ムカデネックレス | 義母と僕とリハビリ介護日記

義母と僕とリハビリ介護日記

脳出血の後遺症で要介護4、一級障害者になった一人暮らしの義理の母マミー、娘夫婦と同居して厳しいリハビリを続けるか? 
それとものんびり施設入所をするのか?選んだ答えは「厳しいリハビリお願いします!」その日から涙を流してリハビリを頑張る
義母と僕の成長日記です。

2011年11月に脳出血で倒れた義母マミーと同居をするまでの僕の
趣味はアクティブなものばかりだった。ロードバイクやマラソンや水泳だ。

しかしマミーと同居してからは僕がマミーのトイレ係りになってしまっ
たので、このような外で活動するような趣味は出来なくなってしまった。
だから現在の趣味はもっぱら家の中でできるものばかりになった。

今一番はまっているのが昨年末からやりだした折り紙だ。
最初のころは動物ばかり作っていたのだが、現在はバラの花に凝っている。

しかしバラの花もそろそろマスターしつつある僕は次なる課題を見つ
けた。それは「折り紙アクセサリーだ。」

1本

これは折り紙で作ったネックレス。どうですか、綺麗でしょ?
これを作ったら、きっと妻のかっちんも大喜びするぞっと思った僕は
心をこめて作るのだった。まずは手始めに広告で作ってみる。

これはひとつひとつのパーツを折り紙で作って連結していくのだが、
いくつか連結していくとそれらしくなってきた。嬉しくなって僕はかっ
ちんに見せてあげた。

「かっちん、かっちん! ほら見て!」

するとかっちんは言った。

「なんやソレ、気色悪いな~ムカデか?」

「違うよ、違うよ! ネックレスだよ!」


 2百足

「何、コレが? こんなもんはどう見てもムカデやないか!ライターどこや?」

「ライターで何するんだよ。」

「こんなもんはライターで焼いた方がええ。」

昔々のその昔、かっちんの父ちゃんがまだ生きていた頃に家の中で
ムカデが出ると父ちゃんがティッシュペーパーでヒョイっとムカデを掴
んで、それを自室に持ち帰り、クニャクニャと必死で逃げようとする
ムカデを見ながら頭から少しづつライターの火であぶるという、なんと
も残酷な行為をやっていた。

「父ちゃん止めろや~!」

必死で止めるかっちんを尻目に父ちゃんは

「なんとも香ばしい香り~」

と言いながら、クニャクニャと熱さで暴れるムカデを虐めて殺すのが
父ちゃんの楽しみだった。かっちんはその光景をゾッとする思いで見
てきたので、今だにムカデというと当時を思い出してゾッとするという。


そして一昨日の火曜日、昼の2時に訪問リハビリの女先生がやってき
た。あいかわらずリハビリをサボろうと頑張るマミーをあの手この手で
励ます根気強い女先生だ。

その時にこたつテーブルの上に目を止めた女先生が言いました。

「なんか、テーブルの上にまた新作っぽいものがのってますね。」

女先生は僕の折り紙作品が増えることを唯一楽しみにしてくれている
人だ。毎回、毎回訪問リハビリでやってくる度に少しずつ僕の作品が
増えていることに目を止めてくれるという貴重な女先生。

「ああ、コレ? ムカデやでムカデ。」

「ムカデ?」

「ほら見てみ。」

そう言って、僕のムカデ、いや、ネックレスをクニャクニャと持ち上げ
て見せたかっちん。

「うわ~、うわ~、何その動き方。ホンマにムカデそっくりですね!」

「そうやろ? ひっくり返してもムカデやねん。」

 
3百足裏

「うわ~、節足動物って感じ出てますよね~!」

「でも本人は(僕のこと)これをネックレスとか言ってるわ。」

「ネックレス!!」

大笑いする女先生とかっちん。僕はこの様子を仕事部屋でこっそりと
聞き耳立てながら激しく動揺していた。いつもは僕の作品を褒めて
くれるはずの女先生なのに・・・。

しかしめげずに女先生が帰った後も、どんどんパーツを作って連結
させていく僕。そろそろ長さ30センチは超えたので、輪っかにして
ネックレスにしてみようかなと触っていると、それを見てかっちんが言いました。

「うわわわー。マジでキモイ、ムカデの王様やな!」

あまりのかっちんの態度に僕は冷ややかな目つきでネックレスを
クニャクニャと触る。

「うわわわわわー。止めろや! ムカデ持ってるその目、その顔つき
父ちゃんそっくりやないか!」

「・・・」

「ホンマ、止めて! 止めて! マジで吐きそうや!」

今だかつて、こんなにかっちんを恐れさせたことがあっただろうか?
そんなことを思いながら、僕はクニャクニャとしつこくネックレスを触る。

「もう、ホンマに止めてーーー!!」

ふふふ、どうやら本気で怖がっているようだな。そろそろ勘弁して
やろうかなどと考えていると、突然かっちんにネックレスを奪われた。

「こんなもん、ライターで焼かんなあかんねん。おい、早くライター
持って来い!!」

「やだ、やだ、やだ!! 返して、返してよ~!!」

「あかん! こんなもんはこうしてやる!!」

そう言って、僕のネックレスをひねりにひねるかっちん。

「あっ! 止めて~止めてよ~!」

さっきとは形勢逆転してしまったかっちんと僕。しかし、かっちんは本気
で僕のネックレスがイヤなのか、その後「おらよ」っと言って僕にネック
レスを投げつけた。

その後、これ以上かっちんを怒らせると本当にマズイと思った僕は
静かに作業をすすめて、無事にネックレスが出来上がった。

「かっちん、ほら見て。出来たよ。」

無言のかっちん。その後出来上がったネックレスを僕の顔の上に乗せ
てみたり、頭の上に乗せてみたり、なんとかかっちんにカマってもらお
うとするも全く無視され続けた僕。

僕が珍しく我をはったばかりに、たった一人の僕の友だったかっちんの
心が僕から遠く離れていってしまった。

僕は一体どうしたらいいのだろうか。かっちんが僕とお話してくれないと
残りはあのマミーだけになってしまう・・・。

考えに考えた末に僕はネックレスでこんな物を作ってみた。


「かっちん、ほら!」

 4ハート


これを見たかっちんが、


「あんたはホンマにアホやな~。」



そう言いながら、やっと笑ってくれた。


かっちんはやっぱり、怒った顔よりも笑った顔の方が可愛いよ♪



これはかっちんの大好きなキャンディキャンディという少女漫画の
ウイリアム・アルバート・アードレー氏(丘の上の王子様)のセリフを
引用してみました。

本当は


「泣いている顔よりも笑った顔の方が可愛いよ♪」ですけどね。笑




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