遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

「一帯一路」サミット

2017-05-12 23:58:58 | 日本を復活させる
 今月、14, 15の両日、北京で「一帯一路」に関する国際協力サミットフォーラムが開催されますね。
 米国に追いつき追い越そうとする習近平国家主席が、内外に存在をアピールする為のこの場に、29カ国の首脳が参列するのだそうです。
 ただ、G7の首脳では、議長国のイタリアのジェンティローニ首相だけに留まるのだそうです。
 そのほか、110カ国の政府当局者、専門家、企業や金融機関、メディア関係者、アントニオ・グテーレス国連事務総長、ジム・ヨン・キム世界銀行グループ総裁ら61の国際機関の代表団らが出席しますが、日本からは、二階自民党幹事長が、安倍首相の親書を携えて出席するのだそうですね。
 
「一帯一路」サミット 習近平主席、グローバル化の盟主アピール (産経新聞) - Yahoo!ニュース

 中国は、華々しくアピールしているのですが、目玉開発の現地の状況を読売が報じています。
 

「一帯一路」の現場を歩く 虚像の「シルクロード」 (5/12 読売朝刊)

 
中国が描く巨大経済圏構想「一帯一路」に対し、アジアの国々は鉄道や道路などの整備が進むと期待する。しかし、事業の元手となるお金が足りない。アジアの現場を歩いた。 (中国総局 鎌田秀男、バンコク支局 杉目真吾、ジャカルタ支局 一言剛之)

「幻の鉄道」
 インドネシア第3の都市バンドン。首都ジャカルタまでの約140キロ・メートルを45分で結ぶ高速鉄道計画が、
中国の主導で進む。一帯一路の目玉の一つ
だ。
 バンドン郊外の「ワリニ駅」建設予定地を訪ねた。2019年の開業に向け、4台の重機が丘陵の造成作業をしていた。現場監督のハジ・ロザリさん(57)が「土地を整備した後、駅舎を建てる。その次はトンネル工事だ」と説明してくれた。
 高速鉄道の総事業費は55億ドル(約6300億円)。うち4分の3を中国政府系の国家開発銀行が融資する予定だ。
 しかし、
融資の実行は大幅に遅れている。経済成長に伴う地価の高騰で用地購入が難航し、完成の見通しが立たない
ためだ。
 この鉄道は元々、
日本主導の「新幹線方式」の採用が決まりかけていた。これに対し、中国が、インドネシア政府に負担を求めない破格の条件を示し、中国案が逆転採用
された。
 日本の鉄道業界からは「
開業しても事業費をまかなうだけの収入は得られない
だろう。融資計画は何度も見直されている。このまま永遠に完成しない『幻の鉄道』になるのでは」との冷ややかな声が出ている。

さびた橋脚
 
ミャンマー
を南北に貫く大河イラワジ。源流は、中国とインドとの国境に近い北部カチン州にある。
 ここで
中国企業が主導し、「ミッソンダム」の建設を進めてきた。しかし、住民の反対が強く、5年半前にテイン・セイン前政権が工事を中断
した。
 ダムの予定地周辺では、河原に金色のパゴダ(仏塔)が立ち、人々が祈りをささげていた。20軒ほどの茶店も並ぶ。観光客のサイ・チャオウーさん(50)は「イラワジの源流域はミャンマー人にとり、特別で神聖な場所」と感慨深げだ。川には工事の中断後、放置され、さびついたままの巨大な橋脚が残っていた。
 計画では、周辺の60以上の村が姿を消し、1万5000人以上が移転を余儀なくされる。反対する住民を懐柔しようと、中国側は移転補償金を積み上げ、移住者向けに新しい村も建設した。

新集落
 中国側の誘いに応じ、約400戸の新集落に移ったサイ・トゥン・エンさん(46)は当初、「家に電気が、通り、寺も学校も病院もある」と喜んだ。ところが、畑も仕事もないうえ、病院に常駐の医師はおらず、教師も少ない。結局、エンさんは出稼ぎに行き、家族はバラバラになった。
 
中国は硬軟織り交ぜて建設再開を画策
する。
、地元の寺院の壁には、中国企業が僧侶を招待した中国旅行の記念写真数十枚が飾られていた。一行の代表トゥ・ミンガラ・ターミさん(67)は「中国は電気を通し、道路も作るなど貢献している」と歓迎する。
 中国側は水面下では、ミャンマー政府に対し、建設が中止になれば「数億ドル」の違約金を払うよう要求してきたという。地元政府関係者の男性(41)は「中国は地元政府に、海外メディアと接触しないよう圧力をかけ始めた」と明かす。
 
政府レベルでは友好関係の構築が進む。

 4月に訪中したティン・チョー大統領は習近平国家主席との会談で、一帯一路への賛意を表明。習氏は見返りに、多額の経済協力と国境地帯の内戦終結に向けた支援を約束した。
 事実上の最高指導者、
アウン・サン・スー・チー氏はかつてダム建設反対運動を支特していたが、最近は沈黙を続けている

M&A「半減」
 一帯一路構想は、中国から中東欧、中東、アフリカに及ぶ。
 13年に習近平主席が構想を表明して以来、関係国には中国との経済交流やインフラ(社会資本)投資への期待が高まる。
 だが、
実態は思うように進んでいない

 中国と「沿線国」64か国(中国を除く)との
貿易総額は、13年に1兆405億ドル(約117兆円)だったが、16年には9535億ドル(約107兆円)と8%減っている

 大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PWC)によると、沿線国の16年のインフラ整備事業は前年比2.1%増の4013億が(約45兆円)にとどまる。
M&A(企業の合併・買収)は48.7%減の925億ドル(約10兆円)と大きく落ち込んだ

 PWCは伸び悩みの背景を「一帯一路の対象地域には政治的な不安定さが残るため」と分析する。
 SMBC日興証券の肖敏捷氏は「中国が描いた青写真は魅力的だが、細かな詰めが甘い。一帯一路は糸の切れたタコのようになる恐れもある」とみる。


 雪崩を打って参加国が膨らんだのですが、いまだに格付けがなされず、信用がないAIIB。投資先は、資金力のない途上国が多く、利幅も少なく投資としての魅力は薄い。つまり、AIIBとインフラ事業が共倒れとなり、投資者も損失を蒙る。
 

AIIB 資金集められるのか 「インフラ」低い収益性 (5/12 読売朝刊)

 一帯一路構想に対し、アジアなどの沿線国には不安も広がる。インフラ整備の資金が不足し、事業が進まない恐れがある
からだ。
 中国主導で設立した
アジアインフラ投資銀行(AIIB)は市場の信用力や財務体質が弱い。お金を十分に集められず、巨額の貸し出しができなければ、AIIBとインフラ事業が共倒れになる可能性
もある。
 一帯一路の沿線国はほとんどが途上国だ。鉄道や道路、発電・通信施設などの整備は遅れている。
 日本の公共事業のように、国が国民から集めた税金を元手に支出し、道路などを建設できればいい。だが、途上国は税収が少なく、国の予算は限られる。このため、国際金融機関であるアジア開発銀行(ADB)や世界銀行がお金を出してきた。
 しかし、
途上国のインフラ事業は収益性が低い。建設費などを回収するのに15~25年かかるとされる。政情不安やテロの心配もあり、融資は慎重
に行われる。
 経済産業省の通商白書によると、
インドなどの南アジア2014~20年にインフラ需要が3090億ドル(約35兆円)見込まれるが、予想される投資額は680億ドル(約7兆7000億円)にとどまる。東アジア・太平洋地域870億ドル(約9兆9000億円)の需要に対し、予想投資額は350億ドル(約4兆円)
だ。
 そこで
各国はAIIBに資金の拠出を期待する。しかし、AIIBには市場の信用力が高い日米が出資しておらず、財務体質に不安がある。欧米の格付け機関は、AIIBがお金を集めるために発行する債券を格付けしていない

 このためAIIBは
債券の信用力が低く、市場からお金を十分に集められない
。中国が出した資本金などを元手に融資せざるを得ない状況だ。

 日本政府は今月6日、アジアのインフラ整備を後押しするため、ADBが創設する基金に2年間で4000万ドル(約45億円)を拠出すると発表した。
ADBの中尾武彦総裁は一帯一路について「良いプロジェクトがあれば協力
する余地はある」と述べた。
 日米が深くかかわる
ADBがAIIBと上手に連携すれば、ADB主導の事業にAIIBの資金を活用する道も開ける。それはアジアでの日本の影響力を一段と高めることにもつながる。

 途上国のインフラ事業は収益性が低く、政情不安やテロの心配等もありリスクも高い。それでも、需要はADBにしろAIIBにしろとても単独では賄いきれないボリュームはある。
 そこで、ADBの中尾武彦総裁は、AIIBや「一帯一路」との協力を公言されています。
 記事は、「ADBがAIIBと上手に連携すれば、ADB主導の事業にAIIBの資金を活用する道も開ける。それはアジアでの日本の影響力を一段と高めることにもつながる。」と指摘しています。
 ことばをかえれば、日米のADBで、中国主導のAIIB=「一帯一路」を飲みこんでしまう事が狙える。
 面白い発想ですね。北の核とミサイル開発を止めさせる説得(制裁)の役割を中国に押し付けて、そのかわり為替管理国指定を取り下げるディールと言うか、マッチ・ボンプを演じるトランブ大統領。AIIBへの参加話もちらほら聞かれますが、もしかしたら、AIIBと「一帯一路」を、日米が主導するADBで乗っ取ろうと考えているかもしれない?

 世界経済のフロンティアの東南アジア回帰政策を採りながら、口先先行で行動がパンダハガーとなり、中国にやりたい放題とさせたオバマ大統領から、オバマ流を否定することで大統領になったトランプ氏。
 お手並み拝見と言うところですが、アベノミクス・第三の矢が出現しない安倍政権。地元のアジアで、諸国と連携して、中国と競いながら、リーダーシップを発揮して、諸国と共に発展をゲットできるか、激動の面白い時代の中にいるのかもしれませんね。
 二階氏が、前回、習近平と逢った時の様な、傅く媚中の姿勢を世界に曝さないことを願っています。



 # 冒頭の画像は、2015年5月に訪中し、習近平に傅いた二階



  この花の名前は、スイフヨウ


↓よろしかったら、お願いします。



写真素材のピクスタ


Fotolia








コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「暗くて赤い韓国」開幕 | トップ | 5月12日(金)のつぶやき »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
AIIBは休眠中 (1Q3)
2017-05-13 11:53:08
 AIIBは2016年1月の開業後、休眠状態が続いている。加盟国数こそ日米中心のADBを上回ったものの、実際に払い込まれた出資金は定款上の資本金の7%にも満たない。単独融資はほとんどなく、多くはADB融資に相乗りしただけ。
 だが、油断はならない。日米両国とも、習近平政権に懐柔されかねない有力高官が多数存在するからだ。特に、日本側は親中派の多い財務官僚が北京になびきやすいから、始末が悪い。
 ...のだそうですね。

 http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/170512/wor17051217080029-n1.html

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日本を復活させる」カテゴリの最新記事