遊爺雑記帳

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北朝鮮が得意の瀬戸際外交のゆさぶり再開

2018-05-16 23:58:58 | 北朝鮮 全般
 シンガポールでの米朝首脳会談日程が公表されるまでに煮詰まった感があった北朝鮮の融和政策への転換姿勢。
 やはり一筋縄ではゆかない北朝鮮。一度は米韓の合同空軍演習に理解を示していたにもかかわらず、既に11日から始まっていた今回の「マックスサンダー」と呼ばれる軍事演習に突如反発姿勢を示し、16日に予定されていた南北の閣僚級会談の中止を発表し、更に、ジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を名指しして批判し、「米国の首脳会談を受け入れるべきか再考せざるを得なくなる」とも言い始めてきました。
 裏で行われている事前交渉の流れに反発した得意の瀬戸際外交の開始なのでしょうか、超タカ派のボルトン氏の北朝鮮の非核化に「リビア方式」を適用すべきだとの示唆に対する、交渉入り前での牽制球の投げ合いの反発戦術なのでしょうか。

 【激動・朝鮮半島】トランプ米政権、米朝首脳会談中止の可能性に言及した北の真意を精査 現時点では「開催予定に変更なし」  - 産経ニュース

 
北朝鮮、米朝首脳会談の中止を警告 一方的な核放棄要求に反発 - BBCニュース

 北朝鮮は16日、米国が一方的な核兵器の放棄を要求し続けるなら、来月12日に予定されている米朝首脳会談を中止する意向だと明らかにした

 
北朝鮮の金桂冠第1外務次官は、米国が向こう見ずな発言をし、悪意を隠し持っていると強く非難。ジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を名指しして批判した。朝鮮中央通信(KCNA)が、談話を伝えた。
 金次官はさらに、「我々は過去にすでにボルトンの資質を明らかにしており、彼に対する嫌悪感を隠しはしない」と付け加えた。
 金次官は談話で、
もし米国が「我々を追い詰め、我々が核兵器を放棄するのを一方的に要求するなら、我々は協議への関心を失い、予定されているDPRKと米国の首脳会談を受け入れるべきか再考せざるを得なくなる」と述べた。DPRKは、北朝鮮の正式な国名「朝鮮民主主義人民共和国」の英語の頭文字からとられている。
 次官はさらに、自分たちは米国との首脳会談が「朝鮮半島の緊張緩和と素晴らしい未来を築く大きな一歩になるとの高い期待」を寄せているものの、「米国が馬鹿げた発言を吐き出すことで、首脳会談を前に我々を挑発しているのは、非常に残念だ」と非難した。
 金次官は北朝鮮指導部で大きな影響力があり、対米交渉にも参加経験がある。
金次官の談話は、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の個人的承認を得ている可能性が非常に高い

 シンガポールで6月12日に開催予定の米朝首脳会談には、高い関心が集まっている。実現すれば歴史的なものとなる
首脳会談は元々、北朝鮮が朝鮮半島の非核化への強い決意を表明したことで合意された。

 北朝鮮の非核化の表明が具体的に何を意味しているのかは不明だが、同国は今月下旬に予定する核実験場の廃棄を外国メディアに取材させると発表している。

なぜボルトン氏を名指し
 
超タカ派のボルトン氏は先月、北朝鮮の非核化に「リビア方式」を適用すべきだと示唆した。これについて多くの専門家は、2003年に当時のカダフィ政権が大量破壊兵器の開発放棄を約束し、国際機関の査察を受け入れた後、政権が崩壊した経緯があるため、北朝鮮の警戒心を呼ぶだろうと指摘していた。

 
金次官はこれについて、ボルトン発言は「対話を通じて問題を解決しようという意図の表現ではない」と批判。「要するにこれは、国のすべてを大国に明け渡したために崩壊したリビアやイラクのような運命を、尊厳ある我が国に押し付けようとする、非常に悪意のある動きの表れだ」と反発した。
 金次官は、「もしトランプ大統領が前任者たちと同じ道を進むなら、前任者たちよりも悲劇的に、成功を逃した大統領として記録される。前例のない成功を収めたいという、本人の当初の野心からは程遠いことになるだろう」と警告した。

 北朝鮮は
この談話発表に先駆けて、16日予定されていた南北の閣僚級会談の中止を発表しており、交渉の先行きに暗雲が生じていた。

南北閣僚級会談を中止
 軍事境界線(DMZ)上にある板門店で開かれるはずだった閣僚級会談では、先月27日の歴史的な南北首脳会談で発表された「板門店宣言」の内容がより具体的に話し合われる予定だった。
 しかし、
11日に始まった米韓の合同空軍演習に反発した北朝鮮が会談をキャンセルした。

 
「マックスサンダー」と呼ばれる今回の軍事演習は当初、今年2月に韓国・平昌で開催された冬季五輪と時期が重なっていたが、南北関係の緊張緩和が予想外に進むなかで延期されていた
 
北朝鮮は一時、軍事演習の必要性を理解すると述べていた
 しかし、16日のKCNAの報道は、軍事演習を「挑発行為」と呼び、緊張が高まっていた時期のものと同様の表現に戻っている。

<解説>北朝鮮はなぜ姿勢を変えたのか ローラ・ビッカー特派員 BBCニュース(ソウル)
 
北朝鮮の体制が何年もかけ、多大なコストを払って核兵器備蓄を積み上げた唯一の目的は、生き延びるためだった。
 したがって、13日のボルトン氏のように、
北朝鮮の非核化をリビア、あるいはまさにイラクと比較するのは、北朝鮮にとって安心できるものではない。リビアもイラクも、当時の体制は崩壊している。

 金次官の談話は、トランプ政権への威嚇射撃でもある。トランプ政権が首脳会談をどれほど望んでいるか、またそれが、最大限の圧力をかけるというトランプ氏の戦略によって得られた成功だと説明されているのを、北朝鮮は認識しているだろう。
 この自慢話に北朝鮮政府がいら立っている兆候はあったが、北朝鮮は政権で一定の立場にある人物から反論させることにした。
 
北朝鮮は、交渉の席に着く自分たちは強い立場にあるのだと、世界に知らしめようとしている。あらゆる譲歩をしてきたと彼らは感じているかもしれない。
 ミサイルの発射実験を中止すると表明し、拘束していた米国人3人も解放した。金委員長は韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領とも会い、共同記者会見を行った。さらに、海外メディアが見守るなかで核実験施設の放棄を近く実施する。
 そのため、
北朝鮮にとってうれしくない取引をトランプ政権が自分たちの功績のように言うのには、我慢がならなかった
 談話は、北朝鮮が喜ぶような取引が提案されるまで、シンガポールで予定されるトランプ氏との首脳会談から席を蹴って出ても構わないと、かなりはっきり表明している。

 一旦は米韓合同軍事訓練を容認する姿勢を示していた北朝鮮ですが。既に11日に始まっていた「マックスサンダー」と呼ばれる今回の軍事演習を今になって「挑発行為」と呼び、南北閣僚級会議をキャンセルしてきたのです。
 かつて見られなかった宥和姿勢から、一気に元の反発姿勢に逆戻り。やはり得意の瀬戸際外交のゆさぶりの始まりかと、正体が見えた感想はぬぐえません。

 段階的な核とミサイルの削減と、それに見合う制裁解除を中国に泣きついて支持を得て優位に米国との交渉を進める戦術の金正恩。
 一方のトランプ大統領は、国務長官をポンペオ氏に挿げ替え、それでも核放棄の暁の経済支援というニンジンをぶら下げながら、ジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)には、カダフィ大佐が抹殺された「リビア方式」を提唱させる二面作戦での締め付けで、短期実現と化学兵器の廃棄や技術者の国外退去等付帯条件の釣り上げも迫っています。

 核実験施設の放棄を海外メディア(日本は排除)に公開するとまで宥和姿勢をアピールしているにも関わらず、トランプ政権が自分たちの経済制裁と軍事圧力の成果と喧伝されて、牽制球を投げ返したのでしょうか、シンガポールで予定されるトランプ氏との首脳会談から席を蹴って出ても構わないと、トランプ大統領と同じ発言をして、突っ張っています。

 米朝会談の実現までには、双方の牽制球の投げ合いがまだまだつづくのでしょうか。会談は実現するのでしょうか。実現したとして、何処まで具体的に詰められたものになるのか。要注目ですね。



 # 冒頭の画像は、トランプ大統領とジョン・ボルトン米大統領補佐官
 



  シジミ蝶


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