先日、トラブルのためにある仕事が立ちゆかなくなった。自分の力では解決しえないことが明らかだった。頭が痛くなった。苦しかった。
そのときふと思った。「俺にはこんなに苦しむいわれがあるだろうか」
それですっと力がぬけた。頭が軽くなった。
俺は努力を重ねてきたし、準備も怠らなかった。それにもかかわらず、予期せぬトラブルのために仕事が頓挫したのだとすれば、それは俺の落ち度だろうか?
いや、そう言っただけではまだ足りない。たとえ俺に落ち度があったとしても、あるいは、たとえ俺が救いようのないまぬけであったとしても、その報いとして、この苦しみは引き合わない。
いや、そう言ったのでもまだ不十分だ。たとえ俺の不注意によって地球が滅亡の危機に瀕したとしても、そのことは俺を苦しませる理由にならない。
俺がなしえたことと、なしえなかったことの一切にかかわらず、俺には苦しまない権利がある。
俺が苦しむかどうかを決められる者、それは俺自身以外には存在しない。
だから、俺は苦しむ必要はないと決めたのだ。苦しみを終わらせるにはそれで十分だった。