群れない力 / 関口智弘 / 経済界新書 | 精神科看護師yasu の猪突猛進ブログ

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精神科看護の探求をテーマに、書評や日常感じたこと、不定期で投稿します。
という訳で「精看探求士」というネームでtwitterもつぶやいています。そちらも、どーぞ宜しくお願い致しますm(_ _)m

群れない力 「人付き合いが上手い人ほど貧乏になる時代」における勝つ人の習慣 (経済界新書)/経済界
¥864
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今回の本は強烈なパンチ力のある本です。
とある結婚式の会場に向かう途中、20分ほど時間があったので書店に立ち寄り、”なんだこりゃ?”って気になってしまったのです。
本の帯には『危険なビジネス書。でも、笑える!』と書いてあります。
結論を書きますと、新幹線の中の1時間くらいでほぼ全て読めてしまう内容でした。
『クソ』だとか、『ザコ』だとか品の無い言葉が飛び交うので不愉快な気分になりつつも、ところどころで丁寧語に戻る方なのです。
著者は会社勤めの期間で人並みの苦労を経験し、それを今ではあざ笑うかのように独立して業績をあげているようです。

都会のビジネスマンが、不合理だと思いつつも飲み会やランチタイムに先輩や仲間との同行を半強制される。
便利な奴と思われたら、次の便利屋が現れるまでうまく使われる。
逆に使えない奴と思われたら最後、誰も仕事を手伝ってくれないし、仕事を回してくれなくなる社会。
サービス残業を心地良いと思っているんじゃないか?って疑いたくなるような中間管理職のせいで、新人は帰りづらい雰囲気。
帰る前に、上司のもとへ「何か手伝える仕事はないですか?」と聞きに寄らなくてはならない。
そこで、ひどい上司だと、暴言が浴びせられるらしいです。
なんともストレスフルな現場ですね。
また、ビジネス系の共通の意識として、出世競争というのがあるのかもしれません。
仲間を出し抜いて上司に気に入られたい。
無能な中間管理職は放っておいて、上層部に気に入られて配属を変えてもらいたい。
現実、こんな奴ばかりだから誰も信用するな!と著者はいいます。
また、facebook等のSNSで友達が多いと仲間が多くて人望があるみたいな幻想を抱くのはやめろと。
いざというとき、本当にあなたが困ったとき、結局誰も助けてくれないんだ。
SNSでの付き合いなんて。
SNSは仮想現実とよく言われますが、立派な現実だと認識すべきだといいます。
なるほど、そう考えれば他人への誹謗中傷なんて普通は出来ない。
しかし、著者は違います。
昔から平気で「ダセー、お前。使えない」などということを口にしたり、SNSで書き込みしてしまうらしいのです。
ちょっと知名度が上がってお金が稼げるようになると、これまでは声かけても返事すらなかった人が、群がってくるようになる。
そんな事を経験してしまった著者は立派な人間不信でしょう。
ブログでの炎上もよくよく考えれば、実は身近な者の仕業に違いないといっています。
その結果、さらに刺々しい性格になってしまった?
否、著者にすれば意図的に行っているのだというでしょう。

本書では、前半で群れて生活・仕事することがどれだけ有益でないか、迷惑ばかりに巻き込まれるかを書いています。
後半では、ではどうすれば仲間や知人といった人達から縁を切れるのか。
方法や考え方を説いています。
前述したように、競争の激しいビジネス社会に生きる方には部分的に共感できるポイントも多いのかもしれません。
しかし、私のように医療業界の人間には、人間関係の構図がちょっと違うような気がします。
そういう意味で本書は、別の社会の縮図を少しだけ見ることが出来たような気がして、良かったですね。
コミュニケーションのプロと自認する著者が、コミュニケーションとは意志疎通だから変に価値観の合わない相手の話を聞いてしまうと答えなくてはならなくなるから、無視するのが最良だと主張しています。
この辺りは、どうしても納得できないですね。
まぁ、それも含めて価値観の合わない方なんて世の中に無限にいる訳ですから、こういう過激な考え方で自己防衛している方もいるのだなと知ることが出来て勉強になりました。
世の中には、意図的に無視する人もいるんですね。
悲しいですが、それが現実なのでしょう。
薄々は気づいていましたよ。
無視した方がどうでもいい仕事を任されなくなる。
そんな風に思っている方がいること。

頼み事や相談事をされやすい人。
それは著者にとっては、悪でしかないのです。
私は違います。
そこが無くなってしまうと、精神科看護師の仕事は全て剥奪されたも同じことです。
自分と対局の考えを知る。
そんな事が可能なのも読書の魅力だと思います。
最後に誤解の無きように書いておきますが、私は本書を否定する気は毛頭ありません。
(amazonレビューは酷いですが・・・)
むしろ、感謝したいです。
独自の考えを持たれていることに尊敬の念すら抱きます。
現代社会を斜めから見下すような生き方の著者、少しカッコいいなと思う部分も少しあったりします。
マネできませんけどね。