まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
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アズミ・ハルコは行方不明 山内マリ子著

2017-06-03 23:42:27 | 読んだ本

蒼井優主演で映画化された作品。木内愛菜と同級生だったユキオ、学を主人公とした第一部、本のタイトルにもなっている安曇春子が主人公の第二部、そして愛菜と春子の2人が交錯する第三部という構成。

地元の高校を卒業後、キャバ嬢のバイトをしばらくやっていた木内愛菜は、成人式に来ていたユキオと卒業以来で再会し、なんとなく付き合うことに。名古屋の大学の建築学科に進んだユキオは、大学生活に馴染むことができず地元に戻ってきた。専門学校を卒業して地元のショッピングセンターでバイトをしていた学は2人に再会し、ユキオと学はつるむようになる。

バンクシーのドキュメンタリー『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』に強い衝撃を受けたユキオと学は、ステンシルアートをやりたいと深夜に高速の橋脚や閉店した店の外壁にスプレーで落書きをしていく。そしてたまたま見つけたアズミ・ハルコ捜索願を題材にしたステンシルを拡散し、ネットでちょっとした噂になる。

幼馴染の結婚式でどことなく所在なさげだった安曇春子、バイトを辞めて無職だったが近所のドラッグストアで幼馴染の曽我氏と会い、社員4人の小さな会社に就職もしてなんとなく過ごしている。少女ギャング団に襲われた曽我氏をたまたま見かけ、介抱してセックスし、なんとなく付き合いだして、会社の先輩吉澤さんはアフリカ系フランス人と国際結婚して寿退社。代わりの人の採用面接で社長と専務の相変わらずのセクハラ発言に、曽我氏が既婚者と浮気しているとの情報も入り、春子はふらっといなくなる。

よくある町おこしイベントのひとつ、アートフェスが開催されることになり、目玉企画のひとつとしてアズミ・ハルコのステンシルを作ったキルロイことユキオと学が呼ばれる。そのことを全然知らなかった愛菜は、閑散としたアートフェス会場に乗り込み春子と今井さんと再会する。。。

地方都市の狭さというか、閉塞感がじんじんと伝わってきます。幼馴染や同級生とやたらに出くわし、買い物する店も遊ぶ場所も一緒、一瞬名古屋という大都会に出ても肩を落として帰ってくる。未だに前時代的な女性観を普通に持っている中小企業の経営者や、無難なことしかしないお役所の人間など、周りの人間も行き詰まっている感じ。そうした閉塞感を打ち破るのが少女ギャング団なのかもしれないけれど、いまいち出てくる必然性が分からなかったなあ。

ラストで愛菜と春子、今井さん、その娘が一緒に住むことにするのは、少女ギャング団と同じく閉塞感をぶち破るための女性からの抵抗の形なのかもしれません。ユキオや学、曽我氏は、こうした閉塞感と妥協したり、取り込まれたりしながら、漫然と生きていくのだろうなあ。
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