曲学阿世:真実を追求し、虚実の世間に迎合するようなことはしたくない。

真実を曲解し不正な情報によって世間の人々にこびへつらい、世間にとり入れられるような、ことはしたくない。

アベノミクス-その絶望の正体-

2017年10月14日 11時30分01秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                                 

イメージ 1
 

                                  「植草一秀の『知られざる真実』」

                                           2017/10/13

                      アベノミクス-その絶望の正体-

                       第1869号

   ウェブで読む:http://foomii.com/00050/2017101323564941761
   EPUBダウンロード:http://foomii.com/00050-42339.epub
────────────────────────────────────
小選挙区制の下で三つの勢力が戦うとき、民意は選挙結果に反映されない場合
が生じる。

今回の総選挙の争点は、

戦争法制・憲法改定

原発再稼働

消費税増税

である。

大事なことは主権者の判断が現実の政治に反映されることである。

主権者の多数が

戦争法制廃止・憲法改悪阻止

原発再稼働反対

消費税増税反対

の意思を有している。

この方針を明示する政治勢力が分立してしまう場合には、この主権者の意思が
現実政治に反映されないことが生じる。

意たとえば、主権者多数が消費税増税NOの判断を有しているとする。

それでも、一つの選挙区に消費税増税反対の候補者が複数立候補して、主権者
の投票が分散してしまうと、消費税増税を推進する候補者が勝利してしまうこ
とが生じ得る。

戦争法制の廃止についても同じことが言える。

小選挙区制には、この問題が付きまとう。




フランスでは大統領選挙も議会選挙も、この問題を解消するために、ある方法
が用いられている。

その方法とは、一回目の投票で単独過半数を確保する候補者が出ない場合、上
位2者による決選投票が行われる。

つまり、主権者の過半数の支持を得た候補者が当選する仕組みを用いているの
だ。

消費税増税に賛成の候補者が1回目の投票で第1位になったとする。

日本の選挙制度では、この時点でこの候補者が当選者になるが、この候補者が
投票総数の過半数の票を得ていなければ当選にはならない。

上位2者による決選投票が行われ、過半数の得票を得た者を当選者としてい
る。

消費税増税反対の候補者が2名いて、得票が分散したために、そのいずれかの
候補が1回目投票で2位になったとする。

上位2者による決選投票になれば、消費税増税に反対する候補者が当選する可
能性が高くなる。

これがこの制度のメリットである。

日本の小選挙区制選挙には、この方法が用いられていないため、主権者の投票
が分散する場合、こちらの主張が国政に反映されにくくなる。

日本でも上位2者による決選投票の導入を図るべきである。

今回の総選挙では、小池国政新党が創設されて状況が一変した。

小池国政新党が反安倍勢力を糾合して「呉越同舟新党」を創設していれば、こ
の新党が安倍政権を退場させていた可能性がある。

しかし、新党は民進党からの合流条件に戦争法制肯定という踏み絵を設定し
た。

この踏み絵は、野党4党による共闘の要になっていた政策テーマである。



希望の党がこれを条件にするなら民進党はこれをはねつけて、戦争法制を肯定
するものだけを離党させて、本体の民進党を純化させて野党4党の共闘体制を
より強固にするべきだった。

共産党を含む野党共闘を強固に構築して、289の選挙区で候補者を一本化し
ていれば、まさに自公との1対1の対決図式に持ち込めたはずである。

希望や維新が存在しても、明確に自公補完勢力であるから、野党共闘の得票が
流出する心配は小さかった。

ところが、民進党が戦争法制肯定という条件を明確に排除せずに希望の党への
合流を強行したために、自公、希維、立共社の三極構造になってしまったので
ある。

その結果、反自公票が分散して、自公に有利な状況が生まれてしまった。

メディアは自公圧勝情報を流布して、「勝ち馬に乗る行動」、「諦めて選挙を
棄権する行動」を誘発しようとしている

これに乗ってしまえば、敵の思うつぼである。

したがって、反安倍勢力の立共社共闘の強化を図らねばならないが、選挙区に
よっては立共社候補の当選可能性が極めて難しいと見られる選挙区も発生して
いる。

このことを踏まえれば、より現実的な対応として、この投票を事実上の決選投
票に差し替える工夫も必要になっていると考えられる。

安倍自公政権を退場に追い込むために、それぞれの選挙区情勢を正確に分析し
て、立共社の候補でなくても、主権者の側に立ち得る候補については、自公候
補の当選を阻止するために、その候補に反自公票を集中させる戦術があっても
良い。

振り返れば、民進党の行動が万死に値するもので、これまでの野党共闘の結束
を裏切るように共産、社民排除に進んだことの責任が厳正に問われる必要があ
る。

共産党を除く野党共闘は自公と対峙するには明らかに力不足なのである。

選挙後にはあらゆる総括が必要になるが、いまこの時点では、メディアの情報
誘導に抗して、もりかけ隠し、政治私物化の安倍政治を打破することが優先さ
れるべきである。

選挙戦はまだ始まったばかりである。

政治私物化の安倍政治を排除するために、主権者が知恵を絞り、結束して現状
を打破しなければならない。



経済論戦ではアベノミクスの絶望の素顔を主権者に分かりやすく説明する必要
がある。

選挙戦における党首討論で小池百合子氏などが

「アベノミクスが良好な実績を上げていると言うが実感が伴っていない」

と発言したが、これではまったく有効な批判にはならない。

「実感」に客観性はなく、アベノミクス批判の有効な言説にはなっていない。

アベノミクスを客観的に評価するなら、

「景気回復の実感がない」

のではなく、

「景気回復の事実が存在しない」

というのが正しい。

景気回復の事実がないから実感がないのである。



経済のパフォーマンスを全体として評価する第一の尺度は実質経済成長率であ
る。

2012年第4四半期に第2次安倍政権が発足しているが、これ以降の日本の
実質GDP成長率(四半期・前期比年率)の単純平均値は+1.4%である。

民主党政権時代の日本経済は暗かった。

東日本大震災、福島原発事故があり、日本経済は真っ暗闇の状況を継続した。

しかし、この時代の日本の実質GDP成長率単純平均値は+1.8%である。

アベノミクス下の日本経済の実態は、あの民主党政権時代よりもはるかに悪い
のである。



安倍首相は名目GDPが増加したなどと反論するが、経済活動のパフォーマン
スを名目値で測ることはない。

物価が100%上がって、実質生産が50%減少した経済でも、名目生産は5
0%増加する。

この実質マイナス50%成長の経済を良いと評価する専門家は一人もいない。

また、労働者、生活者、消費者、主権者、市民にとって、最も重要な経済指標
は実質賃金推移だ。

厚生労働省が公表している実質賃金指数という客観公正なデータがある。

このなかに、従業員5人以上の企業、固定給だけでなくボーナスや残業代も含
む現金給与総額の実質賃金指数がある。

この推移を見ると、民主党政権時代には、ほぼ横ばい推移だったが、第2次安
倍政権発足以後は約5%も減少して現在に至っている。

生活者にとって実質賃金指数の5%減少は死活問題である。



安倍首相は経済問題について、どの場面でも、九官鳥のように自画自賛の、丸
暗記したと見られる説明を繰り返すが、アベノミクスが良かったことの説明に
はなっていない。

安倍首相が繰り返す自画自賛話は、常に1.企業収益増加、2.株価上昇、
3.雇用増加の三つだ。

また、名目GDP増加なども自慢するが、これは弊害の方が多い。

経済全体が低迷して大企業収益が史上最高を更新していることは、労働の分配
所得減少を意味している。

株価上昇は、日本の法人数400万社の1%に満たない4000社弱の上場企
業の収益拡大を反映しているだけで、庶民の生活の好調を意味しない。

経済全体が低迷しているのだから、裏を返せば、労働者の分配所得激減を示唆
するものなのだ。

雇用者が増加したのは事実だが、雇用者全体の所得が減少するなかで、雇用者
数が増えただけだから、一人当たりの所得が激減している。

労働者全体の所得が減り、それを分け合う人数だけが増えたわけで、これを無
邪気に喜ぶわけにはいかない。



このなかで、安倍政権は法人税減税を大規模に実施する一方、消費税を大増税
した。

日本の国税収入は消費税を導入した1989年度が54.9兆円、2016年
度が55.5兆円で、27年間、まったく増えていない。

この間に生じたことは、法人税が9兆円、所得税が4兆円減って、消費税だけ
が14兆円増えたということだけなのだ。

消費税増税は財政危機に対応するもの、社会保障を拡充するためのもの、とい
う話は完全な風説、フェイク情報なのである。

日本政府の借金が1000兆円を超えていて、財政破綻の危機だと喧伝されて
いるが、一般政府のバランスシートを検証すると、日本政府は63兆円の資産
超過である。

この日本政府が破綻するわけがないことは明白である。



安倍政権が推進している「成長戦略」は、農業自由化、医療自由化、労働規制
撤廃、法人税減税、経済特区創設の5本柱で成り立っている。

その内容は、日本農業をハゲタカ大資本に支配させること、医療に貧富の格差
を持ち込むこと、労働コストを際限なく圧縮することだけである。

労働規制の撤廃では、非正規労働へのシフト推進、外国人労働力の活用拡大、
残業代ゼロ賃金制度の創設、長時間労働の合法化、金銭解雇の解禁などが並ん
でいる。

すべては、大資本の利益を極大化させ、労働者の所得を圧縮し、身分を不安定
化させるものである。

安倍政治の特区がいかにいかがわしいものであったのかも明らかになってい
る。

このような安倍政治の存続を許すべきでない。

この総選挙では、投票率を引き上げて、立共社政策連合の議員を一人でも多く
確保するとともに、安倍政権を退陣に追い込む惨敗を彼らにもたらさなければ
ならない。

主権者が知恵を絞り、すべての人が投票に行き、自公候補を落選させれば、こ
れが実現する。

何としても、これを成就しなければならない。

 


https://news.blogmura.com/ ←にほんブログ村 政治ブログに
クリックお願いします。(*_*)??Σ(・□・;)
 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿