「じゃ、さっそくだけどキャラクターを作っていこうか？」
「本当に何も持ってないですね？」
「私達も紙とペンしか持たされていませんし……」
「キャラクターシートはどこですか？」
「キャラシーへの清書は、後でね……
簡単に説明すると、今から自分の分身。
ソードワールドでの自分を作ってもらいます」
「私の分身？」
「演劇で言う『役』ですね。
で、何をするかというと、サイコロを使って能力値を決めます」
「？
役なら名前とか性格とか決めるのではないのですか？」
「そーいうゲームもあるけど……
ソードワールドは、身体的特徴や知性なんかを数字化します。
器用さ、敏捷、知力、筋力、生命力、精神力と６つあって、それをサイコロを使って、数値化していきます」
「良くは理解できませんが、今からサイコロを使うということですね？」
「十分です。
じゃあ、サイコロを振る前に自分の出自を決めようか？」
「出自ですか？」
「そう。
まずは大雑把に、人間、エルフ、ドワーフ、グラスランナー、ハーフエルフから選んでもらいます。
人間を選んだ場合は、さらに細かい出自が用意されているよ」
「エルフ……」
「イメージは『指輪物語』ですよ？」
「それなら、知っています！
聖杯からの知識があります」
「イギリス……」
「そこもスルーして！
まあ、話題になったから説明すると……
エルフはナイフのような尖った耳を持ち、長命で、聡明。
すべからく『精霊使い（シャーマン）』という種族ですね」
「『精霊使い（シャーマン）』？」
「魔法使いのことです。
精霊っていう目に見えない力を使って、超常現象を起こします」
「……聖霊ではないのですね？」
「申し訳ない」
「あの……ドワーフは『指輪物語』に出てくるので、なんとなくイメージが湧くのですが……
グラスランナーとは？」
「ホビットです」
「え？」
「なんか、著作権の関係で『ホビット』っていう言葉が使えないから、創作してますが……
だいたい、同じような種族ですね。
人間の子供くらいの大きさで、すばしっこくて、非力。
魔法が使えないけど、昆虫と話ができる。
生粋の盗賊。
そんな種族ですね」
「盗賊なんて役割があるのですか？」
「シーフという職業があります。
ジャンヌさんのイメージは、強盗や山賊のイメージかもしれませんが……
この世界の盗賊は、技術職に近いですかね？
遺跡荒らしや犯罪組織の統制とかやっています。
『ギルド』という形で支部もありますよ？」
「しかし、盗賊ですよ？」
「まあ、モラルには反していますね……
ただ、この世界はそれも産業として成り立っている世界だとご理解ください。
ちなみに、ルール的には最強のクラス（職業）だと思っています」
「うー」
「ジャンヌさん！遊びだから！
鬼ごっこの鬼のようなものだと思ってください！」
「……まあ、いいでしょう」
「……じゃ、一通り、説明しますね？」
「だいたい、把握しました」
「ロジカルです……」
「まだ、ちょっと足りないですが……なんとなくイメージはできたと思います。
で、皆さんに相談なんですが……」
「なんですか？」
「今回、プレイヤーが３人しかいないので、うまくバランスを取らないとゲームで詰んでしまう可能性があるんで……
みんな『人間』で、本来なら順番に決めていく能力値を『振り分け式』にしませんか？」
「それは、どういうことなんですか？」
「簡単に言うと、自分の遊びたいキャラを作れるんです。
人間以外だと、やれる職業がほぼ確定してしまいますが……
この方法だと、ある程度、自分の好きな役割になれます」
「ふむふむ……私は、それでいいですよ？」
「盗賊や司祭になるのには、抵抗がありましたから……
私も構いません」
「私はロジカルな魔法使いがやりたいです！」
「私は、そうですね……まとめ役を受け持ちましょう」
「なら、戦士がよろしいかと……僕は、バランスを取って『密偵』になりますね？」
「？
『密偵』とは？」
「シーフの役割の一つですね。お好きでしょう？密偵」
「ごめんなさい。あまり使ったことがなくて……
そういうのも、盗賊の仕事なのですね……
確かに、私の盗賊の観念は硬かったようです……」
「それじゃ、サイコロを振りましょうか？」
「ええ」「はい」
別にキリストは、盗みを否定はしていないけど……
十戒では、しっかりと明記されてるんだよね（笑）
まあ、史上最悪の盗みをしたキリスト教団は、知りませんけどね（笑）
（GMは、キリストの言葉には感銘を受けているが……
キリスト教団は、軽蔑している）
