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株価上昇でも日本経済は超低迷という真実

2017年11月24日 15時01分43秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                                 

                                「植草一秀の『知られざる真実』

                    
                                         2017/11/23

          株価上昇でも日本経済は超低迷という真実

                   第1902号

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新著の2018年版TRIレポート

『あなたの資産が倍になる
 金融動乱に打ち勝つ「常勝投資術」』
(ビジネス社、税込み1620円)

https://goo.gl/Lo7h8C

が、発売早々、重版決定となった。

アマゾンの「各国経済事情」ジャンルでベストセラー1位の支持をいただいて
いる。

ご高覧賜っている読者のみなさまに深く感謝を申し上げる。

昨年11月末に上梓した

2017年版『反グローバリズム旋風で世界はこうなる』
https://goo.gl/WutRXu

サブタイトル「日経平均2万3000円、NYダウ2万ドル時代へ!」

は、見事に予測を的中させた。

年次版TRIレポートは、会員制レポートであるTRIレポート

『金利・為替・株価特報』
http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html

の年次版を一般公刊しているもので、2018年版がシリーズ第6弾になる。

2017年版では、トランプ政権発足による内外の株価上昇が一時的なバブル
であるとの見方が優勢を占めるなかで、少数見解を提示した。

実際に、予測どおりの現実が生じたが、金融市場予測は常に極めて難しい。

また、過去の予測が正しかったことが、未来の予測の正しさを保証するもので
もない。

現実はすぐに目の前にはっきりと姿を現す。

予測は真剣勝負そのものである。

しかし、適正な予測が効果的な投資戦略構築の必須の条件になる。

政治経済金融情勢分析は、この意味で常に極めて重要な事項になる。



日経平均株価は昨年11月9日に16111円の安値を記録した。

米国大統領選の開票結果を受けた安値だった。

クリントン勝利が確実視されていたが、トランプの勝利が確実になった。

この開票結果を受けての株価急落だった。

しかし、この16111円を起点に日経平均株価は上昇に転じ、本年11月9
日に23382円の高値を記録した。

上昇幅は7271円、上昇率は45.1%を記録した。

2017年版TRIレポート表紙カバーに「株価再躍動」と記述したとおりの
結果になった。

この株価上昇を「バブル」だと評価する意見があるが正しくない。

株価上昇には合理性がある。

上昇するべくして上昇した。

しかし、このことが日本経済の好調を意味するのかと言えば、それも違う。

かつては、株価は経済を映す鏡の存在だと言われたが、現在は違う。

株価は上場している企業の収益状況を映す鏡だが、経済全体を映す鏡ではなく
なった。

現在の日本経済は、全体としては極めて不調、低迷している。

しかし、大企業の収益だけは、突出して拡大している。

この突出して拡大している大企業の収益状況を株価が反映しているのである。



新著『あなたの資産が倍になる』に日本株価の決定要因を記した。2012年
以降の日本株価の変動を分析すると、企業収益以外に株価変動を左右している
重要な要因が三つある。

ドル円レート変動、NYダウ、上海総合指数なのだ。

これらの4つの要因がすべて日本株価上昇を支える方向に重なれば、日本株価
が上昇することは極めて順当ということになる。

9月9日を境に日経平均株価は上昇に転じた。

そして、11月9日まで、4条件がそろい踏みして日経平均株価23000円
が達成された。

すべては順当な変化であった。

この間に10月22日に衆院総選挙があった。

第2次安倍政権発足時以降、国政選挙のたびに株価上昇が観察されている。

日銀や公的年金資金が選挙に合わせて株価吊り上げを目的に行動している側面
もある。

そして安倍政権は、この株価上昇を選挙対策としても活用してきた。

その際、最大の側面援助をしてきたのが日本のマスメディアである。

株価上昇をことさら大きく取り上げて、与党の応援を行ってきたのである。

しかし、株価は日本経済の現況を表す尺度にはなっていない。

一握りの大企業の収益状況しか反映していないのだ。

日本経済は超低迷の状況にあるにもかかわらず、株価だけが上昇した。

こうした経済の実相を正確に把握することが肝要である。



経済全体のパフォーマンスを知る最重要の経済指標は実質経済成長率である。

第2次安倍政権発足後の年率換算四半期実質GDP成長率単純平均値は+1.
3%である。

第2次安倍政権前の民主党政権時代の実質GDP成長率平均値は+1.8%
だった。

この民主党政権時代に東日本大震災、福島原発事故があった。

日本経済は極めて低迷した3年余を経過した。

その期間の経済成長率平均値が+1.8%なのだ。

これに対して、第2次安倍政権発足後の成長率平均値がはるかに低い。

あの低迷していた民主党政権時代よりも、経済全体の推移ははっきりと悪いの
だ。

この事実を正確に把握しておくことが重要である。



一般の国民、労働者、生活者、消費者、主権者にとって最重要の経済指標は実
質賃金指数である。

厚生労働省が発表している毎月勤労統計によって、労働者一人当たりの実質賃
金所得の推移が分かる。

固定給、時間外賃金、ボーナスをすべて含む賃金所得を

現金給与総額

という。

この現金給与総額の実質値を指数にしたものが発表されている。

これが、労働者一人当たりの実質賃金の推移を示す。

この統計を見ると、民主党政権時代は実質賃金指数が、ほぼ横ばいで推移した
が、第2次安倍政権発足後には、約5%減少したことが分かる。

労働者の実質賃金は5%も減ったのだ。



アベノミクスが国民経済にどのような結果をもたらしたのかを示す経済指標の
なかの、最も重要な指標を二つだけ挙げろ、と言われれば、この二つを示すの
が適正だ。

実質経済成長率と実質賃金指数の変化。

この二つの指標が示していることは、

アベノミクスが日本国民にもたらした結果は、あの民主党政権時代の結果より
も大幅に悪い

というものである。

これは、偏った見方ではない。

中立公正の立場から、最重要の二つの経済指標を取り出したものである。

アベノミクスは国民生活の視点から言えば、まったく成功していない。

大失敗していると言って間違いない。



しかし、その一方で、大企業の利益だけは大幅に拡大している。

大企業収益は史上最高を更新し続けている。

これを反映しているのが株価推移だ。

日本経済全体は極めて不調であるが、大企業の利益だけは拡大し、その利益拡
大を反映して株価が上昇した。

こういうことなのである。

これ以外に、安倍首相がいつも取り上げるのが、雇用者数の増加と有効求人倍
率の上昇だ。

確かに雇用者は増えた。

有効求人倍率も上がった。

しかし、これはあくまでも「人数」の問題だ。



働く人数だけは増えた。

また、企業が人を求めているのも事実だ。

しかし、労働者全体の所得は伸び悩み、一人当たりの実質所得は大幅に減っ
た。

経済全体は低迷しているが、大企業の取り分だけは拡大した。

労働者の取り分は減ったが、その減った所得を分け合う人数だけは増えた。

全体の所得が増えないのに、分け合う人数が増えたから、一人当たりの所得が
大幅に減ったのだ。



経済全体は低迷を続けているが、大資本の所得だけが急増している。

一般労働者の所得は減り続けている。

これが格差拡大を推進するアベノミクスの実態なのだ。

この状況下で安倍政権は消費税増税を推進している。

法人税減税を推進し続ける一方で、消費税増税を推進している。

格差は拡大するばかりである。



いま必要な税制改革は、

富裕層に対する課税強化である。

富裕層に対する優遇税制の中核は、金融資産所得に対する分離課税を認めてい
ることだ。

本来50%の税率が適用されなければならないのに、これが20%に軽減され
ている。

また、2007年に政府税制調査会が「法人税減税の必要なし」の報告書をま
とめたにもかかわらず、法人税減税が強行実施されてきた。

これらの富裕層減税のために、消費税が大増税されてきた。

そして、2019年10月に消費税率10%への引上げが予定されている。



このような格差拡大推進政策に対して、日本の主権者がNOの意思を明示する
べきである。

日本経済は低迷を続けている。

この状況下で消費税率が10%に引上げられるなら、日本経済は完全に崩落す
るだろう。

これは間違いないと思う。

経済金融を分析してゆくと、あらゆることが鮮明に見えてくる。

安倍政権の経済政策は株価上昇をもたらしているが、大半の国民の生活を改善
していない。

大半の国民の生活はむしろ悪化している。

そして、このことが最終的に日本経済を崩壊させてしまうのだ。

経済の現実を正確に理解して、正しい経済政策の実行を求める。

経済政策を転換させるためには政権を変えることが最も効果的だ。

経済を分析し、日本の主権者がどのような政治行動を取るべきかを解き明か
す。

その視点で拙著をご高覧賜れればありがたく思う。

 


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