入院生活だったが１０キロ近くも痩せてしまって肌もフケのような
カサカサボロボロの状態で我家に帰ってきたマミー。
しかし現在はフケのようなカサカサボロボロの肌もだんだん綺麗に
なってきたマミーだった。それを見て娘のかっちんが言った。
「あっ、さよちゃんのフケまみれやった足がつるつるになってる!」
「よかったです、みなさんのおかげです、はい。」
喜ぶ親子二人だった。
先週の５月２３日の土曜日の夕方、その日追加通所していたデイ
ケアから帰ってきたマミーは夕食のくるみパンを食べていた。
いつもならばパクパクと食べるはずのくるみパンだが、その日は退院
してきてからまだ日が浅い上に、前日の金曜日と土曜日の２日間連続
でデイケアに行ったのが疲れたのか食事があまり進まない様子のマミーだった。
するとマミーはずっとこんな事を言うのだ。
「はい、もう食べましたよ。」
その言葉を聞くと、床で座ってマミーがくるみパンを食べ終わるのを
待っていたかっちんが立ち上がってマミーのところへ行く。
するとくるみパンはたった一口しかかじられていないのだった。
「まだ一口かじっただけやろ? そんなんでもう食べたって言わんとってや!」
そう言って床に座りなおすかっちん。すると数分後またマミーはこう言った。
「はい、もう終わりましたよ。」
今度は本当に食べ終わったかと思ったかっちんがマミーのところへ
行くと、またしてもまだ２口、３口しかかじられていないくるみパンを握っているマミー。
「まだくるみパン残ってるやろ? そんなんでもう終わったって言わんとってや!」
そう言ってまた床に座るかっちん。その後も何度も何度もマミーは
「はい、もう食べました。」
「はい、もう終わりました。」
と言ってかっちんを呼ぶのだった。それが７．８回続いた頃、ついに
かっちんが切れた。
「おい、ブスヨン、ええ加減にせえよ!! 全然食べ終わってもないのに何
で何回も何回も食べ終わったって言うねん!! その度に私は痛い体で
ブスヨンのところまで行かんなあかんねんぞ? おい、ホンマええ加減
にせーへんかったら、その顔腫れあがるまで打つぞ? ええんか!!」
するとマミーも切れた。
「わてが食べ終わってないのに食べたっていうのはいつもの事です!!
そんなの信じるんじゃないよ!!」
「はあ? 何言うてんねん!! よくもそんな事が言えるなぁ?」
「だってそうです!! わてが食べ終わっても無いのにもう食べたっていう
のはわての口癖だって事くらい、かっこちゃんは知ってるハズですよ!!」
「・・・」
確かにそうだった。マミーは食事の途中でなぜか「はい、食べました。」
「はい、終わりました。」と言いながら食べるのが癖なのだ。
何故、こんな事を言いながら食べるのかは不明なのだが、本当によく
こんな事を言う。
大好きなトンカツやサンマやマンゴープリンを食べている時は絶対言
わないところを見ると、おそらく大して食べたくない物を食べる位なら
早いところベッドで横になりたいという事なのだろう。
そんなわけで普段はこんな事をマミーが言っても無視するようにして
いるし、デイケアの職員の方にも伝えてあるのだった。
「母は、もう食べましたって言ってもまだ食べるので、それを信じて
食器を下げないであげて下さいね。」
それなのに、今回はかっちんがその事を失念していた。
理由は、しばらく入院していたマミーが退院して帰ってきたからマミー
の言う言葉にすごく敏感になっていたのだろう。
そんなわけで、マミーの偉そうな言葉にぐうの音も出ないかっちんが
しみじみ言った。
「そうやったな・・・。さよちゃんはそれが口癖やのに、その度に信じて
行った私があかんかったな・・・。」
「そうです。信じたらダメですよ、はい。」
奇妙な話は終わった。
翌日、またまたマミーはくるみパンを食べながらかっちんにこう言った。
「はい、もう食べましたよ。」
その言葉を聞いて、かっちんは床に座ったままこう言った。
「はいはい、嘘こいたらあかんで? ちゃんと食べや。」
するとマミーは切れた。
「誰が嘘こいてんねん!! 全部食べたわ!!」
見ると、本当にくるみパンは無くなっていた。
かっちんは言った。
「だって昨日さよちゃんが言うてたやんか!! 食べ終わってないのに
食べたっていうのを信じるんじゃないよって!!」
それを聞いてニヤリと笑うマミー。
かっちん、マミーにしてやられたな。笑
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