サウナと水風呂の往復を繰り返した。
5回目には頭は朦朧として、思わず浴場中央にある竹で作られた長椅子に座り込んだ。
虚ろな目で、出入り口を眺める。
休日ということもあって、人がひっきりなしに出入りしている。
ぼんやりとその様子を眺めていると、人の素っ裸がとても面白く思えていた。
カリカリのマッチ棒が半分くらいいて、ゴリゴリのキン消し人形もいて、魔人ブウもいた。
5分ほど眺めていると、途中から全部チンパンジーに見えてきた。
外では高級スーツを纏った重役なのか。
ラフな格好の親父なのか。
くたびれたネルシャツ着たニートなのか。
七三分けしたビジネスマンなのか。
とにもかくにもその時は全部チンパンジー。
全部が素っ裸のチンパンジー。
限界が来たので、その出入り口から出て行って、冷水機で水をたらふく飲んだ。
息を吹き返し顔をあげると、鏡に映ったのは真っ赤な顔したニホンザルだった。
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