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プーチンがらみの虚偽発言でオランダ外相辞任

2018-02-14 02:13:21 | 欧州情勢複雑怪奇

極東はオリンピック中に何かが起こるという情勢ではなくなった(と希望する)が、今度は中東がなにやら騒がしい。

いろいろあるんだが、フランスのマクロンが、シリアが化学兵器を使ったらフランス軍は攻撃する、とか言い出している。オバマとまったく同じことをしてる。

France will strike if chemical weapons use proven in Syria: Macron 

http://www.presstv.com/Detail/2018/02/14/552294/france-macron-syria-chemical-weapons

 

で、それはそれとして、昨日のニュースとしては、オランダの外務大臣が辞任したことか。

オランダのHalbe Zijlstra外務大臣は、2016年以来言いふらして来た、プーチンに会ってプーチンの大ロシアの野望をこの耳で聞いたんだという話が「ホラ」だったことがバレて議会で突っ込まれて辞任した。

Disgraced Dutch Foreign Minister Resigns After Admitting Lying About Putin's "Greater Russia" Comment

https://www.zerohedge.com/news/2018-02-12/dutch-finance-minister-admits-he-lied-about-putins-plans-greater-russia

 

「ホラ」の内容は、まずこの人がシェル石油の人だったことが関係がある。この人を含むビジネスマンたちが2006年ロシアで会合を開いていた時、ダーチャ(ロシア式別荘とでもいうのか)でプーチンが大ロシアの野望を語っていた、と。ベラルーシ、ウクライナ、バルト三国を取って、カザフスタンも取る、ソビエト帝国だよ、みなの衆みたいなことをプーチンが言った、それを俺は聞いたのだ、とこの外務大臣は2016年から言い出していたそうだ。

ところが、この人は確かに2006年シェルの派遣団の一人ではあったが、その会議に出席していないのが新聞の取材で明らかになり、それが話題になって、議会にまで話が及んで、追及されて、ついに、私は嘘を言っていました、これは私の政治生活の中の最大の間違いでした、ですからやめますといって辞任した、という流れ。

 

日本語の記事を探したところ、一応出ていた。

これこれ。

オランダ外相が引責辞任=「ロシア大統領から聞いた」と虚言

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018021400321&g=int

これってさ、どうしてこういう時には、「プーチンから聞いた」と書かないんだろうね。日ごろ、ロシア大統領という職責で行われていることも軍の行動もすべからく、プーチン、プーチンと書いているのに、どういう判断なんでしょうね。ガイドラインがあるんだろうか(笑)。

で、時事の書き方だと、

 ザイルストラ氏は2016年の党会合で、06年にプーチン氏と複数で会った際に「プーチン氏が『大ロシア』計画について話すのを聞いた」と説明。プーチン氏が、ベラルーシ、ウクライナ、バルト3国、カザフスタンの具体名を出して、一大国家設立に意欲を示していたと語っていた。

党の会合で一回言っただけ、みたいな感じだけど、これをマスコミがいろんな形で広げていくわけですよ。

で、ほらみろ、ウクライナが取られたじゃないか、だからバルト三国が危険だ→NATOが頑張ろう、みたいな流れの中の一つのエピソードとして、あたかも本当扱いされてきたということですね。

真っ先に思い出すのは「ピョートル大帝の遺言」でしょうか。

ピョートル大帝の遺言とは、ピョートル大帝が欧州を服属させる計画を示した文書が残されている、と信じられているお話。現物であるという文章はないらしいんだけど、しばしば実はこれだ、あれだ、というのは出てきていたようだ。

で、これが19世紀のイギリス、フランスの対露政策にマジで影響を及ぼしたと考えられている。

具体的には、クリミア戦争や露土戦争、第一世界大戦、第二次世界大戦において、ロシアが征服を企んでいるという話のある種の証拠みたいにしてたびたび持ちだされていた模様。

ヨーロッパ1000年のロシア恐怖症

 

で、どうってことない話とも見えるんだが、しかし、これが起きたのがオランダだという点はオランダの現政権にとって大変だろうと想像する。

なぜなら、オランダは2014年にウクライナで起きた民間機墜落事件で最も多くの犠牲者を出した国だから。

この事件をオランダ政府は、オバマ政権が示唆した通りに、「悪いのは親ロシア派だ」で仕切っちゃった。しかし、主流メディアがどう言おうと、疑ってる人は多い。

だから、政府に対する不信感は潜在的に非常に強いものと想定していいでしょう。

逆にオランダ政府としたら、このまま、悪いのはロシアだ、全部ロシア、プーチン、あいつらは悪魔だ~、潰せ~、じゃなくなると大変なことになる、とも言えますね。国民に嘘をついていたんだな、お前ら、となるから。

 

とはいえ、欧州の外相が嘘をついたことぐらいで辞任させるのか、というのも結構疑問だよなとも思うので、何かあるのかもしれないとは思う。欧州の政治に正直さなんて徳目はないですから(相対的にいうならアメリカ庶民にはある)。

この外相は、2日後にロシアを初訪問しセルゲイ・ラブロフと会談する予定になっていた、ということの意味をどうとるかでしょう。

行かせたくないから落としたのか、行かせるとまずいから落としたのか。

一見すると前者のようにも思えるけど、でも後者も十分考えられる。ラブロフに嘘をばらされて既に火がついていたオランダでの現政権批判に結びつくよりは、今、私は正直です、という態度を取った方が被害は小さいと踏んだ、とも考えられる。

プーチンに会ったことがないのに会ったと言っていたわけですからね。ロシアに行けない、というのはあり得る(この外相は昨年10月に就任したばかり)。

どうなんでしょう。欧州は、ウクライナ危機をしかけた人たちがいるはずなので、そこがほじくり出されるといいな、などとも思う。ビルダーバーグにまたまた注目が集まることになるでしょう。今後のお楽しみ。

 

■ オマケ

この外相はつい数日前、日本に来ていた。

 河野大臣から,ザイルストラ大臣の初訪日を歓迎し,オランダの国連安保理非常任理事国就任への祝意を述べました。ザイルストラ大臣からは,初訪日を嬉しく思う,日本は法の支配などの基本的価値を共有するオランダにとって重要なパートナーである,北朝鮮制裁委員会議長国として,北朝鮮に対し具体的かつ現実的な行動を求めていきたい旨述べました。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_005638.html

つまり、オランダが国連安保理の非常任理事国になったので、国連を動かす際にオランダを使おうとしていた、という状況ですね。去年は日本やらウクライナが非常任理事国だったが次のターンになるので、作戦を練っていた、と。


 

 

 


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2 コメント

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ロシアよりもバツーが怖い。 (忠武飛龍)
2018-02-14 20:36:49
欧州は「ロシア恐怖症」っていうよりも、なにかモンゴル帝国の「バトゥ汗」が怖いように思えます・・。

プーチンは、モンゴル帝国のハーンではない。けど、欲から出ている「ロシア恐怖症」はプーチンをバトゥの再来にするのかもしれない。

まあ妄想です。

ではまた。
キリスト教問題の方がライブ (ブログ主)
2018-02-14 22:46:54
どうも。
欧州中部まではモンゴルの影響の問題は及ぶと思いますが、西欧州 vs ロシアの場合は、キリスト教の正統性問題の方がはるかに深刻だと思います。なぜなら文明史そのものの問題だからです。

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