野散 NOSAN 散種 野の鍵 贈与のカオスモス ラジオ・ヴォルテール

野散 のさん  野を開く鍵 贈与のカオスモス 散種 混沌ー宇宙 想像的・歴史的なもののジャンルなき収蔵庫をめざして 

『日本史講座』全10巻 東京大学出版会  『古代史講座』 全13巻 学生社

2015年08月31日 | 講座 古代史文献

       ▲『日本史講座』 第1巻 東京大学「出版会 2004年 定価2200円+税

 

現在刊行中の『岩波講座 日本歴史』 が2015年末に完結するので、それに合わせ、戦後の歴史講座に歴史認識の変化はあるのかどうか興趣をそそられているところ。

昨日8月30日、朝日新聞の日曜版の読書コーナーに、フランソワ・フュレの『歴史の仕事場(アトリエ)』藤原書店の書評を本間和人が書いていた。

この本でアナール学派第3代世代フランソワ・フュレの歴史研究の作業を3つに分類しているのを紹介している。

1 手稿史料を刊行する  凡庸な歴史学

2 史料を時間軸上に並べて物語りを作り、歴史像を復元する → 復元の歴史学

3 暦史学者が自らの解釈にしたがって各々の史料を選び出し、歴史像を構築する → 現代の歴史学

自らの「歴史認識」について、覚醒しながら、これまでの研究成果の歴史理解をどう認識するのか。

歴史と歴史解釈のテクストが入り乱れて、さながら万華鏡のような世界が見えてくるのか、それとも・・

 

日本史講座 第1巻 東京大学出版会

内容紹介
旧石器時代から律令国家成立に至る過程を,考古学の成果や出土文字史料などを活用し,列島社会の多元性や大陸との関係に着目しつつ描き出す.

主要目次
1 日本列島の旧石器時代(松藤和人)
2 日本列島の新石器時代(今村啓爾)
3 農耕社会の成立(森岡秀人)
4 ヤマト王権の成立(仁藤敦史)
5 ヤマト王権の列島支配(舘野和己)
6 古墳文化論(和田晴吾)
7 律令体制の形成(吉川真司)
8 弥生・古墳時代の集落と地域社会(広瀬和雄)
9 蝦夷と隼人・南島の社会(田中 聡)
10 古代の文化と思想(吉村武彦)

 

 
日本史講座2 律令国家の展開

内容紹介
律令を軸として,「日本」という自己認識を伴いながら形作られていった古代国家の政治・経済の動きから庶民の生活や文化までを,「奈良」「平安」の枠をこえた広い視野で概観する. 

主要目次
1 律令国家の法と社会(坂上康俊)
2 王家と貴族(鷺森浩幸)
3 古代宮都の成立と展開(浅野 充)
4 地域社会と国郡制(山口英男)
5 生産・流通と古代の社会編成(櫛木謙周)
6 古代国家の政務と儀式(西本昌弘)
7 奈良・平安時代の宗教と文化(本郷真紹)
8 東アジア世界と日本律令国家(大町 健)
9 古代社会の男女と老童(服藤早苗)
10 古代史料の特質(加藤友康)

 

日本史講座3 中世の形成

内容紹介
古代から中世へと移行する社会を,東アジア世界の変貌のなかに位置づけ,「変化」と「連続性」の双方を意識しつつ,中世的秩序がいかに形作られ,その特質とは何か追究する.

主要目次
1 10世紀の転換と王朝国家(木村茂光)
2 貴族政権と地方支配(寺内 浩)
3 院政の成立と王権(遠藤基郎)
4 荘園制と都鄙交通(佐藤泰弘)
5 東アジアの武人政権(?_蕎嗣澄
6 中世前期の政治秩序(近藤成一)
7 院政期文化の特質(阿部泰郎)
8 中世国家と寺社(上島 享)
9 イエの成立と親族集団(飯沼賢司)
10 ケガレ観と中世社会(山本幸司)

 

日本史講座4 中世社会の構造
歴史学研究会 編, 日本史研究会 編

内容紹介
中世に生きた人びとが常に向きあっていた世界とはどのようなものだったのだろうか.本巻では,人びとの内面を支える規範・秩序と,人びとが活動した空間をとりまく環境や景観の両面に着目し,中世という時代の具体相を浮き彫りにする.

主要目次
1 「元寇」,倭寇,日本国王(海津一朗)
2 室町時代の政治秩序(山家浩樹)
3 中世日本の北と南(柳原敏昭)
4 中世都市と交通体系(藤原良章)
5 中世村落の構造と景観(水野章二)
6 神仏と中世文化(平 雅行)
7 女性・家庭・生活(細川涼一)
8 中世法と在地社会(酒井紀美)
9 寄合の文化(榎原雅治)
10 中世の自然と人間(矢田俊文)
11 中世史料論(服部英雄)

 

日本史講座5 近世の形成
歴史学研究会 編, 日本史研究会 編

内容紹介
東アジア世界における大きな変動のなかで日本の中世から近世への転換をとらえる.そして,近世的秩序形成の過程を,宗教勢力をもふくめた権力のあり方,新たな土地把握や身分制,村と町の動向,生産・技術の革新などの解明を通して描きだす.

主要目次
1 戦国期の地域権力(池  享)
2 「東アジア」と近世日本(村井章介)
3 統一政権の登場と江戸幕府の成立(山本博文)
4 検地と石高制(池上裕子)
5 兵農分離と身分(吉田ゆり子)
6 村の世界(渡辺尚志)
7 近世都市の成立(仁木 宏)
8 16・17世紀の生産・技術革命(藤井讓治)
9 戦争と城(藤田達生)
10 宗教勢力の運動方向(河内将芳)

 

日本史講座6 近世社会論
歴史学研究会 編, 日本史研究会 編

内容紹介
人びとの生活・生産の営みをはじめ,物の流通やさまざまな権力のあり方,外交,身分,性差,自然環境など,近世社会を構成した諸要素の分析をとおして,日本近世という時代を立体的にとらえる

 主要目次
1 小経営・家・共同体(大藤 修)
2 地域と労働社会(森下 徹)
3 近世諸権力の位相(村田路人)
4 幕府行政論(藤田 覚)
5 大君の外交(池内 敏)
6 近世の自然と社会(水本邦彦)
7 身分的周縁論(塚田 孝)
8 朝廷と公家社会(山口和夫)
9 近世社会と性差(薮田 貫)
10 近世の学芸(横田冬彦)

 

日本史講座7 近世の解体
歴史学研究会 編, 日本史研究会 編

内容紹介
近世から近代への展開を,その連続性と断絶の両面から分析.政治・外交の動きや経済構造の変容,さらに都市やそれぞれの地域社会,人びとの意識の変化など,さまざまな角度から近代への移行とはどのようなものであったか検討する.

主要目次
1 18-19世紀転換期の日本と世界(横山伊徳)
2 伝統都市の終焉(吉田伸之)
3 地域社会の成立と展開(奥村 弘)
4 近世的物流構造の解体(斎藤善之)
5 明治維新と近世身分制の解体(横山百合子)
6 移行期の民衆運動(久留島浩)
7 文化の大衆化(神田由築)
8 産業の伝統と革新(谷本雅之)
9 琉球・蝦夷地の「近代」(岩?各狃鏤辧
10 明治維新論(羽賀祥二)

 

日本史講座8 近代の成立
歴史学研究会 編, 日本史研究会 編
ISBN978-4-13-025108-2, 発売日:2005年01月下旬

内容紹介
近代国家が編成されてゆく過程を,政治・経済の制度や装置ばかりでなく,都市と農村,思想と運動,人びとの生活意識の変化にもふみこみ,「近代とは何か」を多角的に考察す

主要目次
1 天皇主権の確立(小路田泰直)
2 宗教と市民の誕生(山口輝臣)
3 近代国家の成立――軍隊・学校・衛生(尾?街婿福
4 帝国体制と主権国家(小林啓治)
5 土地所有秩序の変革と「近代法」(水林 彪)
6 産業構造と金融構造(武田晴人)
7 都市化と都市問題の成立(布川 弘)
8 立憲制と専制(小関素明)
9 近代知の成立と制度化(広田照幸)
10 民権運動と社会主義(小松 裕)
11 農村問題と社会認識(大門正克)

 

日本史講座9 近代の転換
歴史学研究会 編, 日本史研究会 編
ISBN978-4-13-025109-9, 発売日:2005年04月中旬, 判型:四六, 344頁

内容紹介
国境の外へと踏みだした日本が総力戦を遂行する体制の形成と崩壊をたどる過程を東アジア・世界史とのかかわりを重視しつつ,軍事・外交・政治・国民意識から多角的に位置づける.

主要目次
1 植民地領有と憲法体制(鈴木正幸)
2 大衆ナショナリズムとデモクラシー(住友陽文)
3 戦間期知識人の帝国改造論(米谷匡史)
4 階級と解放(安田 浩)
5 国際連盟・ワシントン体制下の中国と日本(西村成雄)
6 恐慌の構造(伊藤正直)
7 「立憲制」の帰結とファシズム(増田知子)
8 経済総動員体制の経済構造(山崎志郎)
9 戦争と国民意識(松村寛之)
10 大陸政策と日米開戦(森 茂樹)
11 第二次世界大戦における日本の軍事的位置(山田 朗)

 

日本史講座10 戦後日本論
歴史学研究会 編, 日本史研究会 編
ISBN978-4-13-025110-5, 発売日:2005年07月中旬, 判型:四六, 376頁

内容紹介
“戦後”日本を特徴づける要素を析出し,高度成長の形成およびその後の大衆消費社会の成立,情報化社会の到来に至る現代社会の変化をトータルに描き出す.

主要目次
1 戦後国民統合の変容と象徴天皇制(渡辺 治)
2 東京裁判と戦争責任(赤澤史朗)
3 東アジア冷戦構造のなかの日本(進藤榮一)
4 戦後改革と戦後市民社会(三宅明正)
5 〈占領〉の精神史――「新米」と「反米」のあいだ(安田常雄)
6 世界のなかの戦後日本家族(落合恵美子)
7 現代資本主義と高度成長(浅井良夫)
8 農村と地域の変貌(加瀬和俊)
9 55年体制と社会運動(Andrew Gordon)
10 沖縄戦「後」ということ(冨山一郎)
11 情報化と社会的結合――青少年サブカルチャーの「自律的」回路形成(中西新太郎)

 

 

 

学生社 『古代史講座』 全13巻 1961ー

1 古代史学序説

序説(西嶋定生)
歴史意識の成立(藤縄謙三,山田統) 古代史学の発展(秀村欣二,上原淳道,内藤晃) 古代史学の問題点(西嶋定生)  ミケーネ文字の解読(太田秀通)  甲骨文の解読(白川静)  エジプト古文字の解読(杉勇)  

 

2 原始社会の解体

3 古代文明の形成

4 古代国家の構造 上  デスポティズムと古代民主制 

5 古代国家の構造 下 財政と軍事組織 

6 古代社会の構造 上  古代家族と村落機構 

石母田 正 ・ 泉 靖一 ・井上 光貞 著 ・ 太田 秀通 ・西嶋 定生 著・ 秀村 欣二 ・ 三笠宮 崇仁 ・ 三上 次男 ・和島 誠一  

7 古代社会の構造 下   古代における身分と階級 

序説(井上光貞),身分と階級,オリエントの奴隷制度(中島健一),アテナイの市民とメトイコイ(馬場恵二),属州クリエンテーラと補助軍(〔2〕)(吉村忠典),古代インドにおける身分と階級(高崎直道),中国古代奴婢制の再考察(西嶋定生),骨品制社会(三品彰英),古代日本の身分と階級(関晃),古代の身分秩序(石母田正),アフリカにおける身分と階級(山口昌男) 
 

8 古代の土地制度

9 古代の商業と工業

10 世界帝国の諸問題

11 古代における政治と民衆

12 古代思想と芸術

13 古代における交易と文化交流

 

 

残念ながら、出版後50年を経過しているせいか、学生社のホームページをみても巻別の著者・内容詳細がわからない。国会図書館の図書データベースも、詳細は不明のものが多い。学生社の 『古代史講座』 全13巻は今年から来年にかけ手をつけてみたい。各巻10本ほどの論文構成で、1970年代から80年代までの古代史の本や論文ではよく参考文献にあがっていた。執筆者の顔ぶれをみても今から考えると古代史の巨匠が揃っている。学生時代、大学図書館にはあったのだが、関心は現代思想にばかり目がいっていて、心残りだったのだが、ついに借り出さないまま終わってしまった講座だ。来年は、西欧古代史にも挑戦しようと思っているので、このシリーズは何とか探してみよう。

 

 つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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