BL小説感想日記

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さようなら、と君は手を振った/木原音瀬

2014-10-18 11:05:19 | か行(作家名)
著:木原音瀬    絵:深井結巳



従兄弟の啓介が田舎から上京してきた。誠一は後ろめたく感じていた。
十年前の夏、啓介と恋に落ちた誠一は、高校を卒業したら迎えにくると約束した。
それなのに反故にしたからだ。しかし再会した啓介は過去には触れず、
優しい笑顔で誠一に微笑むだけだった。責められないことで安心した誠一は、
優しく抱き締め甘えさせてくれる啓介のもとに頻繁に通うようになり…。



前半は攻めの誠一視点です。


美形なのに服もすることも全てダサい
受けの啓介をどこか見下していて、
でも惜しみなく与えてくれる愛が心地よくて、
けれどそれに胡坐をかいて
他に女を作ったり
啓介から金を借りたりしていいように扱ってしまう。


誠一は、一言でいうと
大人になりきれてない
相当な阿呆の見栄っぱりなのね。
愛が何たるかも知らない。


だから、啓介が与えてくれる愛に
不誠実でいられたんだけど、
啓介が実家の旅館を継ぐために
自分の前から姿を消して
結婚を決めたと知ったときに

初めて自分が
啓介に酷いことをしていた、
そして自分には啓介しかいないんだと気づく。


迎えにきた啓介を拒んで
「さようなら」と言った啓介の気持ちを考えると
うああああ!ってなりましたよ。



次は啓介視点。
ずっと続くと思えた結婚生活は、
嫁が好きな男を作ったことで破綻し、
子供も奪われ、一人になってしまう。

そこに心を入れ替えた誠一が迎えに来るんだけど、
誠一には2度裏切られてるし
嫁にも逃げられてるしで「愛」を信じられないのね。


どんなに誠一に尽くされても
飽きられたらまた捨てられるっていう恐怖から
抜け出せずにいるんだ。


そのうち、元嫁と元嫁の再婚相手が事故で亡くなり、
子供・貴之を啓介は引き取ることにするんだけど、
誠一に言い出せなくてまた姿を消そうとするのね。


それを知った誠一は、
貴之の前で啓介を抱くの。
抱かれながら啓介は「人ではなくなった」と
親でも人でもなくなったと
この愛に生きるんだと覚悟する。

抱かれる啓介も啓介なら
幼い子供の前で父親を犯す誠一も誠一。
ろくでなし2人です。



次の章は貴之視点。

ろくでなし二人に育てられた貴之は
案の定、情緒不安定な子供に育つ。
父親の友人の柊のアパートを避難所にするんだけど、
寂しさからくる執着を愛情と取り違えて
すったもんだあるんだよ。


もう、これは親の責任なんだなーと
読んでてやりきれなくなりやした。



啓介にとっての一番は誠一、
じゃあ自分は二番目?
でも啓介は誠一以外の人には
平等にみんなに優しい。
じゃあ、自分は二番目でもないかもしれないっていう
貴之の思考回路が酸っぱくてたまりませぬ。



柊は好きなキャラでしたが
こいつもそこそこなろくでなしだったなw



しかし、啓介も損な性格です。
与える愛しか知らなかったから
誠一に愛を与えられると戸惑ってしまって。
そんなわけない。愛されるはずがない。
またすぐ飽きられる。
ここで本気になったら飽きて捨てられたとき
もう立ち直れないって思っちゃってさ。


誠一は、自分のしてきたことのせいで
啓介に信じてもらえてないっていうのは
分かっているから精いっぱい尽くすんだけど、
愛している人に信じてもらえないって
辛いなあと思いましたよ。



でも、この作品で
一番かわいそうなのは貴之なんだけどね。
貴之は元嫁の実家に引き取られるのが
いちばんよかったんでないかと。
非常識な二人に育てられたせいで
しなくてもいいセックス覚えて
言い訳のように愛をとなえて切なかった。



作品としては痛いというよか
あいたたたといいましょうか…。

特に、誠一と相思相愛になったときに
元嫁が死んだ報せをきいて
哀しくもなんともなくて
さらに子供を疎ましいと思ってしまった啓介の
心理描写がぐさぐさきましたねえ。


さようなら、と啓介が手を振ったところで終わってたら
とてもきれいな話だったのに、
のちの話でいっきに酷い話になりました。
いや、好きですけどねww

特に啓介の
「飽きたら殺して」っていう
決め台詞に、ずきゅーん!やられましたww


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★3.5

2014年420冊目


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