完璧なスープなど存在しないと人は言うが、それについては私も全く同意見である。そう、完璧な幸福や絶望が存在しないのと同じようにね。
だからこそ、それゆえに私はスープについて語りたいと思うし、君も同じ気持ちでいてくれたらそれは嬉しいことだ。
夏だから熱いスープは飲みたくない──もしかしたら君はそういうかもしれないが、私は主張を断固拒否する。
私から言わせて貰えば「それはそれ、これはこれ」なのである。
残念ながら夏は夏で、スープはスープ。だから今はスープについてだけ語らせてもらいたいんだ。いいかな? ありがとう。
ところで、スープについて語りたいと言ったのは私の方だが、実のところ何を語るかは全く決まっていないんだ。軽蔑するかい?
考えてみれば、スープについて語ることなんてないんだ。ただそこにいて、無条件に私の身体を温めてくれる。そんな存在は、恋人かコタツ、そしてスープくらいなものさ。
要するに私が何が言いたいかというと、ランチタイムにスープがあれば、なんだか嬉しいということなのだ。
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✳︎私がスープについて語ることのすべて
★★★レシピ★★★
- 1 キャベツときのこを茹でるんだ。そう、スウィングするように激しく、優しく。
- 2沸騰したらツナと創味シャンタンを入よう。女性を扱うように丁寧に、もっと丁寧に。
- 3溶き卵を回し入れて火を止めてくれ。「もう終わり?」君は言うだろうけど、残念ながらもう終わりなんだ。でもそれは「完成」と「歓び」を意味する。
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今日も私はスープを飲んだ──いや、スープを食べた。そして明日も変わらず──スープを飲む…いや、食べるだろう。
君がもし、あと10年経ってスープを飲んだ時、「ああ、スープについて語る奴がいたな」と思い出してくれれば幸せだ。
良い汁人生(スープライフ)を。