映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

サード・パーソン(2013年)

2017-03-01 | 【さ】



 デビュー作こそピューリッツァー賞なぞ獲って話題になったが、その後停滞しているらしい小説家のマイケル(リーアム・ニーソン)は、パリのオサレなホテルで次作を執筆中の様子。

 そこへ、愛人と思しき美しく若い女性アンナ(オリヴィア・ワイルド)が訪ねて来るのだが、、、。

 錯綜するお話が、実は…………だった、、、と見る者たちの脳を刺激する、オスカー脚本家ポール・ハギスによる脚本&監督作品。

 
 
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 ブロディの出演作をちまちま見ているので、今回はこの作品。手当たり次第にテキトーに選んで見ているので、今回、本作を見た理由は特にありません。なので、ポール・ハギス脚本と知りませんでした。知っていたら見なかったかも、、、。

 ハギスさんのファンの方は、以下の駄文はお読みいただかない方が良いです。きっと、腹が立つだけですので。


◆「ストーリーの構成はお手のもの」なんだって。

 本作の解釈については、もう、あちこちでイロイロと書かれているので、大方はそちらにお任せして、率直な感想を。

 本作をお好きな方には申し訳ないのですが、私は、こういう脚本の映画は、嫌いです。それも、ただの嫌いじゃなくて、大っ嫌いです。

 引き合いに出すとハギスさんに怒られるかもですが、邦画でいうと、『アフタースクール』とか『キサラギ』とかと同系列だと思うんですよねぇ。とにかくトリッキーさにこだわる。イロイロ伏線張ったり、謎を仕込んだりして、見ている者の興味を引きつける。でも、中身はスカスカ、、、みたいな。「よく出来たお話ですね。……で?」という言葉が脳裏に浮かぶ。

 本作も、まあ、それと同じな訳です、私にとって。しかも、本作のタチの悪いのは、ローマとNYの物語については、マイケルの小説のオハナシであろうと思われるオチだってこと。まあ、その2つの物語が、マイケルの過去の投影だ、、、と言われれば、夢オチと一緒にするのは乱暴かも知れませんけど、でもまあ、大差ないかなと思っちゃいますね、私は。

 私が、ローマとNYの物語がマイケルの小説内物語であると気付いたのは、ホントに終盤。ブロディ演じるスコットとモニカ(モラン・アティアス)の乗った車がサーッと消えた辺りで、「は、、、? それはもしかして、、、あれですか??」みたいな感じで、もともと苦手なハギス作品かぁ、、、と思って見ていたところにトドメを刺されました。そして、ラストシーンで、やっぱりそうらしいと確信し、げぇ~~~っ、ひど過ぎ!! と思ったワケです。

 こういう、話の構成に異様に凝った作品は、私は“本末転倒映画”と勝手に呼んでいます。映画は究極的には娯楽だと思うので、何であれ楽しめれば良い、というのもアリだとは思います。が、私が映画に求めるものは、やっぱり、見た後にその作品の“人物の物語”に心揺さぶられることなんですよ。なので、本作のようにトリッキーなのは邪道にしか思えないのよねぇ。

 映画にしろ、小説にしろ、人物描写ありきであって、ストーリーは従だと思うわけ。でも、ストーリーありきで、人物描写が従になると、なんかこう、、、もの凄く虚しい気持ちになるのです。

 もっと言っちゃうと、見る者に、トリッキーさを感じさせる時点で、脚本としてはダメだと思うんです。見終わってから、ああ、アレとかアレとかアレは、コレの伏線だったんだ~~、と感服させられたいのです。でも、本作みたいな映画は、ハナから見ている者を惑わせようとする下心が見え見えで浅ましくさえ思えてしまう。同じストーリーでも、もっと正攻法で描いたって感動作にすることはできるはず、本当に優れた脚本家であれば。こういう小手先で見る者をたぶらかす人ってのは、正直言って、似非だと思いますね。

 だから、本作だって、ローマとNYの物語は、マイケルの小説の話だと最初から見ている者に明かせばよいのです。きちんと見ている者に分からせたうえで、ストーリーを展開させる、それが見る人本位の創作じゃないでしょうか。

 イヤなら見るな。はい、そうですね、見ませんよ、原則的には。でも、私みたいに、出演者が見たくて、内容もよく知らずに見ちゃう人だってたくさんいるわけ。そして、見る人がみんな、脳をフル回転させて見たいわけじゃないのね。

 制作者ってのは、独り善がりになったらダメでしょ。ハギスさんが独り善がりだとは、まあ、今んとこは思いません。でもね。DVDの特典映像見たら、彼はこう言っていました。「(私は)ストーリーの構成はお手のモノだから」……さようですか。そりゃよござんしたねぇ。でも、それって、あなた、策士策に溺れていらっしゃるんじゃありませんか? そのままだと、まさしく“独り善がり”なオナニー映画作ることになっちゃうよ。

 彼は「理解不能な作品が好きだ」そうです。特典映像でおっしゃっています。まあ、大体、クリエイターが自作について饒舌すぎるのは私は好きじゃないので、この特典映像も、本作のイメージダウンにかなりつながっているかもですが。作品“だけ”で勝負しろよ、と言いたい。あんまりベラベラ喋るのは、言い訳にしか聞こえません。

 ……というわけで、世間では、本作についての感想の多くはその解釈についての見解が述べられているんだけれど、文句ばっかしになってしまい相すみません。

 文句ついでに、もう一つ言うと、アンナと父親の近親相姦のエピソード、もの凄く嫌悪感を抱きました。いらんでしょ、このハナシ。全く必然性のない設定、見ている者に「えぇ~~っ!」て言わせたいがためだけのハナシ。こういうエピを、ウケ狙いで「構成はお手のもの」とか言いながら入れちゃうところに、ものすごくクリエイターとしての志の低さを感じるのよ。すんません、偉そうなことばかり書いて。

 
◆その他もろもろ

 ブロディは、なんか日焼けした顔になっていて、彼、茶色い顔はイマイチですね。なんか、似合わないです、日焼けした顔。

 まあでも、彼が画面に現れると、やっぱり画がしまるというか、映画らしくなる(気がする)よなぁ、、、。映画俳優って、こういう人のことを言うんじゃないかしらん。

 そういう意味では、リーアム・ニーソンって、私にはあまりピンと来ません。彼の役者としての魅力も、そもそも演技が良いのか良くないのかも、イマイチ分からないです、、、。出演作はそんなにたくさん見ていないけど、彼も割と、何を演じてもリーアム・ニーソン、な役者な気がする。もっといろいろ作品を見れば、また見方が変わるのでしょうか。

 キム・ベイシンガー、すごい久しぶりに見ました。ステキに歳とってますよね。

 オリヴィア・ワイルド、キレイだけど、ううむ、キーラ・ナイトレイとちょっと被る気がしたんですけど、そんなの私だけですかね、やっぱし。彼女の出演作は、多分、これが初めてだと思うのですが、他でどんな役をどんな風に演じているのか、ちょっと興味がわきました。
 








“watch me!!”がウザい。




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