「 何だよここ 連れ込み部屋か?」
部屋に入る早々 口汚く感想を言う
「 まだ越して来たばっかなの 」
それは本当で
ほとんど荷物のない
がらんとした空間に
ベットとテーブル
数着の着替えと…
そうね ホント それ専用の空間みたい
「 …何でこんな部屋必要なの? 」
ごもっともな質問
「 それ 俺も思った
なんでか事務所が用意してくれたの 」
テッシーが 何か言ってた
時間がこれから不規則になった場合
自宅では家族の睡眠が…
ファン対策が…
学業重視の学生の間だけ
学園近くに…
何かそんな事
お蔭で遅刻は無い距離だけど
本当は たまり場にならない様
友達連れ込み 厳禁が言い渡されてた
でも
黙ってりゃ ばれないよ
部屋に入って
キョロキョロ見ている向井さん
…無防備だね
後ろから抱きしめる
「 早速かよ …ちょ… 」
耳の後ろに唇を這わせると
腕の中で 向井さんが もがいた
「 あ…あのさぁ ちょっと 話そう 」
またお預け?
非難めいた目を向けると
「 …逃げないから 落ち着けよ 」
呆れた目で返される
…そうね
取りあえず
「 …腹減ってるなら から揚げ食う? 」
大事そうに
ここに来るまでの道すがら
から揚げの入ったタッパ持った
向井さんの姿が
超絶 可愛くて
ニヤける俺を見て
嫌ぁな顔してた 貴方
「 あぁ… 一緒に食べようか 」
テーブルを挟んで横に座ると
向井さんが袋から 取り出す
…凄いサービスだなぁ
おばぁちゃんの詰めたタッパの中は
残り物の域を超える量が
「 …これ 何人分だよ 」
ギョッとして俺が笑うと
向井さんも ヘラっと笑った
添えられた串に刺して 口に運ぶ
俺の横で
から揚げを食う
向井さんの姿を
気が付けば
見つめていた
「 …お前 相当 溜まってる? 」
…はい
小さく頷くと
から揚げを口に入れ
咀嚼しながら
向井さんの手が 俺に伸びて来た
「 …あ それは 嫌かも 」
片手間に ヌク 目的のみで
触れられるのは…
そう拒むと
「 …だったら 食べ終わるまで
お前 どこかへ行ってろよ
落ち着かねぇよ その視線 」
…二人っきりになってから
向井さんの言動に
変化が見え始めた
優劣を…優位に立とうと
横柄な態度を 見せてる
「 …何か飲む? 」
俺は
向井さんを油断させたまま
立ち上がれる口実を口にし
彼の返事を聞く振りをして
近付くと
そのまま
向井さんを押し倒し
彼の上に 乗っかった
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