「いじめている君へ」
中1のとき、
吹奏楽部で一緒だった友人に、
だれも口をきかなくなったときがありました。
いばっていた先輩(せんぱい)が3年になったとたん、
無視されたこともありました。
突然のことで、わけはわかりませんでした。
でも、さかなの世界と似ていました。
たとえばメジナは海の中で仲良く群れて泳いでいます。
せまい水槽(すいそう)に一緒に入れたら、
1匹を仲間はずれにして攻撃(こうげき)し始めたのです。
けがしてかわいそうで、
そのさかなを別の水槽に入れました。
すると残ったメジナは別の1匹をいじめ始めました。
助け出しても、
また次のいじめられっ子が出てきます。
いじめっ子を水槽から出しても新たないじめっ子があらわれます。
広い海の中ならこんなことはないのに、
小さな世界に閉じこめると、
なぜかいじめが始まるのです。
同じ場所にすみ、
同じエサを食べる、
同じ種類同士です。
中学時代のいじめも、
小さな部活動でおきました。
ぼくは、
いじめる子たちに「なんで?」ときけませんでした。
でも仲間はずれにされた子と、
よくさかなつりに行きました。
学校から離れて、
海岸で一緒に糸をたれているだけで、
その子はほっとした表情になっていました。
話をきいてあげたり、
励ましたりできなかったけれど、
だれかが隣にいるだけで安心できたのかもしれません。
ぼくは変わりものですが、
大自然のなか、
さかなに夢中になっていたらいやなことも忘れます。
大切な友だちができる時期、
小さなカゴの中でだれかをいじめたり、
悩んでいたりしても楽しい思い出は残りません。
外には楽しいことがたくさんあるのにもったいないですよ。
広い空の下、
広い海へ出てみましょう。
(さかなクン)