なぞのシロイヌ宅急便からの荷物を受け取るために、僕は不在連絡票に書かれていた住所の場所を訪れた。
なんだ・・ただのアパートじゃないか。
そこは古いアパートの一室だった。
「狩野真一さんですね?」
突然、ドアが開き、中から中年のおじさんが出てきた。
「は、はい・・・」
「どうぞお入りください」
中に入った僕は、言葉を失った。
な、なんだ、ここは!?
そこには、とてもアパートの一室とは思えない巨大な空間が広がっていて、無数の荷物が積まれていた。
「こ、これは一体どうなってるんですか?」
「まぁ、別のとこに繋がっているというか、別の時空間というかね、そこはあまり難しく考えずに、適当に流しておいてください。」
「は、はぁ・・」
「こちらが狩野さんの荷物置き場です。」
「え?僕、専用の荷物置き場があるんですか?」
「ええ。人類全員の分が実はあるんですよ。」
人類全員の荷物置き場だって?どういうことだろう?ここはいったいどこなんだ?
不思議なことばかりで僕の頭は混乱しっぱなしだった。
「はい、ここが狩野真一さんの荷物置き場ですよ。」
「え?こんなにたくさん?荷物は一つだけだったのでは?」
「ええ、今回配送できなかったのは一つですが、今までの狩野さんの人生の分で言えばこれだけになります。」
「今までの人生の分?どういうことですか?どうして残りの分は配達されずにここに残っているのですか?」
「これらの荷物はその時その方に必要な荷物ですので、その時その方が受け取れる状態でなければ、もう配達できないことが多いのです。」
僕の頭は更に混乱してきた。
その時配達できなければ、何度も配達してくれればいいじゃないか。
受け取れる状態でないとはどういうことなのだろう?
そういえばこの人は電話で僕のことも本当の狩野真一ではないとか何とか言っていた。
「あの・・・訳が分からなくなってきたのでズバリ聞きますけど、ここは一体何なんですか?」
「ここは宇宙からのギフトを人類に配送する配送センターですよ。」
「宇宙からのギフト?」
「ええ。狩野さんも経験あると思いますが、思わぬラッキーなことが起きたり、シンクロニシティという偶然や人生を後押ししてくれるようなサポートや出来事ってありませんか?」
「あります。そんなに多くはない気がするけど・・・」
「それらは全部この宇宙からのギフトなのです。」
「え?全部がですか?」
「ええ。人生、スムーズにうまくいっている人の大半は、このギフトを受け取り続けている人たちです。」
ふと周囲の荷物置き場を見渡すと、何も荷物が置かれていない場所が一つあった。
その場所には「木村拓也 様」と書かれてあった。
木村拓也ってあのキムタク?
た、確かに彼は成功し続けている。ということは、ギフトを受け取り続けているんだ。
「どうして受け取れる人と受け取れない人がいるんですか?」
「それはその時々で本当の自分、本来の自分、本心の自分であるかどうかなんですよ。」
「本当の自分?」
「例えば、狩野さんの過去のこの荷物を開けてみてください。」
僕は、10年前の日付の荷物を開けてみた。
するとそこには一枚の紙が入っていた。
『中村美紀さんと付き合える権利』
「えっ?中村さんって高校時代に僕の友達の高橋と付き合っていたはずだけど・・・」
「ええ。でも、あなたも彼女が好きだったはずです。彼女と付き合いたい、その想いを伝えたいとずっと思っていましたよね?」
「確かに・・・。でも僕は伝えることはできなかった。そのうち、高橋が彼女に告白して、付き合うようになったんです。何気に悔しかったなぁ・・・」
「そう。あなたの本心は告白したかった。でもあなたはしなかった。なぜ告白しなかったのですか?」
「そ、それは・・・やっぱり振られたら恰好悪いと思ったからでしょうね。」
「そこです。本当は告白したかったのに、恐がってしなかった。その時あなたは、狩野真一さんではなく、恐がりの真一さん、『こわ狩野真一』になってしまっていたのです」
「こわ狩野真一って、ただのシャレじゃないですか」
「シャレではありません。この荷物の宛名を見てください。狩野真一様と書いてあります。でも、私がお届けに行った時、あなたは『こわ狩野真一』になっていた。だから届けることはできなかったのです。」
「そんな!じゃあ僕が恐がっていなければ、この荷物を受け取って、中村さんと付き合えていたということですか?」
「そういうことです。結果はどうであれ、その時本当にしたいこと、本当の自分の思い、本心に従ったかどうか?素直な自分の思い、心地よさに従って生きているかどうか?それがこの荷物が届けられるかどうかの決め手なのです。」
「でも、恐いものは恐い、それは仕方ないことでしょう?それをなくすなんて無理ですよ」
「確かにそれらをゼロにすることは難しいでしょう。でも、恐れや不安、それらと一体化した「こわ狩野」や「不安狩野」になってしまうと、私どもはあなたを幸せにする宇宙からのギフトは届けられないのです。でも、大丈夫です。宇宙からのギフトをすべて受け取っていくための技がありますから。」
「ギフトをすべて受け取る技?教えてくださいよ!」
おじさんは珍しくニヤリと笑った。(つづく)
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