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エンブレム問題が示すスポーツ利権・癒着の構造

2015年09月03日 18時22分05秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                       

               「植草一秀の『知られざる真実』」

                             2015/09/02

 エンブレム問題が示すスポーツ利権・癒着の構造

               第1235号

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多くの人がオリンピック招致に血道を上げてきた理由は

利権

である。

なかには、純粋に、日本でスポーツの祭典を開きたいと思う人もいるだろう。

しかし、オリンピック招致活動を担ってきた主体の大半は、

利権

目当てに活動してきたのである。

その醜い断片が日本の主権者の目のなかに飛び込んできている。

そもそもの胡散臭さは、2013年9月7日の安倍晋三氏のスピーチのなかに
あった。

「(福島第1原発の)状況はコントロールされている。

東京にダメージが与えられることは決してない。」

「汚染水の影響は、福島第一原発の港湾内の〇・三平方キロメートルの範囲内
で完全にブロックされている

さらに完全に問題のないものにするため抜本解決に向けたプログラムを決定
し、着手している。」

2020年の東京オリンピック招致は、このペテンからスタートしている。

「フクシマがコントロールされている」

「汚染水が港湾内で完全にブロックされている」

というのは、

完全なウソ=虚偽=ペテン

である。

フクシマ放射能事故によって、首都圏は深刻に放射能汚染されている。

フクシマの悲劇が表面化するのはこれからである。



オリンピック招致のエネルギーは、

利権漁り

に発している。

オリンピックを開くから競技場を新設する。

オリンピック競技場という名の利権の巣窟に、無数のシロアリが群がった。

その結果が2520億円という建設費だった。

諸外国のオリンピック開催例を見ても、メインスタジアム建設費用はすべて7
00億円以下に抑えられている。

シロアリの暴走が加速して、主権者の知ることろになった。

建設計画が白紙に戻されたが、再度提示された建設計画では、工費が

1550億円になった。

550億円というなら分かる。

なぜ、1550億円の巨額予算を主権者が粉砕しないのか。

シロアリの数が減っただけで、シロアリに食い荒らされるオリンピックの基本
図式は何ひとつ変わっていない。

埼玉にも、横浜にも、巨大スタジアムがあるのだから、これらを利用すればよ
いのだ。

オリンピックのためだけに、巨大は費用を投入する必要はまったくない。

そもそも、オリンピックを日本で開催する必然性が皆無なのだ。



オリンピックを招致するなら、消費税増税を、向う10年は完全に封印するこ
とを宣言するべきだ。

財務省は財政危機を叫び、所得のない人からも冷酷に富裕者と同じ税率で税を
むしり取る消費税増税に突き進んでいる。

オリンピックに注ぎ込むお金があるなら、その分を消費税増税抑制に回すべき
だ。

財務省の事務次官経験者がオリンピック組織委員会の事務局長をしていること
自体が根本的な矛盾だ。

オリンピックを開催するような余裕があるなら、消費税増税は、少なくとも1
0年は封印することを宣言するべきなのだ。



競技場に加えて、エンブレムのスキャンダルも表面化した。

8月14日付ブログ記事

「五輪は競技場・エンブレム・開催の順で白紙撤回か」

http://goo.gl/GzZdmA

を掲載した。

予測通り、競技場が撤回され、エンブレムが撤回された。

次は、オリンピック開催の撤回だ。

こんな醜態を晒し続けて、もはやオリンピックを開催する資格もない。

エンブレムを取り下げた佐野研二郎氏は、いまなお、「盗作でない」と主張し
ているが、

「STAP細胞はありまーす」

とまったく同じ響きである。

電通、経産省、デザイナーの癒着の構造の断片が垣間見えただけに過ぎないの
だ。

審査の際に名を伏せたと言っているが、審査の前にデザインを伝達しておけ
ば、名前など伏せても、恣意的に選べる。

反論が反論として機能していないのだ。

写真を無断借用したことが理由のように言われているが、そうではなく、原案
がヤン・チヒョルト氏の作品に酷似していることが発覚したためである。

ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)では、

2007年9月に佐野研二郎

2013年10月、佐野研二郎の弟子で東京五輪エンブレム審査員の長嶋りか


2013年11月に、ヤン・チヒョル(Jan Tschichold) 

の展覧会が開かれた。

佐野研二郎氏は、2013年11月にツイッターで

「いまのgggのヤンチヒョルトもやばい」

とツイートしている。

この展覧会で展示されたヤン・チヒョル作品と佐野研二郎氏の原案が酷似して
いるのだ。

そして、佐野研二郎氏、長嶋りかこ氏、サントリー・トートバッグの高崎卓馬
氏が東京五輪エンブレム審査員でつながっている。

醜悪な癒着構造の闇は深い。

競技場とエンブレムだけで、100億円近くの巨大な損失が発生する。

責任者は私財で賠償できないなら、まずは辞職して責任を明らかにするべきで
ある。



私が一貫してオリンピック招致に反対であるのは、オリンピックが

スポーツの祭典

としてではなく、

利権の巣窟

として招致されるからである。

そして、財政危機が叫ばれて、生存権を侵害する大増税が実施される一方で、
巨額の血税が、利権支出に注ぎ込まれる。

この構造が許せないから、オリンピック招致に反対しているのだ。

東大の鈴木宣弘教授が

「今だけ、金だけ、自分だけ」



「三だけ主義」

と呼んで警鐘を鳴らしているが、日本全体が

この

「三だけ主義」

に汚染されているのである。

原発推進も

戦争推進も

TPP推進も

すべての原動力は

「三だけ主義」

である。

そして、オリンピック招致も

この

「三だけ主義」

によって推進されているのだ。



オリンピックを招致すると言うなら、

「もったいない」精神

で、

既存の施設を活用して開催することを検討するべきではないのか。

エンブレムのような大会を象徴するシンボルを選択するなら、

広く日本国民全体から公募し、

インターネットを活用して主権者の投票に委ねるべきである。

インターネット空間を使えば、盗作は排除されることになる。

そして、民主的に、そして、透明に、選出することができるはずだ。



しかし、その前に、二つの大失態の責任処理が済んでいない。

最終的には安倍首相の責任だ。

そして、直接的には所管大臣の責任である。

なにしろ、100億円にも及びかねない、単純な捨て金、巨額の資金をドブに
捨てることになるのだ。

利権の頂点に立つ、元首相の責任も明らかにする必要があるだろう。



エンブレムの問題は、ベルギーの劇場ロゴとの類似が指摘されて時点で、迅速
に対応するべきだった。

その後、サントリーのトートバッグで、決定的な事例が表面化したにもかかわ
らず、政府、組織委員会、審査委員会は、現行エンブレムを押し通そうとし
た。

原案を公表した審査委員長の永井一正氏は佐野研二郎氏が博報堂時代に師事し
た人物であり、佐野氏の現在の職場である多摩美術大学教授永井一史氏の父親
である。

上述したように、審査委員の一人である電通の高崎卓馬氏は佐野研二郎氏と
「サントリーオールフリー」の広告を一緒に作っているビジネスパートナーで
ある。

上記の長嶋りかこ氏は博報堂時代の佐野氏の部下で、長嶋氏が「毎日デザイン
賞」を受賞したときは佐野氏が調査委員を務めていた。

また、佐野氏は森喜朗元首相が会長を務めている日本ラグビー協会のポスター
も受注しており、森喜朗元会長とも接点がある。

さらに、佐野氏の実兄は経産省の商務情報政策局情報経済課長を務めていた。



エンブレム問題で発覚して人々の知るところとなったが、要するに、これが、

「オリンピックの正体」

なのだ。

一般市民は、

「日本でオリンピックが開催されてうれしい」

などと、無邪気な感想を持ってしまいがちだが、オリンピック招致に血道を挙
げている人々は、スポーツの祭典でも、兵器の生産でも、原発の稼働でも何で
もよいのだ。

要するに、

「金さえ儲かればよい」

という発想なのだ。

しかも、カネの出どころは、財政資金。

政治権力一つで、いくらでも引き出すことができると判断しているのである。



だから、こうした醜悪な利権漁りの行動を根絶するには、

オリンピックを返上することがもっとも有効だ。

2520億円が否定されても、ゾンビのように、1550億円をもぎ取るよう
な、利権漁りの行動がすぐに出てきて、誰もこれを止めないのだ。

その一方で、社会保障支出は切れるだけ切って、

社会保険料負担は引上げに次ぐ引上げで、

ついには、必要十分な医療を受けられる公的医療保険制度そのものが破壊され
ようとしているのだ。

さらに、所得のない人に、富裕層と同じ税率で税金をむしり取る、生存権侵害
の消費税大増税が次々と実施されている。

残念ながら、いまの日本は、大変に残念な国である。

残念な国である一番の原因は、政権が残念だからだ。

まずは、一刻も早く、この政権を退陣に追い込むことが必要だ。


Σ:コメント、現状の日本でのオリンピック返上すべきである。施設やエンブレム「ゴロ」
と色々つまずいている。最初からケチがついたらろくなことがないのが習わしである。
 早い段階で返上した方がよいであろう。

                 



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