そろそろ今年のマイベストを考える時期ではあるんだけど、その前にどうしても書いておかないといけない盤がある。
10年以上ブログでポップミュージックを紹介してきたけど、その中でも自分の中でとても重要な人。それが彼女です。
つるうちはな
『LOVE』
2016/11/30リリース
花とポップス
HTP-1015
私がブログを書く様になって、一番大きく変わった事。それはリアルではない友人が出来、それらの音楽仲間から情報を貰い楽しむ音楽が格段に広がっていった事です。ライヴの為に遠征する様になったのもブログがあったからかもしれません。
音楽仲間から彼女のライヴ会場でしか売ってないCD-Rを送ってもらったのが、私の運命を変えました。彼女の作る楽曲に惚れ、ピアノの虜になりました。
今まで、このブログで何度となく書いてきました。彼女のポップクリエイターとしての素晴らしさについて。
ピアノのフレーズ一発であらゆるモノを支配する鍵盤のファンタジスタとしての“つるうちはな”のこと。
クセのあるヴォーカルなのに歌詞がスッと腑に落ちてくる歌唄いとしての凄さのこと。
そして、メロディメイカーとしての稀有なポテンシャルについて。
しかし、間接的にではありながら10年くらい彼女の様子を見ていて思う事は、決して天賦の才に恵まれただけで苦労も無く音楽を生み出しているのではないという事実。
彼女の歌には愛が溢れている。その歌が生み出される過程で、色々な業や虚飾や嘘や嫉妬や不安定な諸々が混じり合った末に削ぎ落されて、ピュアなコアが残っているんだろうなと思うのです。
本質的に音数が多いグルーヴチューンが好きな私が、ピアノ弾き語りのシンガーソングライターを好きになる事は珍しいんです。でも、時々好きになっちゃってどうしようもない人が現れる。そんな中でも、つるうちはなは特別な存在。彼女の作る音楽には、心の奥底にアプローチしてむんずと掴むメロディがあります。こればかりは理屈じゃなくて感覚でしか無いけど、聴いてみて感じたらどうか愛してあげて欲しい。
こんなにも真摯に音楽と人生に向き合って愛を届けてくれる人は、そうそういないと思うので。
全10曲の宝石。それはどれも素晴らしいのですが、個人的に好きなモノを少し紹介しておきます。
2曲目「むすんでひらいた」のサビのメロディは、今まで聴いた何万曲というポップスの中でも最上級にゾワゾワするキャッチーなフックを持つ。間奏のピアノソロも気持ち良い事この上なし。
3曲目「赤いハート」の弾む様な鍵盤のコードが醸し出すポップネスと押し出しの強さ。
4曲目「I HATE YOU」で珍しく低音を強調したヴォーカルとYMOライクなアレンジの絶妙なマッチング。
5曲目「LOVE」は、私の中では21世紀で最も好きなラヴソング。歌詞もメロディも名曲の貫録十分ですが、今回加えられた佐々木くんのギターがますます曲の表情を豊かにしていて至高の一曲になりました。
過去にレヴューを書いた「一緒にいようよ」や「あいゆうえにい」も勿論素晴らしいですし、他の曲もポップで切なくて優しくて愛に溢れています。
そんな楽曲を作ったつるうちはなちゃんと、見事な手腕で化粧を施しカラフルに楽曲を彩ったteoremaaこと佐々木二郎くん。最高の作品をありがとう。
ずっと愛していけるアルバムを手に入れました。