遊爺雑記帳

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2017年は、習近平独裁体制が確立される歴史的な年に

2017-06-22 23:58:58 | 中国 全般
 今年の秋の中国共産党大会でのチャイナセブン改選に注目しています。
 習近平の独裁体制が確立され、鄧小平以来の改革開放路線に終止符がうたれ、「皇帝・習近平の出現」がなされると説くのは、川島博之東大准教授。
 自分のヘゲモニーが確立される習近平にとって、虎退治で功績大であった王岐山は用済みで、むしろ目障りな存在になってくるので、定年を理由に政治局常務委員を退かせる可能性が高いとも。王岐山の定年延長の実績を造り、習近平自身の定年延長実現の布石とする説がありますが、ヘゲモニー確立でそちらも押し切れると踏んでいるのでしょうか。
 

皇帝・習近平の野望とは?中華思想が甦る中国 2017年は、習近平独裁体制が確立される歴史的な年に | JBpress(日本ビジネスプレス) 2017.6.22(木) 川島 博之

 1週間にわたり中国各地を訪問して、多くの人々から話を聞くチャンスに恵まれた。そこで得た感触を一言で言い表せば、「皇帝・習近平の出現」と要約できよう。1978年に鄧小平が始めた改革開放路線の転換
と言ってもよい。
 毛沢東の独裁がもたらした文化大革命の惨禍を目の当たりにした中国は、それ以降、集団指導に移行した。毛沢東の死後、鄧小平はカリスマとして大きな指導力を発揮したが、自らが国家主席や共産党主席に就任することはなかった。彼の子分が党や国家の要職につき権力を分掌した。
 また、改革開放路線を押し進めた。西欧や日本と積極的に交流して技術を導入した。そして、貿易によって国内経済を発展させた。その路線によって、文革が終わった時点では数ある開発途上国の1つに過ぎなかった中国が、「G2」と称して米国と並び称される地位にまで上り詰めることができた。

■いよいよ確立される習近平独裁体制
 
2017年は、改革開放路線に舵を切った1978年と共に歴史に記憶される年になるだろう
。この秋に共産党大会が開かれて、習近平独裁体制が確立されるからである。それは改革開放路線の終焉を意味する。
 
李克強は首相を外れて“上がり”ポストである全国人民代表大会常務委員長に就くとされる。また、中国共産党中央規律検査委員会書記だった王岐山も定年を理由に政治局常務委員を退く
可能性が高い。
 李克強は胡錦濤をバックに共産党青年団を代表する立場にあったが、習近平との政争に敗れた。現在、その政治力はほぼゼロに近い。また、王岐山は習近平の右腕として汚職撲滅運動の先頭に立ってきたが、習近平がヘゲモニー(覇権)を確立したために、その役割を終えたと言える。
 
王岐山は習近平が下方された時代に兄貴とした慕った人物であり、習近平が強い信頼を寄せる人物であるが、兄貴分であるだけに、ちっと目障りな存在でもある。覇権が確立された今日、目障りな存在
が、もっとも妥当な線と言えよう。

 次の政治常務委員が誰になるか、現在時点でその名を言い当てることは難しい。ただ一つハッキリしていることがある。それは習近平に忠誠を誓う人物でなければ、要職に登用されないと言うことである。
 習近平が主席に就任した2012年からこの5年間、
習近平派と胡錦濤率いる共産党青年団、そして江沢民に連なる上海閥が暗闘を繰り返してきたが、習近平はヘゲモニーを確立することに成功
した。この秋の党大会は、その事実を広く世界に知らしめるものになろう。

■ますます強まる鎖国ムード
 新しく皇帝となった
習近平は毛沢東を理想としているとも伝えられるが、そう考えるよりも「明」や「清」の隆盛期を再現したいと思っているとした方が的確
だろう。
 その
外交方針の基本は、周辺国に朝貢を求めるものになる。一方、広く世界から新たな技術や情報を求めることはない
。一言で言えば中華思想であるが、中華思想は孤立主義でもある。

 冷静に考えれば、
一帯一路やAIIBも、広く世界に影響力を及ぼそうとするものではない。せいぜい、その周辺に影響力を及ぼそうとしているだけ
である。
 習近平は口では一帯一路やAIIBによって国際的なプレゼンスを増すようなことを言っているが、今年に入って、通貨である
“元”の国際化に関して極めて消極的な姿勢に転じている。国内で不動産バブルが深刻化していることから、外国と交流してリスクを高めるよりも、国を閉じた方がリスクが低くなると思っているようだ。しかし、そんな根性ではとても世界に冠たる帝国を築くことはできない


 中国が鎖国ムードに転じる兆候は、ネット空間上において一層鮮明である。中国ではグーグルだけでなく、近年、海外のサイトにアクセスすることが難しくなっている。2~3年前までと比べても、海外のサイトへのアクセスは難くなっている。中国のネットは国内だけを繋ぐものに成り下がってしまった。そして、そこには当局の監視の目が光っている。

 また、温泉探査を行っていた日本人技術者がスパイ容疑で拘束されたように、「国家の安全を脅かした罪」という抽象的な要件で外国人を拘束、逮捕する事例が増えている。その対象は日本人だけでない。
 このようなことが続けば、
外国人は怖くなって中国を訪問しなくなる
。観光旅行も控えるだろう。日本は国をあげて観光立国に取り組んでいるが、中国はその逆の方向に向かって走り始めた。

■日本への関心は薄れていく?
 この秋に習近平による独裁体制が名実共に確立されると、この傾向は一層強くなろう。
 
中国は、再び明や清のような東洋的大国に立ち戻ろうとしているが、それは“中華思想”がなせる業である。自分が偉いのだから、外国に学ぶ必要はない。そして“地大物博人多”だから、海外と交易する必要もない


 明や清に類する帝国が出現したために、周辺国はその対応に追われることになった。特に韓国がつらい立場に立たされている。現在はミサイル防衛問題でいじめられているが、米国との関係を完全に断ち切らない限り、ミサイル問題が解決しても中国から新たな難題を押し付けられることになろう。それは、
韓国が中国に朝貢しなければいけない国
であるためだ。

 歴史的に
朝貢体制の中にいなかったために、日本の立場は微妙である。習近平独裁体制における日中関係を予測することは大変難しいが、明や清の歴史を振り返ると、中国の日本への関心は薄れていく
のではないだろうか。このこところ、中国が名指しで日本を非難することが減っている。

 いずれにしろ、この秋の共産党大会は、中国の歴史において極めて重要な会議になる。皇帝習近平の出現、その行方を注視したい。


 習近平の「中華の夢」政策は、鄧小平以来の改革開放経済路線から、毛沢東路線への転換という説を見聞していましたが、そうではなく、更に遡って 「明」や「清」の隆盛期を再現したいと思っているとの説は斬新です。
 たしかに「中華」と言う言葉と、毛沢東とは馴染まない。外交方針の基本は、周辺国に朝貢を求めるものになる。一方、広く世界から新たな技術や情報を求めることはない。中華思想は孤立主義でもあるのだと。

 しかし、GDP世界第二位の今日の座に登り詰めたのは。日本などから経済復興を学び、崩壊したソ連の共産主義でない、中国独自の社会主義経済体制を構築し、安価な労働力と設備投資を基盤に、世界の工場としての貿易で富を稼いだからでした。
 この成長路線から、「明」や「清」の隆盛期を目指しても、それは「清」が世界から取り残されて滅亡した歴史を繰り返すだけでしょう。経済成長率が低迷し、バブル崩壊の危機に直面している現状を打破しようと、硬直化した国有企業の改革と民間の活力を活かした経済を目指す、鄧小平以来の改革開放路線の李克強が失墜したのは、この路線の習近平との戦いに李克強が破れたということですね。
 経済政策通とは思えない習近平が、政局争いで、共青団派の李克強を追い落とすために、国有企業の失業者擁護、格差が拡大する社会に対し、貧しくても平等だった毛沢東時代への回帰を望む世論への迎合(薄煕来が支持を得て勃興しはじめたが、習近平により断罪)を優先してすすめているのであれば、「清」の滅亡と同じ道を辿ることになります。

 川島准教授は、党大会に向け、習近平のヘゲモニーが確立したとして、共青団派や上海閥との政局抗争の勝敗が決したとの見方です。世間一般的な大勢もその傾向です。
 しかし、対米外交の失政、南シナ海での「九段線」の国際司法裁判所裁定での敗北と続いた外交の失政。低迷する経済成長とそれに伴う社会不安や、資本の流出。政権が抱える負の課題は大きく深刻です。一重に、鄧小平以降、共青団派が引き継いてきた改革開放経済を否定し、軍事力を増強し覇権拡大に走り、共産党温存第一の政策を進める経済音痴の習近平路線の由縁でしょう。

 秋の党大会のチャイナセブンの椅子取り争い。次期首相候補として、共青団派の汪洋氏の名前が浮上し、習近平の次の国家主席の有力候補と目されている、同じく共青団派の胡春華氏の昇格も確実視されているとの情報もあります。
 
中国共産党 次期首相候補に団派の汪洋氏 - 遊爺雑記帳

 習近平の専制政治体制確立はおおかたの見方の流れですが、どうなるのでしょう。
 「皇帝・習近平の出現」後の中国がどうなるのかとの解説。「中華」の自負で内向きにこもり「清」の様に滅亡する?
 そうはさせじと、鄧小平以来の改革開放路線の共青団派が巻き返すのか。まだまだ目が離せませんね。



 # 冒頭の画像は、全人代(今年3月)での習近平と李克強




  この花の名前は、カワミドリ


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