今年もコンクールの季節がやって参りました!
まずは、地元埼玉の県大会、大学と職場一般の部の“観戦”です。
平成28年7月31日、日曜日。
場所は、毎度おなじみ南浦和の“さいたま市文化センター”。
ここの良いところは、私の自宅から自転車で行けるところ。
15分ほどで着いちゃいます。
国道17号線を渡って右に曲がると目指す“さい文”まではもう少しです。
やっと到着。
駐車場の先にある搬入口になぜか、佐川聖二先生が立ってる…。(事実です。)
なんて考えながら、駐輪場に自転車を止めて建物の中へ。
11時過ぎくらいに到着したのですが、11時20分の当日券の販売開始時間に合わせてか40~50人くらい先客がロビーにいらっしゃいます。
すると中に見知った顔が…。
Twitterでやり取りさせて頂いたのが縁で一度、お会いしている方です。
昨年の4月19日、“ルネ小平”で行われたヒネモス・ウインド・オーケストラの演奏会で挨拶させて頂いた以来ですね。
お互いの近況などお話しながら待っておりますと程なくして、チケット販売の時間です。そして、当日券を購入し、ホールの中へ。
審査員と出来るだけ近い状況で聴きたいので、審査員席の近くの2階席に陣取ります…。
開演前のワクワク感。
この時間がたまりません…。
驚愕の“大波乱”が待っているとは、この時は予想だにしない“浦和のオヤジ”でした…。
【2016年度全日本吹奏楽コンクール課題曲】
Ⅰ.矢藤 学/マーチ・スカイブルー・ドリーム(第26回朝日作曲賞受賞作品)
YATO, Manabu/March Sky Blue Dream
Ⅱ.山本 雅一/スペインの市場で
YAMAMOTO, Masakazu/In a Spanish Market
Ⅲ.西村 友/ある英雄の記憶~「虹の国と氷の国」より
NISHIMURA, You/The legendary tale of a brave heart
Ⅳ.鹿島 康奨/マーチ「クローバー グラウンド」
KASHIMA, Kousuke/Clover Ground
Ⅴ.島田 尚美/焔〔※高校・大学・職場一般のみ〕
(第8回全日本吹奏楽連盟作曲コンクール第1位作品)
SHIMADA, Naomi/Flame
まずは、“大学Aの部”から。
1.埼玉大学 (指揮)松元 宏康
[課]Ⅴ[自]喜びの島(C.ドビュッシー/小野寺 真 編曲)
課題曲は、大学の部に出場する2団体は、共にⅤですね。
冒頭のフルートとピッコロのソロ。
演奏する直前に演奏者ふたりが息ピッタリのタイミングで一瞬、見つめ合っていたのが可愛かった(笑)
前半は少し、バタバタした感じがしましたが、曲が進むにつれて修正されていきました。
曲の終わりに向かって全員が意識を揃えて演奏しているのが感じられ、とても好感が持てました。
ただ、もう少し、ダイナミクスにメリハリが効いていたら、よかったかも。
自由曲は、一転、サウンドが変わったかのように思えました。
冒頭のフルートソロ、とても柔らかい音質で美しかった。
サウンドから、丁寧に曲づくりしているのが窺い知れます。
ドビュッシーの音楽の持つキラキラ感も良く出ています。
同時に表現力の豊かさを感じさせてくれるのです。
最後までその雰囲気を崩さない演奏は、とてもステキでした…。
今後も松元先生の指導のもと、活動に期待しています。
【銀賞】
2.文教大学 (指揮)佐川 聖二
[課]Ⅴ[自]風伯の乱舞(石毛 里佳)
毎年、私のような素人にとって、「課題曲Ⅴ」を評価するのは難しい。
難解過ぎるのです。
ところが、技量のある団体は、私にでも理解できるよう“咀嚼”してくれます。
文教大学の演奏は、まさに“それ”でした。
音楽に“流れ”を感じさせてくれるのです。
最初のフルート、ピッコロのソロ、アクセントが効いていて、ステキでした…。
自由曲は「風伯の乱舞」ですか。
幕張総合高校の委嘱で人気の作曲家、石毛里佳氏が作曲した曲です。
今年は、チラホラこの曲を聴く機会が多いので流行っているのでしょうか?
とても、いい曲で私は大好きですね。
私は、コンクールやコンサートに行った時にメモを取っているのですが、この自由曲の演奏のメモを以下に列挙します。(殴り書きなので、わかりにくいと思いますが悪しからず。)
・雰囲気がある。
・各ソロパートがうまい。
・サウンドが絡み合っていて重厚に聴こえる。
・迫力がある。
・定演で聴いた時より数段、良くなっている。
・“完成品”を見ているよう。
・木管、ユニゾンの色っぽい音!
演奏中というわずかな時間にこれだけの言葉が溢れ出しました…。
西関東、いや、全国での活躍に期待します!
【金賞・県代表】
正直言って、参加団体が2団体は寂しいですね…。
続いて、“職場一般の部”です。
1.大宮シティウインドオーケストラ (指揮)森谷 孝治
[課]Ⅲ[自]世俗カンカータ「カルミナ ブラーナ」より Ⅳ,Ⅵ,Ⅹ,Ⅻ,ⅩⅢ(C.オルフ/J.クランス 編曲)
課題曲はⅢです。
冒頭のシンバルは無防備すぎ。
何か違和感を持ちました。
演奏には勢いがありましたが、金管にもう少し華やかさがあればと…。
アンサンブルの乱れもありましたしね。
全体的にアクセントを効かせれば良いと思いましたし、アンサンブルのズレも目立ちました。
自由曲は派手な曲ですね。
時折、素晴らしいサウンドが聴こえてきたり、アンサンブルの乱れがあったり…。
ソロパートは、よく頑張っていましたね。(フルート、アルトサックス)
低音部がもっと充実していたら、サウンドが重厚になっていたでしょうね。
最後は迫力があって良かった。
【銅賞】
2.川越奏和奏友会吹奏楽団 (指揮)佐藤 正人
[課]Ⅴ[自]星の輝跡(飯島 俊成)
職場一般の部が始まって、早くも川越奏和の登場です。
課題曲は、例年通り、Ⅴですね。
さすがに川越奏和らしく、随所にアクセントの効いたメリハリのある演奏でした。
曲の道筋が見えるようです。
川越奏和は、個人的に「剛」のイメージがありますが、今回は、ある程度、柔軟な演奏に感じました。
まるで、絵画を見ているようでした…。
自由曲は、今年の「21世紀の吹奏楽“響宴”」で演奏された飯島俊成氏の「星の輝跡」。
素晴らしい演奏でした。
曲名に象徴されるように壮大なスケールを持った曲調です。
とにかく、川越奏和の表現力が素晴らしい。
音の強弱で広がりを持った空間を現出していました。
最後の方でトランペットの方が立って演奏していたのがカッコよかった。
堂々たる横綱の演奏。
そんな風に思ったのに…。
結果は、なんと県大会で“ダメ金”…。
こんな事って、あるのでしょうか?(あったんですね、これが。)
何がダメだったのか。
他の西関東に進んだ団体より、到底、劣っているとは思えませんでした。
いあや、むしろ優れている。
個人的に最近では、一番、疑問の残る“ジャッジ”だったと言わざるを得ません…。
【金賞】
3.杉の子吹奏楽団 (指揮)小川 慎
[課]Ⅱ[自]ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶~(福島 弘和)
課題曲の冒頭は、ごく自然に客席に音が伝わってきました。
ただ、異国情緒あふれる曲なのだから、もう少し華やかさが欲しかった。
メロディの歌い方は感情がこもっていて良かった。
だから、少し大人し気味に聴こえました。
自由曲は、ラッキードラゴン。
ここ数年では、自由曲に選ばれることの多い曲です。
冒頭のピアノは、とても雰囲気のあるソロでした。
時折、ピッチが気になるところがありましたが、メリハリが効いていて好感の持てる演奏でした。
ダイナミクスのバランスも良かった。
何より曲の雰囲気をうまく醸し出していました。
強いて言うならば、もう少し、サウンドに統一感があればと思いました。
情熱的な“指揮”、とてもステキでした…。
【銀賞】
4.桶川市民吹奏楽団 (指揮)花坂 義孝
[課]Ⅱ[自]民謡の主題によるスコットランド行進曲(C.ドビュッシー/今井 聡 編曲)
課題曲は、Ⅱ。
異国情緒にあふれた色彩感にあふれた曲です。
華やかな表現で曲が始まりました…。
ただ、主旋律のパートが音楽に乗り切れてないような…。
ある意味、大人しい演奏のように聴こえます…。
サウンドは、全体的に音色が揃っていて、実にすんなりと耳に入ってくる。
ところで、演奏人数をプログラムには、40名って書いてありますけど、それより少ないですか?(ファゴットもいない?)
でも、その割には、音が響いているように感じました。
もう少し、躍動感があれば良かったですね。
自由曲は、ドビュッシーの曲です。
恥ずかしながら、私、この曲を知らなかったのですが、もともとはピアノ連弾曲で後年、管弦楽に編曲されたようです。
しっかりとまとまった演奏でしたが、こじんまりし過ぎていたかも。
それと、ドビュッシー特有の“キラキラ感”があったら、ベストでした。
【銅賞】
5.大宮吹奏楽団 (指揮)戸田 博美
[課]Ⅱ[自]華麗なる舞曲(C.T.スミス)
課題曲から。
最初の方、トランペットにもう少し華やかさがあったらなぁ。
丁寧に構成された演奏だったが、前の団体同様、少し大人しすぎるのでしょうか?
それであるが故にと敢えて申させて頂きますが、上品にも感じました…。
自由曲は、「華麗なる舞曲」。
コンサートでもコンクールでも、観客が大変、盛り上がる曲です。
だからこそ、クオリティの高い演奏が要求されます。
曲が華やかに始まりました…。
冒頭の打楽器パートに多少の違和感が…。
テンポの速い遅いに関係なく軽やかさが足りないかなぁ?
この曲の持つ最大の特徴である“ジェットコースター”感に欠ける…?
でも、よく練習してあって真面目な演奏に感じました。
だから、課題曲同様、ソフトな印象を受けました。
最後のゴング、音大きすぎ…。
【銅賞】
6.所沢市民吹奏楽団 (指揮)吉田 謙治
[課]Ⅰ[自]歌劇「蝶々夫人」より(G.プッチーニ/宍倉 晃 編曲)
課題曲は、めずらしくマーチでの朝日作曲賞の受賞となった「Ⅰ」。
爆発的に人気があると思っていたのですが、この日、7団体目にして初めての“登場”ですね。
きれいな演奏でした。
言い換えると“ソツのない”演奏。
だから、最初から最後まで安心して聴けました。
ただ、トリオからのメロディを奏でていた皆さん、「Cantabile」って書いてあるのだから、もっと“クサく”やった方が私の好みでした…。
自由曲は、ド定番のオペラ曲ですね。
曲の事を一人一人の演奏者が良く理解した演奏に聴こえました。
曲の流れの中でポイントをしっかり押さえているので、聴きやすかった。
サウンドに合った選曲は、大成功です!
クライマックスでは、よく盛り上がりました…。
しかし、本当に個人的な意見ですが、他の団体にはない“所沢市民”独自の「何か」が欲しかったかも…。(他との差別化と言うか…。)
【金賞・県代表】
7.伊奈学園OB吹奏楽団 (指揮)宇畑 知樹
[課]Ⅰ[自]ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶~(福島 弘和)
いよいよ、宇畑先生、登場です!
課題曲は、前の団体に続いて「Ⅰ」。
統制のとれたサウンドが心地よい。
メロディ担当の皆さんの音の処理の仕方が抜群です!
トリオからのメロディラインが良く響いていてステキ。
艶っぽさも十分です。
月並みな言い方ですが、明るく爽やかで大人の演奏。
とても良かった!
自由曲は、メッセージ性の高い「ラッキードラゴン」。
私も演奏会、コンクールで何度、この曲を聴いてきたことでしょう。
しかし、いつ聴いても味わいのある楽曲です。
冒頭の木管のメロディ群、よく響いていたし、よく歌えていたように思いました。
実際、細かいミスもありましたが、何か、こう、うまく表現できないのですが演奏に一本、筋が通っていて、揺るぎないものを感じました。
特に悲劇性を連想させる主旋律を奏でている部分のパフォーマンスに感銘を受けました!
西関東での健闘を祈ります。
【金賞・県代表】
8.青木フィルハーモニー吹奏楽団 (指揮)酒井 敦
[課]Ⅲ[自]「火の鳥」より Ⅳ魔王カスチェイの凶悪な踊り,Ⅴ子守歌,Ⅵフィナーレ(I.ストラヴィンスキー/R.アールズ 編曲)
まずは、課題曲Ⅲから。
毎年、この団体のサウンドを聴くと思うのですが、やわらかくて澄んだ音色。
青木フィルの特徴です。
心が和みます。
そして、Ⅲの持つ物語性と相まって、とても良い演奏になりました。
さらに躍動感も感じました。
ただ、終盤のアンサンブルの乱れが残念でした。
目立つところでのミス。
その辺が課題になるのでしょうか?
自由曲は、名曲「火の鳥」。
よく、練られた演奏でした。
先程から申し上げているように乱れのない透明感のあるサウンドが空間の広がりをもたらします…。
ナイスな選曲だと思います。(古い表現でスミマセン。)
ただ、ひとつだけ…。
「火の鳥」の吹奏楽団の演奏は、今まで複数、聴いたことがあります。
今、ぱっと思い出すだけでパストラーレシンフォニックバンド、プロのTKWOなどなど…。
でも、その中でもイチバン感銘を受けたのが東京音大の演奏。(確かそうだったと思います。間違っていたえら、ゴメンナサイ。)
100名を超える大規模な団体でした。
何が言いたいかと申しますと“スケール感”の問題なのです。
確か、職場一般の部の演奏人数の制限って65名でしたっけ。
オーケストラに対抗する奥行きの深さ、規模の大きさを表現するには、やっぱり、100名を超える大吹奏楽団じゃなきゃ無理です…。(個人的意見ですが…。)
他の管弦楽曲だったら、いいのかも知れませんが「火の鳥」は“スケール感”が命だと思うから…。
青木フィルの演奏の巧拙以前の問題として、上記のような事を思いました。
来年も美しいサウンドで私を楽しませて下さい。
期待しています。
【銀賞】
9.浦和吹奏楽団 (指揮)山田 昌弘
[課]Ⅴ[自]復興(保科 洋)
指揮は、NTT東日本東京吹奏楽団でも棒を振っておられる山田昌弘氏です。
課題曲は、Ⅴです。
毎度申し上げておりますが、私には難しすぎる曲です。
それでも感覚的に感じたことを書かせて頂きます。
アンサンブルもしっかりしていて、とても安心して聴ける演奏です。
きちんと整理されてもいます。
でも、各演奏者の音が相互に溶け合ってないというか…。
だから、なんとなく平板な演奏に聴こえるし、余裕がないようにも見えてしまう…。
他の課題曲を選択した方が良かったのではと考えてしまった“浦和のオヤジ”でした…。
自由曲は、ここ数年、コンクール自由曲として脚光を浴びている保科先生の「復興」。
昨年は、いくらかコンクールでの演奏団体が減ったかのように思えましたが、今年は「熊本地震」の影響もあるのか、聴く回数が増えたように思えます。
冒頭のクラリネットのユニゾン、「静」を感じさせるのに象徴的なメロディなのに「静」が浮かび上がってこない。
何故なのだろう?
ところが、テンポが速くなって、いわゆる「動」が見え隠れするようになると俄然、魅力が発揮されてくる。
ただ、そこにもメッセージを感じさせるものが希薄に思えるかなぁ。
パワーもあるし、躍動感もある。
手本となるような洗練された演奏なのだけれど、この“違和感”は、どこから来るものなのだろうか?
【銀賞】
10.本庄ウインドシンフォニカ (指揮)萩原 完夫
[課]Ⅰ[自]バレエ音楽「四季」より 秋(A.グラズノフ/前田 卓 編曲)
パンフには、45名と書いてあるのだけれど、実際は40名弱?
課題曲は、最初、不明瞭な感じで始まってしまいました…。
時折、ピッチが気になる部分があったのが残念でした。
トリオからのメロディはもっと明るく歌ってほしかったですね。
毎度毎度、こだわるようですが、ここがイチバンの聴かせどころでポイントだと思うから。
自由曲。
まず、感じたのはメロディラインと伴奏パートの音量のバランスが芳しくない事でした。
あと、課題曲同様、音程の不安定さです。
よく、練習してあるなぁと思える演奏でしたが、表現力を期待できるようになると、良いかと思いました。
自由曲の選曲はサウンドに合っていて、効果的だと思いました。
【銅賞】
11.埼玉県ユースホステル協会吹奏楽団 (指揮)熊谷 一郎
[課]Ⅳ[自]交響曲第2番「ビッグ・アップル」より Ⅰ(J.デ=メイ)
課題曲は、Ⅳです。
クラリネットのメロディライン、何となくズレて聴こえるような…。
音程とかアンサンブルが合ってないとかじゃなくって、各演奏者の音色の違いか?
トリオの木管メロディパートのピッチが微妙に合ってないのが気になりました。
演奏自体は、まとまって聴こえるのですが、ダイナミクスにメリハリがあったら、もっと良かった。
自由曲は、課題曲に比べて練習の成果が良く出ていました。
金管の高音がよく響いているのが好印象でした。
ただ、若干、単調に感じた部分があったのが残念でした。
【銀賞】
12.ソールリジェール吹奏楽団 (指揮)佐川 聖二
[課]Ⅰ[自]紺碧の波濤(長生 淳)
いよいよ、佐川先生の登場です!
課題曲は、Ⅰですね。
個人的に今年はこの課題曲がイチバン好きですね。
厚みのあるサウンド、バランスの良いダイナミクス。
軽やかではあるが、重量感も感じさせる。
実に心地よい演奏です!
またまた、こだわるようですが、トリオからのメロディについて述べさせて頂きます。
まるでソロで吹いているようにサウンドが溶け合っていて素晴らしかった!
実に上品なコンサートマーチに仕上がっています。
個人的意見ですが、この日、課題曲Ⅰの演奏の中でナンバーワンだと思いました!
自由曲は「紺碧の波濤」ですか。
好きなんですよねぇ、この曲。
力強くて、かっこいいですよ。
すごい重量感のある演奏でした!
この曲の持つ神秘性を物語的に表現されていて、ある意味、分かりやすい演奏でした。
特に主旋律の表現の仕方がバツグンでした!
ソールリジェールは、文教サウンドを受け継ぐ、とても好きな団体ですが、特に今年は“本気”だなって、勝手に思ってしまいました…。
【金賞・県代表】
13.あおぞらハーモニー吹奏楽団 (指揮)阿部 和博
[課]Ⅰ[自]神々の系図~神と人間が共存する土地へ~(清水 大輔)
課題曲Ⅰが続きます。
軽やかなタッチで演奏が始まりました。
オヤオヤ、何か金管の音が遠くに聴こえる…。
何故だろう、音量は出ているのに…。
何て考えていたら、あっという間に私の個人的こだわりのあるトリオへ。
メロディ群がとても良いです。
これで、演奏がグッと締まりましたね。
さわやかな演奏でした。
それと、曲が終わろうかという時、トロンボーンの女性がスクッと立ち上がり、ピアノの方へ歩いて行きます…。
自由曲の演奏準備なのですね、きっと。
自由曲は人気の作曲家、清水大輔氏の作品です。
土俗的な雰囲気が良く出ていました。
清水先生の作品独特の映像音楽を意識したであろう特徴をとらえていて、とても良かったfですが、逆にこれも同じく、清水作品の特徴である「ダイナミクスにメリハリをつけないと単調になりますよ」と言う“罠”にも、どハマりした演奏でした。
【銀賞】
14.狭山ウインドシンフォニー (指揮)渡邊 芳徳
[課]Ⅰ[自]ジュビリー序曲(P.スパーク)
またまた、課題曲Ⅰです。
可もなく不可もなく、の出だし。
快活に聴こえないのは、サウンドが落ち着いているから?
音質が明るさよりも重厚さに勝っているのでしょうか?
そのせいか、低音が充実しています。
特にチューバが良く響いていて、リズム的には心地よかった。
自由曲はスパーク作品。
冒頭のファンファーレ、もっと華やかに明るいといいかなぁ。
課題曲のところで申し述べた“重厚なサウンド”が災いしているのでしょうか?
あと、早いパッセージのところで金管が音を外すのが多少、気になりました。
生真面目に演奏しているのはわかるのですが、全体的に躍動感に欠けるのが残念でした。
【銅賞】
15.アンサンブルリベルテ吹奏楽団 (指揮)福本 信太郎
[課]Ⅴ[自]「サンサーラ」~天に召されし者へ~(高 昌帥)
そして、福本先生の登場です!
課題曲は、毎年そうであるⅤです。
前から、申し上げているとおり、Ⅴは素人の私には難しすぎます。
でも、“リベルテ”クラスの団体になると、その“難しい曲”が実に自然に心に入り込んできます…。
今回も、その例にもれませんでした。
冒頭のフルート群のソロ、めずらしくミスりましたかね?
でも、そのあとは完璧。
それにしても、よく音の響く事!
何か他の団体とは“奥行き”が違う。
抽象的な言葉しか出てこないのですが、別の次元に連れていってもらっているようです。
「剛」「柔」取り交ぜた“完璧”な演奏でした!
自由曲は、素晴らしい作品ばかりを発表し続けている高昌帥先生の作品です。
そして、王者リベルテの演奏が始まりました。
会場を巻き込んでいく“スケール感”。
あっという間に演奏に“引きずり込まれ”ます…。
高先生という素晴らしい作曲家とリベルテの想いが美しく融和した瞬間です。
それといつも申し上げておりますが、個人技量の高さ、脱帽です!
川越奏和とは対象的に今年のリベルテは圧倒的!
「何も言うことなし」「生演奏聴けるだけで幸せ」そう、思わせるパフォーマンスでした!
ああ、これで、ますます金沢に行きたくなりました!
【金賞・県代表】
16.飯能ヴィヴァーチェウインドオーケストラ (指揮)三浦 広嵩
[課]Ⅰ[自]マードックからの最後の手紙(樽屋 雅徳)
リベルテの興奮冷めやらぬまま、次の団体です。
課題曲の演奏からです。
人数は35名と少ないようですが、明るいサウンドですね。
私の好みです。
音質が幸いしてか、私には実に軽やかに聴こえました。
ただ、演奏人数の点で、重厚さや安定性には問題が出てくるのは、仕方がないでしょうか?
自由曲も定番の「マードック―」。
うまく、説明ができないのですが、好感の持てる演奏でした。
音質が好きだから、そう思うのでしょうか?
基本的な部分では、しっかりしている団体だと思いました。
原点に立ちもどって、一層の奮起に期待します。
【銅賞】
17.与野吹奏楽団 (指揮)森田 新一郎
[課]Ⅰ[自]3つの交響的素描「海」より Ⅲ.風と海との対話(C.ドビュッシー/森田 新一郎 編曲)
課題曲は、明るく、さわやかで模範演奏のような感じがしました。
この日の課題曲Ⅰでイチバン優れていると思ったのは、ソールリジェールでしたが、例えば中高生の皆さんが目指す演奏は、与野の方が良いかも知れないです。
自由曲は、一時代前に流行った懐かしい曲ですね。
表現力もあり、音色も揃っていて、正統派の演奏でした。
音の広がりも感じ、空間を上手に使っていて素晴らしかった。
ダイナミクスも有効的に操作されていました。
少しだけ、言わせて頂けるならば、ほんのわずかに迫力に押される瞬間があったのが残念でした。
西関東、期待しています。
【金賞・県代表】
18.越谷市音楽団 (指揮)佐々木 幹尚
[課]Ⅳ[自]復興(保科 洋)
あまり人気のない課題曲Ⅳです。(失礼!)
越谷市音楽団。
最近、コンクールでは安定した成績を残している実力団体です。
その期待を裏切らないマーチでした。
さすがにソツのない演奏をします。
自由曲は、この日、2団体目の「復興」です。
出だしのクラリネットのユニゾンは、もう少し、デリケートに演奏した方が良かったかなぁ。(十分、素晴らしかったのですが…。)
でも、そのあとは申し分なかった!
特に金管楽器のサウンドは、温かみがあって感動もの。
全体的に実に完成度の高い演奏だと思いました!
蛇足ながら、リベルテ、奏和の次に印象に残った自由曲でした…。
【金賞・県代表】
全団体、聴き終えて、結果を聞いて思う事。
やっぱり、川越奏和の県大会敗退は信じられない。
個人的に納得できない結果です。
でも、反面、興味がわいてくる思いもありました。
それは、リベルテの圧倒的優位は揺るがないとして、川越奏和のいない今年の西関東支部。
いったい、あと代表の一枠、どこにチャンスがあるのだろうという事です。
考えただけで、ゾクゾクしますねぇ。
でも、残念ながら、西関東大会には行きません。(東関東には行きます。)
甲府は遠いし、その日はサントリーホールで行われる埼玉栄のコンサートに行く予定ですから…。
なお、このブログに載せられている文言は、“浦和河童”の個人的感想です。
決して、悪意を持って書かれているものではありません。
ただ、もし、ご不快に思われる方がいらっしゃいましたら、オヤジの戯れ事と思い、ご容赦頂ければ幸いです。
良く聴いていらっしゃいます。
ご指摘の通りで参考になります。
参加者なので、全部は聴けませんでした。聴けた団体は、ほぼ同じ感想を持ちました。私どもも来年に向けてがんばります^_^
気を悪くされなかったかと心配ですが…。
これからも、このブログを読んで頂ければ幸いです。
どちらの団体の方かわかりませんが、埼玉県吹奏楽界発展のために頑張って頂ければと思います。
どうしても審査員が管関係者が中心ですと音楽の感じ方も一律的になりがちです。
吹奏楽も音楽のジャンルとしてより認めて貰えるには弦、ピアノ、歌等の方に聴いてもらえたら別の結果や音楽の捉え方が変化すると思います。
なお、秋田県が全盛期には審査員も指導者も管の専門家は少なくて先入観なく音楽を大切にしてたようです。
吹奏楽界にだけ通じる演奏はつまらないでしょう。
この問題は難しいですよね。
特に近年のように技術力が目覚しい向上をとげると審査員の恣意性が大きな力を持つ…。
そんな気がします。