遊爺雑記帳

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中国 全人代開幕 秋の党大会に向け習近平の権力強化

2017-03-06 23:58:58 | 中国 全般
 中国の第12期全国人民代表大会(全人代)第5回会議が 5日、北京の人民大会堂で開幕しました。
 秋の党大会での、チャイナセブンの改選に向け、内容が注目されますが、習近平への権力集中強化が際立つものとなっている様子ですね。
 

中国 成長目標6.5%前後 全人代開幕 米新政権けん制 (3/6 読売朝刊 一面)

 【北京=鎌田秀男、蒔田一彦】中国の第12期全国人民代表大会(全人代=国会)第5回会議が5日午前、北京の人民大会堂で開幕した。
 李克強(リークォーチャン)首相は施政方針演説に当たる政府活動報告で、2017年の国内総生産(GDP)の成長率目標を「6・5%前後」に設定すると発表。16年の「6・5~7%」からさらに引き下げられることとなり、経済成長の鈍化を一定程度容認し、国内の安定を重視する習近平シージンピン政権の方針が改めて強調された。
 今年は後半に中国共産党の第19回大会が開かれ、習政権が2期目に入る節目
となる。社会不安につながりかねない経済の腰折れを避ける必要があり、李氏は報告で「安定を保ちつつ前進を求める」との方針を強調した。
 歳入の不足を補う
政府の借金(財政赤字)のGDP比率を16年から据え置いて3%とし、その増加を昨年比2000億元にとどめた。企業の税負担や料金徴収の軽減などに回すほか、鉄道や道路建設などのインフラ(社会基盤)投資にも前年並みの金額を充てるとし、財政出動を継続
する姿勢を示した。
 また、「米国第一」を掲げ、貿易摩擦の深刻化など中国経済の不安要因となっている米トランプ政権を念頭に「『脱グローバリズム』や保護主義の傾向が強まり、不安定要素が明らかに増している」とけん制した。
 国内外から要求が強まっている
構造改革を断行する姿勢も強調
した。具体的には、日米欧などが問題視する鉄鋼の過剰生産能力の5000万トン分の削減や、都市部での価格高騰や地方での売れ残りが深刻な不動産市場対策などを挙げた。

 報告は、習国家主席が昨年、党内で別格の指導者である「核心」に位置付けられたことを踏まえ、
党大会に向けて「習同志を核心とする党中央の指導の下」で結束するよう呼び掛けた


 一方、全人代に提案される予算案報告は例年、
国防予算(軍事予算)など項目別の支出額を政府が公表する手段となってきたが、今年は、報道機関に配布された報告に支出額の記載が見送られた。見送った理由は不明で、中国財政省は5日午後、本紙の問い合わせに対し、17年の軍事予算は前年比7・0%増の1兆443億元(約17兆2300億円)となると回答した。
 中国の軍事費が1兆元を超えるのは初めて。日本の17年度予算案の防衛予算(5兆1251億円)やロシアの17年度軍事費の3倍以上の規模となる。李氏は報告で、軍事力の強化や「海洋強国」の建設を引き続き推進すると強調
した。

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政府活動報告のポイント
 ▽今年のGDP成長率目標は6・5%前後
 ▽鉄鋼の過剰生産能力削減など、構造改革を断行
 ▽習近平総書記は中国共産党の核心。今年の第19回党大会を成功させる
 ▽軍事力を強化し、海洋強国の建設を推進
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政府活動報告 習氏への忠誠 要求 (3/6 読売朝刊 [獅子の計略 17全人代])

 【北京=竹腰雅彦】5日開幕した中国の全国人民代表大会(全人代=国会)の政府活動報告で、李克強(リークォーチャン)首相は計6回、習近平(シージンピン)国家主席(共産党総書記)を歴代指導者で別格の地位・存在であることを示す「核心」と呼んだ。習氏は2期目政権を発足させる党大会が開かれる今年、政治的にも安定を目指しており、報告は、党・政府の幹部らに繰り返し忠誠を要求
した。

党大会へ「核心」強調
 約1時間40分の報告中、他の指導部メンバーが李氏の朗読に沿って文書に目を走らせる中、
習氏だけは手元の資料を広げることなく、前を見据えて聞き続けた


 
「我々は習同志を『核心』とする党中央の周りに一層緊密に団結せねばならない」


 昨年10月に習氏が「核心」に位置づけられてから、初めての政府活動報告。李氏は、党中央の権威の「断固とした擁護」と「思想、政治、行動上の高度の一致」を求めた。
出方が読みづらいトランプ米政権への対応や中国経済の減速など内憂外患の中、党大会に向けた内部の政治的一致が、習氏にとっての絶対的要求だ。

 活動報告は「反腐敗闘争の圧倒的な勢い」「中国の特色ある大国外交の著しい成果」「党中央の正しい指導」など習氏の政治路線を肯定する言葉が並んだ。一方、公務員の「監督・査察・問責を強化し、無能・怠慢・消極的な仕事ぶりを厳しく正す」とも指摘。
習路線への「無言の抵抗」とされる公務員のサボタージュを許さない姿勢も強調
した。

 報告はまた、党規約が「行動指針」に掲げるトウ小平理論、「三つの代表」、「科学的発展観」とともに列挙する文脈で、習氏の「国政運営の新理念・新思想・新戦略」の貫徹、習氏が提唱する重要スローガン
「四つの全面」の推進を強調した。習氏の権威強化を巡っては、今年の党大会で党規約を改正し、こうした習氏の政治スローガンなどが盛り込まれるとの見方も出ている。
 中国指導者にとって、党の最高規則である党規約に自身の指導理念を組み込むことは、絶対的権威の確立を意味する
。江沢民ジアンズォーミン・元総書記の「三つの代表」は2002年、胡錦濤フージンタオ・前総書記の「科学的発展観」は12年のいずれも退任時の党大会で「行動指針」になった。胡氏の理念は、07年の党大会で「重要指導方針」「重大な戦略思想」として党規約に盛り込まれた。
 ただ、
1期目にして「核心」となった習氏には、党長老らからの反感も強い
とされる。「あまりに権威確立を進めようとすれば、さらに強い反発を招きかねない」(外交筋)との見方もあり、習氏には党大会に向けた足場固めを慎重に進めざるをえない事情もある。

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  四つの全面
 習氏が14年に提起。〈1〉小康(いくらかゆとりのある)社会の全面的完成〈2〉改革の全面的深化〈3〉全面的な法に基づく国家統治〈4〉全面的な厳しい党内統治――からなる。国家の総合発展戦略である「五位一体」(経済・政治・文化・社会・生態文明の統一的建設)と対で用いられる。
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経済・外交 にじむ危機感 興梠一郎・神田外語大教授(現代中国論)

 
政府活動報告では、習近平国家主席が別格の指導者である「核心」だと何度も繰り返された。(中国共産党・政府に)十分に浸透していない裏返しとも言えるが、今年後半の党大会での人事をにらみ、習氏に忠誠を誓う動きが地方幹部の間でさらに盛んになる
だろう。

 「保護主義」をけん制したのは、トランプ米大統領を意識したものだ。中国はこれまでグローバリズムの中で経済成長を遂げてきたが、トランプ政権の誕生や英国の欧州連合(EU)離脱など習政権が目指す安定的な経済成長と相いれない経済リスクが高まっている。

 習政権にとって、2期目を迎える今年は失政が許されない。だが、
国際情勢や経済状況は就任以来、最も厳しい状況を迎えていると言え、危機感が表れた報告だった。  (聞き手・北京 吉永亜希子)

 習近平が居る中国共産党中央と、李克強の居る国務院は、北京市中心の故宮博物院の西側にある「中南海」と呼ばれる敷地内にあり、共産党中央の建物は中南海の南寄り、国務院は北寄りなので、両者の対立を「南北院戦争」と呼ぶのだそうです。
 秋の党大会での、チャイナセブンの椅子取り争いも終盤に入っているのですが、報じられている李克強首相の発言では、白旗を掲げている様に見えます。
 経済の失速、外交では、南シナ海の「九段線」に対する仲裁裁判所の"否定"や、"G2"の対米持ち掛けへの拒絶など失政がある習近平。汚職撲滅の御旗の下に、政敵を駆逐し、権力集中を進め、鄧小平以来の中国の発展の基盤となった「改革・解放」路線を引き継ぐ李克強と、毛沢東時代の専制体制に戻そうとしている習近平。その路線対立は、汚職粛清の虎退治が狐退治にまでおよび、まるで北朝鮮を彷彿させる、粛清旋風の恐怖政治での権力集中を進めることで、両者の争いは、習近平が優勢にたっている様子ですね。

 しかし、その不満は蓄積され続けている様子。巷でもっぱらの噂だった官僚のサボタージュについて、「監督・査察・問責を強化」と、全人代の報告に盛り込まれるほど。

 南シナ海、東シナ海、更には西太平洋へも、インド洋から地中海へも、力による覇権拡大で「中華の夢」を追い求める習近平。国内も、恐怖政治で抑え込み、集団指導体制を独裁政治体制に戻し、長期政権の環境を構築しようとしている習近平。このまま、独裁化が進められていくのでしょうか。。



 # 冒頭の画像は、5日の全人代での習近平と李克強




  まだ青い稲穂


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写真素材のピクスタ


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