室内に響く機械音
気付かない振りするには
無理がある
耳障りな
呼び出し音に
不快感から
感情的に
しかめてしまう表情
「…どうして 出ないの?」
うるさい音
止める気のない相手に
批判込めた問い掛け文句
直接
彼の方を向いて
電話に出ない理由
繰り返し 聞けば
「そう言う表情 癖?
無意識なら
気を付けないと
変な皺が 深くなるよ」
そう言うと
真似てるつもりなのか
わざと眉間にグッと皺をよせ
自分の眉間を指さした
男の娘
こんな表情 止めろって
事なのだろうけど
何故か急に
現状が
倒錯めいて見え始め
戸惑う
目の前で
女の子の見目の
可愛い顔が
不釣り合いな 低い声で
「…ホント しつこいね」
鳴り止まない呼び出し音に
他人事のような素振りで
触れて
不快感を見せた顔
やり取りの繰り返しで
慣れて来ていたとはいえ
顔だけ見てると
可愛い彼に
つい 混乱を始める思考
そのせいで
何度となく
freezeする反応
ただ黙って 表情筋を緩めに掛かれば
こちらの意思
見透かしたような目で
一睨みすると
やっと 部屋の方へと向かった男の娘
すぐに振り返って
呼び出し音に遮られない程度の
音量で
「次の工程に入るから」
張った声
ハッキリとした滑舌
「いつまでも
そこに立ってないで
そのままでいいから こっち来て」
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