我が家の食材は基本的に私が買うので、嫁さんがスーパーに行くことはほとんどないのだが、時々思い立ったように行くようで、その時は「何か欲しいものある?」と連絡が来る。
必要なものは大体仕事帰りに買ってしまうので、特に必要なものはなかったのだが、その時は無性に漬物が食べたい気分だった。そのため私は「漬物をお願いします」と返事をした。
そして数分後、嫁さんが意気揚々と帰ってきた。
「つけもの買ってきた!」
新生姜である。
確かに漬物であることについては間違いがない。それに新生姜はとても好きだから問題はない。しかしなんと言うか、私は白菜やきゅうりの漬物をイメージしていたのに、新生姜ときたものだから、少し面食らってしまった。
念のため「なんで新生姜?」と聞いてみたところ、「私にとっての漬物は新生姜だから」と、一点の曇りもない目で答えてくれた。
なんとも無邪気な表情である。
それから我が家の漬物のスタンダードは新生姜になった。
それはそれで、なかなか悪くないような気がしているのだった。