今回の全人代での注目点は、鄧小平以後の党の集団指導体制から、習近平による独裁体制=毛沢東時代への復古と、低迷する経済状況にも関わらず、史上初の1兆元を突破した軍事予算の増強です。
独裁色強化についてはこれまでに触れてきましたので、ここでは止まらぬ軍事力強化について取り上げてみます。
経済成長率が減速する中での軍事費の拡大。(国防費を上回るとも言われる治安対策費は未明)膨らむ財政赤字の中での軍事費、治安対策費の拡大の行く先に、限界が見えるのは、米ソの軍拡競争の歴史がありました。
日経は、李克強首相の政府活動報告が、「レーガノミクス」をほうふつとさせるとし、軍事費の増強での、米ソの競争の結果、ソ連が崩壊したことを取り上げています。
かく言う、トランプ政権も、「レーガノミクス」を真似ていると指摘されています。
逆だと否定する声もあります。
トランプ経済は「レーガンの真逆」を目指す トランポノミクスとレーガノミクスを比較してみる|日本経済はなぜ最高の時代を迎えるのか?|ダイヤモンド・オンライン
「トランポノミクス」と、中国・全人代での李克強首相の、「レーガノミクス」をほうふつとさせるという政府活動報告。
双方、軍事力強化の方向は同じですね。
トランプ政権誕生に伴い、日本は、米国の核の傘の下、おんぶにだっこだった安全保障体制からの目覚めと、自国は自国の力で護るという、普通の国への脱皮が求められています。
時代が変わろうとしている中、日本の進むべき道、世界に果たす役割の究明が急がれますね。(←かっこよくまとめすぎで空虚だけど。。)
# 冒頭の画像は、レーガン大統領(当時)
この花の名前は、キバナコスモス
↓よろしかったら、お願いします。
独裁色強化についてはこれまでに触れてきましたので、ここでは止まらぬ軍事力強化について取り上げてみます。
中国国防費 「力の支配」突出に警戒を (3/8 産経 主張)
全国人民代表大会(全人代)で、中国政府は今年の国防費として、前年実績比7%増の1兆440億元(約17兆2千億円)を計上した。
1兆元の大台突破はこれが初めてである。
中国共産党大会を秋に控えた習近平政権が「力の支配」をさらに強めないかは大きな懸念だ。
中国の軍事動向は、日本やアジア太平洋の安全保障に重大な影響を与える。米国との同盟強化により、不測の事態を未然に防ぐ取り組みを急がなければならない。
李克強首相は全人代での演説で「領海、領空、国境防衛」の強化方針を掲げた。東・南シナ海で中国が進める不当な勢力拡大を示すことは明らかである。
南シナ海では、中国の支配権を否定したオランダ・ハーグでの仲裁裁定を顧みない姿勢を貫いている。スプラトリー(南沙)諸島の人工島で続く軍事拠点化は、地域の安全にとり重大な脅威だ。
中国海軍の空母「遼寧」は、さきに台湾海域を一周した。蔡英文政権への圧力にとどまらず、台湾の存立を支える米国への対抗姿勢を示す、危険な挑発行為と言わざるを得ない。
さらに中国は、北米全域に多弾頭攻撃が可能な大陸間弾道ミサイルの発射実験なども実施した。北朝鮮の核・ミサイル開発に加え、中国の核戦力の脅威にも警戒を怠ることは許されない。
中国の国防費は、もともと実態の不透明さが指摘されてきた。今年は、慣例化していた総額の公表すら当初、見送られた。軍事の透明性を後退させる姿勢は極めて問題である。
国防分野以外では、「暴力テロ活動」の抑止など、国内の治安対策が重視された。治安対策費は未公表だが、過去には国防費を上回ったこともある。国内外で「力の支配」に巨費が投じられたことは確実である。
中国経済は、今年の経済成長率目標を「6・5%前後」にとどめるなど減速が鮮明となっている。財政赤字も前年から2千億元(約3兆3千億円)膨らむなかでの国防費の突出は露骨である。
トランプ米政権も来年度の国防費の増額幅を前年度比10%とする方針を打ち出した。中国の「力の支配」を支える予算拡大に対応し、その暴発を抑止するための米軍事力の強化は、当然のことといえよう。
全国人民代表大会(全人代)で、中国政府は今年の国防費として、前年実績比7%増の1兆440億元(約17兆2千億円)を計上した。
1兆元の大台突破はこれが初めてである。
中国共産党大会を秋に控えた習近平政権が「力の支配」をさらに強めないかは大きな懸念だ。
中国の軍事動向は、日本やアジア太平洋の安全保障に重大な影響を与える。米国との同盟強化により、不測の事態を未然に防ぐ取り組みを急がなければならない。
李克強首相は全人代での演説で「領海、領空、国境防衛」の強化方針を掲げた。東・南シナ海で中国が進める不当な勢力拡大を示すことは明らかである。
南シナ海では、中国の支配権を否定したオランダ・ハーグでの仲裁裁定を顧みない姿勢を貫いている。スプラトリー(南沙)諸島の人工島で続く軍事拠点化は、地域の安全にとり重大な脅威だ。
中国海軍の空母「遼寧」は、さきに台湾海域を一周した。蔡英文政権への圧力にとどまらず、台湾の存立を支える米国への対抗姿勢を示す、危険な挑発行為と言わざるを得ない。
さらに中国は、北米全域に多弾頭攻撃が可能な大陸間弾道ミサイルの発射実験なども実施した。北朝鮮の核・ミサイル開発に加え、中国の核戦力の脅威にも警戒を怠ることは許されない。
中国の国防費は、もともと実態の不透明さが指摘されてきた。今年は、慣例化していた総額の公表すら当初、見送られた。軍事の透明性を後退させる姿勢は極めて問題である。
国防分野以外では、「暴力テロ活動」の抑止など、国内の治安対策が重視された。治安対策費は未公表だが、過去には国防費を上回ったこともある。国内外で「力の支配」に巨費が投じられたことは確実である。
中国経済は、今年の経済成長率目標を「6・5%前後」にとどめるなど減速が鮮明となっている。財政赤字も前年から2千億元(約3兆3千億円)膨らむなかでの国防費の突出は露骨である。
トランプ米政権も来年度の国防費の増額幅を前年度比10%とする方針を打ち出した。中国の「力の支配」を支える予算拡大に対応し、その暴発を抑止するための米軍事力の強化は、当然のことといえよう。
経済成長率が減速する中での軍事費の拡大。(国防費を上回るとも言われる治安対策費は未明)膨らむ財政赤字の中での軍事費、治安対策費の拡大の行く先に、限界が見えるのは、米ソの軍拡競争の歴史がありました。
日経は、李克強首相の政府活動報告が、「レーガノミクス」をほうふつとさせるとし、軍事費の増強での、米ソの競争の結果、ソ連が崩壊したことを取り上げています。
中国・全人代でよみがえったレーガノミクス :日本経済新聞
「1匹の妖怪が中国を徘徊(はいかい)している。レーガノミクスという妖怪が」――。マルクスとエンゲルスの共産党宣言の冒頭になぞらえれば、中国で流行する経済政策をこんなふうにたとえることができるかもしれない。共産党国家の中国で5日、全国人民代表大会(国会)が開幕した。施政方針演説にあたる李克強首相の政府活動報告は、意外にも1980年代の米国レーガン政権の政策(レーガノミクス)をほうふつとさせる内容だった。
李首相は活動報告の中盤で、こんな言葉を使って2017年の経済政策の方向を語った。「サプライサイドの構造改善を主力方向にしなければならない。政府の簡素化と減税、参入規制緩和、イノベーションの奨励を通じてミクロの主体の活動を刺激し……」。
どこかで聞いた表現ではないか。そう、30年以上も前の米国だ。減税と規制緩和で企業の投資を促進し、経済を復活させると訴えて当選した、レーガン大統領のサプライサイドの経済政策とそっくりなのだ。
■過去20年間の需要拡大で膨らんだ借金
<中略>
中国は08年のリーマン・ショックを乗り切ろうと再び公共投資を拡大したが、このときは地方政府と関連企業、国有企業が借金を繰り返し、各種建設にまい進した。気がつけば企業の債務が膨んでいた。
債務残高を国内総生産(GDP)比でみると、中国の政府部門の債務は50%弱、家計部門の債務は約40%と低いが、企業部門の債務は170%前後に上る。3つを合計した対GDPの比率は250~300%とされる。
政府部門が借金まみれの日本はこの比率がほぼ450%と高いが、中国も低いとはいえない。中国の指導部は、借金に頼った投資主導の需要拡大策では成長を続けられないと悟り、成長戦略を需要側(デマンドサイド)から供給側(サプライサイド)に移したのだ。
■既得権層が権力に固執「骨抜き」懸念も
もう一つ忘れてはならないレーガノミクスとの類似点がある。軍事費の増強だ。
レーガン氏は政府支出を抑えたが、軍事費だけは例外とした。米国が軍備増強を続けるなか、旧ソ連は競争に疲れ果てて崩壊した。同じように中国も軍事費を突出させている。17年はインフラ投資や鉄道投資をやや抑えぎみにしているが、軍事費は7%も増やし、1兆元を超える予算を組んだ。中国は軍事面で米国に一歩も引かず、強硬姿勢を崩さない構えだ。
中国のサプライサイドの構造改革には、決定的な弱点があることを指摘しておきたい。中国は党・政府が経済の隅々まで管理、介入することで、共産党関係者が利益を獲得し、組織の求心力を保ってきた。規制緩和や市場原理の導入を一段と進めれば、末端の既得権勢力は利益を確保できず、共産党は権力基盤を失ってしまう。このため、既得権と政権維持を重視する共産党内の勢力は権限を手放したがらず、改革を形式にとどめて中身を骨抜きにしようとするだろう。
政治の安定を重視すればするほど供給側の改革は前に進まなくなる。共産党が統治しているのに“小さな政府”“民活”を重視する、この大いなる矛盾の行方に目を凝らしたい
「1匹の妖怪が中国を徘徊(はいかい)している。レーガノミクスという妖怪が」――。マルクスとエンゲルスの共産党宣言の冒頭になぞらえれば、中国で流行する経済政策をこんなふうにたとえることができるかもしれない。共産党国家の中国で5日、全国人民代表大会(国会)が開幕した。施政方針演説にあたる李克強首相の政府活動報告は、意外にも1980年代の米国レーガン政権の政策(レーガノミクス)をほうふつとさせる内容だった。
李首相は活動報告の中盤で、こんな言葉を使って2017年の経済政策の方向を語った。「サプライサイドの構造改善を主力方向にしなければならない。政府の簡素化と減税、参入規制緩和、イノベーションの奨励を通じてミクロの主体の活動を刺激し……」。
どこかで聞いた表現ではないか。そう、30年以上も前の米国だ。減税と規制緩和で企業の投資を促進し、経済を復活させると訴えて当選した、レーガン大統領のサプライサイドの経済政策とそっくりなのだ。
■過去20年間の需要拡大で膨らんだ借金
<中略>
中国は08年のリーマン・ショックを乗り切ろうと再び公共投資を拡大したが、このときは地方政府と関連企業、国有企業が借金を繰り返し、各種建設にまい進した。気がつけば企業の債務が膨んでいた。
債務残高を国内総生産(GDP)比でみると、中国の政府部門の債務は50%弱、家計部門の債務は約40%と低いが、企業部門の債務は170%前後に上る。3つを合計した対GDPの比率は250~300%とされる。
政府部門が借金まみれの日本はこの比率がほぼ450%と高いが、中国も低いとはいえない。中国の指導部は、借金に頼った投資主導の需要拡大策では成長を続けられないと悟り、成長戦略を需要側(デマンドサイド)から供給側(サプライサイド)に移したのだ。
■既得権層が権力に固執「骨抜き」懸念も
もう一つ忘れてはならないレーガノミクスとの類似点がある。軍事費の増強だ。
レーガン氏は政府支出を抑えたが、軍事費だけは例外とした。米国が軍備増強を続けるなか、旧ソ連は競争に疲れ果てて崩壊した。同じように中国も軍事費を突出させている。17年はインフラ投資や鉄道投資をやや抑えぎみにしているが、軍事費は7%も増やし、1兆元を超える予算を組んだ。中国は軍事面で米国に一歩も引かず、強硬姿勢を崩さない構えだ。
中国のサプライサイドの構造改革には、決定的な弱点があることを指摘しておきたい。中国は党・政府が経済の隅々まで管理、介入することで、共産党関係者が利益を獲得し、組織の求心力を保ってきた。規制緩和や市場原理の導入を一段と進めれば、末端の既得権勢力は利益を確保できず、共産党は権力基盤を失ってしまう。このため、既得権と政権維持を重視する共産党内の勢力は権限を手放したがらず、改革を形式にとどめて中身を骨抜きにしようとするだろう。
政治の安定を重視すればするほど供給側の改革は前に進まなくなる。共産党が統治しているのに“小さな政府”“民活”を重視する、この大いなる矛盾の行方に目を凝らしたい
かく言う、トランプ政権も、「レーガノミクス」を真似ていると指摘されています。
逆だと否定する声もあります。
トランプ経済は「レーガンの真逆」を目指す トランポノミクスとレーガノミクスを比較してみる|日本経済はなぜ最高の時代を迎えるのか?|ダイヤモンド・オンライン
「トランポノミクス」と、中国・全人代での李克強首相の、「レーガノミクス」をほうふつとさせるという政府活動報告。
双方、軍事力強化の方向は同じですね。
トランプ政権誕生に伴い、日本は、米国の核の傘の下、おんぶにだっこだった安全保障体制からの目覚めと、自国は自国の力で護るという、普通の国への脱皮が求められています。
時代が変わろうとしている中、日本の進むべき道、世界に果たす役割の究明が急がれますね。(←かっこよくまとめすぎで空虚だけど。。)
# 冒頭の画像は、レーガン大統領(当時)
この花の名前は、キバナコスモス
↓よろしかったら、お願いします。