んだ中には、父親と同世代でエステ家にも出入りしたことのあるボイアルドの物語詩『恋するオルランド』がありました。


パパ Poiché il «Orlando innamorato» era restato incompiuto, Ariosto si sforza di completarlo.


くーさん ボイアルドが亡くなって、未完成のままのこの作品の続きを書きたい、そうした想いから生まれたのが『狂乱のオルランド』です。設定も登場人物もボイアルドの作品と同じですが、アリオストは自由奔放な発想で、スケールの大きい、調和の取れた作品に仕上げました。

では、もう一度今日の第103節を聞きながらお別れしましょう。


パパ Alla prossima puntata.





ヘッドフォン 白崎容子先生くーさんMarcoさんパパのセリフ(斜体)は例によりディクテーションしました (スクリプトがなく答え合わせもできないのですが、学習の記録としてディクテーションに挑戦したものをそのまま載せています)。





メモまいにちイタリア語2017年12月号応用編より
原文で読む古典の楽しみ
黎明期からルネサンス時代のイタリア文学
Quattro passi nella letteratura classica italiana

Lezione21 Ludovico Ariosto ①



今日の部分は第23歌103節 8:42~10:33ですネコ

(※1)第23歌104節 10:34~12:28
(※2)第23歌108節 16:25~17:45








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ネコ2018年1月から始まった応用編は、待ちに待った朝岡直芽さんの24chiacchierateです。お聞き逃しなく!テキスト購入もお忘れなく~。

興味のある方はぜひNHKゴガクでストリーミング で聞いてくださいね♪






「原文で読む古典の楽しみ」2017年10月~12月号も、
白崎容子先生による和訳や、語句の詳細な説明、
こぼれ話、パラフレーズ(現代イタリア語への原文の置き換え)、
さらには略年表や関連図書の記載もあるので、
放送を聴き逃した方もテキストだけでも、ぜひお手元に!








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