十二時頃に、(だんな)彼が寝る態勢に入った。
俺はすでに睡眠薬を飲んで、昔っから気にならない環境で育てられているので、居間の皓々と電気の付く中先に寝ていた。
たまたま薬がキレて目が覚めて、睡眠薬と安定剤を追加しようと思ったのだ。
彼が
『もう寝ます。お休みなさい』
「はい。お休みなさい」
『今夜もここで寝るの?』
「うん。お休みなさい」
なにしろ、あんなに男性一人横になるにもやっとの、息子さんと私達の畳の隙間の上に逃げられていたのが、突然、先日、セックスレスだと、
『もう恋は終わった、でも二人は終わりじゃ無い。ただ友達に戻っただけ』
と、ジャズを口ずさみながら家事をやり、(同居人なら義務を果たすべきだろうし、彼も、リハビリに凄く良いよと、奨励してくれている。掃除機を全くかけてくれないので、あの重たいのを、どうやって抗がん剤で体調不良のまま、荷物だらけの我が家を、布団もほぼ万年床の上、ダブルの布団は、スゲェ、上げるだけでもう無理な勢いだ。
両手の主婦湿疹が手首まで進んできている。
明日、電車で皮膚科に行ってこようかな、以前の家の近所の医師に診てもらおうかな。
そんなわけで、肩が触れそうな距離で寝られても困る。
だから居間で寝る事にした。
彼のうつ病や、体のコリは酷いし、朝は起きられず、『弁当は俺の入院中以外は、数えるほどしか作っていない。
彼本人の、
『大人しくしとけ!半年は傷口なんてふさがらない。ましてやオレのよりずっと傷口が大きいんだから。乗られたら痛いとか、そんな事言ってたのは貴様だろうが?!気を使ってやってるんだよ!!?このクソバカがっ!被害妄想してんじゃねぇよ』
……つまりは、現在は、さらにワンランク上、触りたくも無いが、眠ってしまえば、気も使我無くて良い、下敷きにして踏んづけてもいい。
そんな間柄になったと?
手も握らない。足と足を、布団の中で絡めても、手を僅かに触れても、思いっ切り払われ続けた。
キスもさえずった、自分から、頬にチューして、壮絶に嫌な顔もされ、悲壮なほど悲しくもなった。
一緒に寝て、枕を並べても、手も握らない、触られたくも無い、勿論頬にキスをしようものなら、本気で絶叫していやがる。
そんな人間は、踏みつぶして下敷きにして、傷が開こうが、ベランダ事件の時のように、熱持って半日以上震えが止まらなくて、三日は全身筋肉痛とかになる勢いでも、一緒に寝てくれようという、御慈悲ですか……?
何時だったか、酒をやめてから、さりげなく買い物の途中で手をつないだら、じっとり冷や汗かく程に嫌だったらしく、(人混み用にデパスはチャージ済みだった)すぐに人が多いのでさりげなくといった態で解かれて、二度とつないできませんし、なんか、俺が妄想とか言ってるけど、退院した直後こそ、(2・3日)優しくしてくれて、気遣ってくれましたが、現在の気遣いは、体の悪い、癌患者の同居人です。
一緒の布団に寝るのは、苦痛です。
精神的にも。
だって、こっちにはまだ多少未練がありますから。
これから少なくとも、短期間で終わって抗がん剤が半年。
どんなに緩和ケアの上手な先生でも、体質に合わなければ、『やはり副作用はかなり辛いようです。
キチンと説明して下さいました。
ハーセプチンをさらにもう半年と、それと同時ぐらいに、ホルモン剤を初めて、そこから約十年。
ホルモン治療をします。
生理が止まったり、色々と、女性では無くなっていく感があるので、治療も拒否されて、そのまま亡くなる方も、確かに居るようです。
抗がん剤も。
本人の選択の自由ですよね。本人の自由ですから。
でも俺は、弟が戦ったように、生きて行く道を、模索することを選んでしまった。
最初が、『取れば大丈夫。抗がん剤も、ホルモン治療も一用亡いよ、まず転移しない癌だから』が、誤診だったとしても。
彼が言ったように、
選んだのは俺なんです。
左乳房全摘出。
ホルモン剤の影響も出るでしょうし、女じゃ無くなってるでしょうね。でももう、ここまで来てしまった関係ならば、別に構いません。
向こうは元気なら、アイドルを遠くから愛でて、(本人がその距離感が良いと言っていましたが、1996年に結婚した己の妻に、花もケーキもやったことが無く、自主的なプレゼントは学生時代のみで、食器でした。)
後はこっちが強請るものを、買い与えてくれる感じでした。
服でも、宝石でも。主にこっちから彼に何時も懐きまくっていた。惚れて、結婚してくれと頼んだのも私だし、親戚出て来て、21歳でで結婚させられたから、悪いなとは思ってる。
現在が彼の青春なのかも知れない。
握手なんてね。俺は初めて手をつないだ時に
『女の子って、もっと手が柔らかいもんだと思ってた』
と、ひどく幻滅されたが、〝籠谷さくらちゃんの手〟は、鍛えているのに、ての形も良く、お肌も非常にキレイで、ふっくりと柔らかな〈女の子らしい手〉をしているらしい。握手会や、何かでも何時も大喜びだ。
そのチケットが欲しいので、何枚も同じCDやなんかを買うのだ。
先日の一緒に撮ってもらえる撮影会で、己の腹が彼女と一緒に映っていたのが、余りにも出っ張っていて、鼻の下伸びきって、笑み崩れた顔で、中年太りで、自分でも少し驚いたらしい。食事量を減らしているっぽい。そのヤニ下がった写真を、ドレーンの付いた状態で、病室で入院しながら、大部屋で、精神的に限界を感じながら、それでも笑顔で俺は、
『良かったね〜!さくらちゃん、スゲェ可愛い〜〜!』
なんてやっていたのだが。全て過去だな。
どんどん感情が鈍麻してくるのを感じる。
もっともっとと、強く強く願う。
過去の、ナルトに会う前の、NARUTOの砂瀑の我愛羅のようになりたい。
それに完璧に、彼は俺を男の同居人扱いだし、俺もそう思うようになったら、ダブルの布団で、
『男同士寝たいか〜?』
きしょいわ。と、なる。
それで、彼も避けまくってたんだと思いますよ。
現在は、彼を突き放して、心の整理を付け、《奥さん》や何かじゃ無い、一緒に暮らして、二人で作ったものなので、息子さんの養育の責任を果たす、相棒として、精神的な鍛練を積み、無駄な感情は殺処分して行く必要があるでしょう。
ドライブも一人で行かせてあげて、次の日に昼過ぎても起きてこなくったって、放って置いて良いし(今もそれはそうなのですが)
根掘り葉掘り聞かないようにして。
「地形とか、地名とかも解らないから。車のことも、興味ないし」
と、断ってしまいましょう。
お互いそれが良いですよ。
彼が、一度たりとも、俺の持っている歴史小説や、池波正太郎先生の本にも、手塚治虫先生の漫画にも、手を触れないように。
触らないようにしましょう。
距離を、縮めようとするから、狂ってしまうんですね。
遠く遠く。
頑張りましょう。
本日は、熱いので何処も出たくないと、夕食も息子さんの分しか無かった我が家です。
(食材が無い)
親は、旦那ちゃんが、お菓子。
私は、味噌汁と炭酸水とコーラですね。
病院に入院中カラ、ずっとゲリで困っていたのですが、ここ数日で治りました。
品限、割り切って、開き直って、自分に楽な対処方法を模索していくのが、1番良いんでしょうね。
本日も長々とありがとうございました。
大変皆様には感謝しています。
何とか、向こうが言い出さない限りは、お友達のまま、続きそうですしね。
離婚は面倒ですし、俺はもらい手も無くて、金も無いし、孤独死決定ですカラ。
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