夜中、氏頃をしているのか、アイドルの画像を見ているのか、ニュースを読んでいるのか、分からないまろさんを、
僕は待っていた。
所詮アホな犬で、昨日も喧嘩して、まろさんは洗車や車の管理一切を放棄した。
そうさせたのは、僕だという。
それでも何とかしたくて、側へ寄っていって、
深夜、もう一時を回っていたのか?
お互いに、気にくわないことがあって、傷つけ合ってばかり居て、折衷案どころか、極論に走る。
だから、少しでも傍に居たかったが、朝目が覚めると、まろさんのパソコンデスクの傍で、
座ったまま僕は寝ていた。
起こす気もなかったのだろう。
まろさんは、寝室の布団で寝て居た。
こんな時期になって、(喧嘩が絶えなくてウルサい所為もあるとは思うが)息子が和室を自分の部屋にすると言いだした。
僕の最初の案よりも、かなり厳しい状態になりそうだ。
まろさんはまろさんで、
『要らねぇよ!処分すればいいだろうが?!』
と、自分で言って置いて、kローゼットに若干の未練があるようで。
それを捨てざるをえなくなるのも、僕が悪い。
と言うことだ。
話し合いでケリを付けようにも、まろさんは
『ずっと言ってるんですけど?!そんな音量じゃ聞こえないし、ずっと話してると、さらに聞こえない!』
耳が良すぎて、が逆に悪い。
で、怒鳴って答えて、話しかける僕を、息子さんが
「話し合いたいのに、そう言う良い方は……」
とアドバイス絵をくれたので
「あのさ、キミは耳がいいから、この状況でも聞こえてると思うけど、あの人は、耳が悪いのに、大音量で繰返し音楽聴き続ける仕事してたから、母ちゃんがこんな風に話しかけても『はぁ?聞こえません!』が十回とかになってきて、「もういい」『その程度のことなら喋りかけるなよ!』と、20年、我慢してきたままなんだよね。興味ないことは一切頭に入らない人だし、この怒鳴り声の特徴は、一度で話しを聴いてもらうために、最近やるようになった。けど、まぁ、喧嘩がエスカレートする原因だよね」
そして、当然のように毛布等なく、ただ、冷たいカーペットの上で、膝を抱えたまま眠っていた僕は、腰が痛い。
多分寒くて目が覚めた。
心臓も痛い。
今ヤッテいる抗がん剤の影響もあるだろう。
頭痛もする。
何かあると、』すごく血圧が上がって、頭痛がする。
酷いようだったら、医者に相談するように言われたが……。
取りあえず、まろさんは僕の物では無い。
僕や息子は『カオナシ』以上に、見えていない。
アイドルだけが全てだから、そんな人から取って島鱈、何も残らないとは思うが、アイドルへいく様になって、彼のうつ病が良くなっているとは思えないし、こちらの家事分担が増えただけだった。
イベントへ行くと、後で起きれないし。
起きても用事を済ませてすぐに寝る。
こちらも、もう、話したいことも何もかも諦めて、酒と煙草に逃げるしかなかった。
まろさんはアイドル活動をやめると昨日言っていたが、
すでに約束がある、人が絡んでいる物はダメで。
8月までは予定が入っている。
「抜け出せやしないよ。そんなんじゃ」
『何言ってんの?辞めてやるって言ってるだろうが!?』
で、また喧嘩になったのは息子さんの塾の迎えの時間で、話を打ち切るしかなく(暗くて歩いて帰ってこられないそうだ。行きも、明るかろうとなんだろうと、車だ。車なら五分の距離を、まろさんは大抵30分〜1時間以上帰ってこない。
車のため だそうだが、ムカついていた、堪忍袋の緒もキレる。
昨日の帰りは、傍にあった神棚の水も、今の仏壇の水も、玄関にまき散らして、塩を撒いたら、息子さんが帰ってきて仰天した。
『車は壊していいんだろ?テメェで売れよ!取りに来てくれるから!』
中古車の素多雨家やってた、キサマがやれ。事務員。
ドライバーの予定で入った、事務員。
事務所に泊まりも珍しくなくて、三歳で再び暮らし始めた僕と息子さんの苦痛も、あの人は知らず、僕から全てを奪った。
それでも、何とか続けていた小説も、乳癌の手術で、何もかも駄目になった。
「返してくれ!かけないんだよ!もう、困難なら死んだ方がマシだ!」
と、言う僕に
『はぁ?それはお前の問題だろうが?!人に責任かぶせてんじゃねぇよ!』
で、退院後10日も経たないウチの、ベランダ全撤去。
500のペットボトルすら持つなと言われた人間に……。
左片に鞄をかけるなとか、リュックさえダメだと言われた人間に。
植木を切らせて、重い土を何往復も駐車場の外のゴミ捨て場まで捨てに行き、ただ、置いてあった軽自動車のタイヤだけは、
『どこへやったんだよ?!』
と怒られて、上げさせられた。
全部片瀬と怒ってきたくせに……。
で、ゴミ捨ての往復の最中に、階段でまろさんとすれ違った。
まろさんは、死んだ母の形見の軽でどこかへ行ってしまった。
ひずみが亀裂になった瞬間だったのかも知れない。
ずっと引きずっている。
僕のLINEや電話も、『脅迫』だと言い続ける。
そこまでの悪気はないつもりだし、気持ちを素直に書いて、しかも文字を読むのが苦手なまろさんに、短く伝えようとしたら。
連投も『脅迫』らしい。
読まなくていいのに。
そう思った。
どうせ僕の事なんて、感情の無い頭のおかしい生ゴミぐらいにしか見えていないのだろうから。
独りで眠るのが寂しかった。だから、睡眠薬をのんで傍に居て、まっていた。
喧嘩になるのが、いつも僕が悪いらしいけど。
もう、溜息も出ない。
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